【公開延期】『シン・エヴァンゲリオン劇場版』謎の記号の意味は?

その正体は楽譜で使われる「反復記号」。エヴァンゲリオンシリーズの謎を明らかにする鍵なのか。これまでのストーリーを振り返ってみた。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の正式タイトルの末尾にある記号
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の正式タイトルの末尾にある記号

【UPDATE】『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開延期が1月14日、公式サイトで発表された。緊急事態宣言の発出を受けて、新型コロナウイルスの「感染拡大の収束が最優先であると判断」した結果、23日の公開を自粛して延期することになったという。新たな公開日は未定となっている。 (2021/1/15 10:48)

2021年1月23日に公開されるアニメ映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。ポスターやロゴを見るとタイトルの末尾に「:」の横に縦線2本を並べた不思議な記号が書かれている。

パソコンなどの環境によっては正しく表示できないため、メディアでの紹介では省かれていることも多いが、この記号は何だろうか?

■調べてみると音楽記号の1種だった。

制作側からの公式な説明は見当たらないが、この記号は「楽譜」で使われる音楽記号のようだ。『持ち歩き 音楽記号事典』(日本文芸社)によると、この記号は「反復記号」と言って、音楽を演奏する際に反復記号で挟まれた数小節の演奏を繰り返すのだという。

反復を開始する際の反復記号は左の線が太く「:」も右側についている。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のマークは右側の線が太く「:」が左側についていることから、繰り返し部分の終わりを意味している。

『エヴァンゲリオン』シリーズがループ構造になっていて、今回の映画でそれが終わりを示しているのだろうか……。

反復記号の楽譜の例
反復記号の楽譜の例

■300分のストーリーを5分で読める文章に超圧縮すると…

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』から始まる4部作は1990年代にTVアニメと映画で社会現象を巻き起こした『新世紀エヴァンゲリオン』を、庵野秀明総監督が新たに作り直したものだ。

前回の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の公開から8年が経過。新劇場版が、これまでどんな展開だったのかを忘れている人も多いはず。『序』『破』『Q』の3作品の合計で約300分ものストーリーを5分で読める超圧縮版で紹介しよう。

※以下は完全にネタバレなので、作品をまだ見てない方は注意してください。

■ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 (2007年9月1日公開)

人類の半数が死んだ大災害「セカンドインパクト」から15年後の世界。真っ赤に染まった海で物語は始まる。14歳の少年、碇シンジが廃墟の町で出迎えを待っていると、「第4の使徒」と呼ばれる謎の生命体が現れた。国連軍がヘリや戦車などで攻撃するが全く通用しない。

迎えに来た葛城ミサトの車で向かった先は、箱根山の「第3新東京市」の地下にある特務機関NERV(ネルフ)の基地だった。ネルフの司令を務める父親の碇ゲンドウとは3年ぶりの対面。シンジは父親から、巨大な人型兵器「エヴァンゲリオン(エヴァ)」初号機に乗って、何の訓練もないまま使徒と戦うことを強要される。使徒の前で一度は倒れた初号機だったが、暴走して勝利を収める。

シンジは「第5の使徒」を倒したが、ミサトに命令違反を叱責されて家出。すぐに連れ戻される。プリズムのような形をした「第6の使徒」が出現。シンジは初号機で出撃するも、使徒の強力な光線で負傷する。使徒の狙いはネルフ本部のさらに地下にいる第2の使徒「リリス」であり、これと他の使徒が接触すればサードインパクトが起きて人類が絶滅するとシンジはミサトから知らされる。

ミサトは日本全国の電力を使う「ヤシマ作戦」を立案。もう一人のパイロットである少女、零号機に乗る綾波レイのサポートで「第6の使徒」を撃破。涙を見せるシンジに「こういうとき、どんな顔すればいいか分からないの」と言うレイ。シンジは「笑えばいいと思うよ」と答える。

■ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009年6月27日公開)

冒頭に新キャラの少女、真希波・マリ・イラストリアスが登場。マリはエヴァ仮設5号機に乗って、北極にあるネルフの基地から出撃。「第3使徒」を相打ちで倒して脱出する。

場面は変わって日本。母の墓参りを終えたシンジの前に「第7使徒」が現れるが、エヴァ2号機が現れ、空中戦で鮮やかに倒す。パイロットの少女、式波・アスカ・ラングレーは、戦闘に参加しなかったシンジを「所詮、(親の)七光りね」とこき下ろすが、ミサトの部屋でシンジと同居することになる。

宇宙からネルフ本部に向かって「第8使徒」が落下してくるが、シンジ・レイ・アスカの3人がエヴァで迎え撃つ。孤立していたアスカだが、シンジ達に少しずつ心を開くようになった。

試験中のエヴァ3号機には、アスカが志願してパイロットになる。その起動実験中に3号機は「第9使徒」に体を乗っ取られる。攻撃すると、搭乗したままのアスカの命を危険を晒すため、戦えないシンジ。ゲンドウが「ダミーシステム」を起動すると、初号機は自動的に動いて3号機を破壊。シンジは激怒する。

シンジは「もうエヴァには乗りたくありません」とゲンドウに言って、ネルフ本部を出て行く。その直後、「第10使徒」がネルフ本部のある地下空間「ジオフロント」に侵入。2号機にはマリが無断で乗り出撃し、レイの零号機が自爆攻撃をしかけるも第10使徒は倒せない。零号機ごとレイを食べた使徒は女性のような姿に変わる。

シンジはネルフに戻り初号機で出撃。「綾波だけは助ける」と使徒を倒すが、初号機は頭上に天使のような輪ができ、神に近い存在と変貌した。サードインパクトが始まりかけたが、月面基地から渚カヲルが搭乗するエヴァ6号機が飛来。槍で初号機のコアを突いて、異変を止める。

■ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012年11月17日公開)

赤く染まった地球のはるか上空、衛星軌道上。アスカとマリが乗り込む2機のエヴァによって、巨大な十字架のような物体に収納された初号機が回収される。アスカは前作までと違い左目に眼帯を付けている。

戦艦「ヴンダー」で目が覚めたシンジは、ミサトら、かつてのネルフのメンバーの前に連れてこられる。「僕は(エヴァに)乗らなくていいんですか?」と尋ねたシンジに、ミサトは「あなたはもう何もしないで」と冷たく言い放つ。初号機はヴンダーの動力源として使われていた。

アスカは「あれから14年経ってる」とシンジに告げる。ミサトらは「ヴィレ」という組織のメンバーとして、ネルフと対立していた。シンジは「綾波はどこですか?」と聞くも、ミサトらによるとレイは見つからなかったという。

そこに、レイが乗る「EVA Mark.09」が飛来し、シンジを乗せてヴンダーから連れ去る。レイは以前とは違う黒いプラグスーツを着ていた。廃墟のようなネルフ本部に着くとゲンドウが現れて、渚カヲルという少年とエヴァ13号機に乗るように告げる。

ピアノの連弾でシンジと仲良くなったカヲル。2人がネルフ本部の外に行くと、地表は荒れ果てて真っ赤になっていた。カヲルによると、シンジがレイを助けようとしたことで、「ニア・サードインパクト」が起きて、地球が壊滅的な被害を受けていたという。ネルフの副司令官である冬月コウゾウからも、以前のレイは初号機に取り込まれてしまったと知らされる。シンジは絶望する。

シンジとカヲルは2人で、エヴァ13号機に乗って、地下のセントラルドグマに行く。第2の使徒「リリス」から2本の槍を抜くのが目的だ。アスカとマリが乗る2機のエヴァが止めに入って戦闘になる。シンジが槍を抜いたことで、13号機が覚醒してフォースインパクトが始まりかける。カヲルは、13号機自身に槍を刺してフォースインパクトを止めるが息絶える。

アスカはシンジを救出。レイと3人で真っ赤な荒れ地を歩き始めるところで、物語は終わる。

■『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021年1月23日公開)

宇多田ヒカルさんが書き下したテーマソング「One Last Kiss」が流れる新たな予告編が12月25日に公開された。

同時発表されたポスターは、総作画監督の錦織敦史さんによる描き下ろし。アスカ、マリ、シンジ、レイ、カヲルの5人が水辺の砂浜に並ぶ様子が描かれている。

これまでの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の苛酷な展開とは異なり、どのキャラクターもふっきれた表情だ。作品タイトルのほか、「さらば、全てのエヴァンゲリオン。」とのキャッチコピーも書かれている。

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1月23日の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の劇場公開に合わせて、日本テレビ系の金曜ロードSHOW!で『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』を3週連続で放送する。1月15日は『序』、22日には『破』、29日には『Q』が放送される予定だ。

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