これからの経済
2020年04月27日 11時56分 JST

Facebookのビデオチャット「Rooms」が登場。コピーはするがコピーされない巨人の実力は?

現時点では8人まで参加可能だが、数週間以内に50人までに拡大される予定。また参加者は、Facebookのアカウントなしでもブラウザから参加できるようになる。

TechCrunch Japan
Facebookのビデオチャット機能・Rooms

FacebookはこれまでもZoomのギャラリービューやHousepartyのビデオチャットをサポートしてきたが、このほど独自のビデオ・ミーティングとしてRoomsをスタートさせた。これはあらかじめ日時を設定しないインスタントなつながりの時代にふさわしいビデオサービスとなる。

Facebookの発表によれば、Roomsはモバイル、デスクトップの双方をサポートし、まず英語圏でスタート。Roomsがカバーする地域ではニュースフィードの上部に新たにRoomsのセクションが追加された。またFacebookは選定した親しい友達にRoomsが開始されたことを通知する。特定の友達を招待したり、「リンクを知っている全員」がRoomsに参加できるリンク作って共有することもできる。

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Facebookのビデオチャット機能・Rooms

現時点では8人まで参加可能だが、数週間以内に50人までに拡大される予定なので、ビジネスでも大がかりなリモート飲み会などの場合でも有力なZoomの代替手段になるだろう。ユーザーはすぐにInstagram、WhatsApp、またPortalデバイスからRoomsを作成して検索可能にできる。またさらに重要な点としてFacebookのアカウントなしでブラウザから参加できるようになる。こうなればFacebookとして初めての全てのプラットフォームで相互運用可能なサービスとなる。

FacebookのMessengerの責任者であるStan Chudnovsky(スタン・チュドノフスキー)氏はTechCrunchのインタビューに対して「人々はもっと一緒の時間を過ごしたい思っている。」と述べた。1対1ないしグループでのビデオ通話はすでに提供され人気を集めている。しかし、「パンデミックの突発ですべてが変わった。我々は以前から人々がいつでも好きなときにビデオで会話できるようにするための計画をいろいろ持っていた。しかし新型コロナウイルスのために計画を加速しなければならなくなった」 のだという。Roomsには今のところ広告その他の直接的な収益化の計画はない。しかしこのプロダクトの提供はFacebook人々の生活の中心に置き続けるために役立つだろう。

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Facebookのビデオチャット機能・Rooms

ニュースフィードのトップの非常に目立つ位置にRoomsのタブを設置したことでもFacebookがこのプロダクトを非常に真剣に考えていることがわかる。Roomsをスタンドアロンアプリにすれば島流しにあったようなもので見つけにくくなったに違いない。アルゴリズムで表示が選択されるニュースフィードに組み込めば即時性が損なわれただろう。Facebookはそうした方法をとらず、モバイルアプリの場合、ニュースフィード記事をスタート画面からほぼ完全に押し出す結果となってもRoomsとストーリーに大きな表示面積を与えた。これを見てもFacebookが即時性と一時性の高い共有を重視しているのが明らかだ。

Facebookはビデオに全力を傾注

Facebookは歴史的に1対1ないし1対多のコミュニケーションを本質としていたため、多対多の分野では力不足だった。Roomsのリリースはこの点を補うためにデザインされており、同様の目的で既存プロダクトへのビデオ機能の追加もすでに多数行われている。WhatsAppでは現在1日あたりの音声およびビデオ通話の利用者は7億人、 FacebookとInstagram Liveのビデオのユーザーは8億人となっている。Facebookはすでに1人が多数のフィードを見る分野のリーダーであり、1人が多数に向けてライブストリーミングする分野でも急上昇中だ。しかしチュドノフスキー氏は「しかしこの分野へはさらに大きな努力が必要だった」と言う。

ビデオ関連のアップデートの概要とその意味は次のとおりだ。

・カスタマイズできる照明付きのバーチャル背景:Facebookは近々ビデオ通話にバーチャル背景を導入し、ユーザーの背後に写るごたごたを隠すことができるようにする。これには360°バーチャル背景が含まれ、ユーザーが移動するにつれて背景と照明が変化する。

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・WhatsAppではグループ通話の現在の4人までから8人までに拡大する。人数の多い家族や友人グループがまとめてビデオで会話できるようになる。この分野ではWhatsAppはZoomにとって非常に手強いライバルになるだろう。

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・Facebook Liveでゲストが表示できる。長時間自分に興味を引きつけておくためには努力がいる。随時ゲストをスクリーンに呼び出せる機能は話し手側のプレッシャーを低くし、ビューワー側にも面白い。

・ライブ動画に寄付ボタンを付加。新型コロナウイルスによる危機に際して、ミュージシャンやパフォーマー、各種の活動家などの人々が資金を調達することがこのボタンによって容易になる。

・オーディオのみによるライブ。 Facebook Liveでツアーを配信するミュージシャンが増えるにつれ、データ量を節約するためにオーディオだけが欲しいということがある。これなら外出中でも長時間聴いていることができる。特に携帯ネットワークの接続速度が遅い場合に便利だ。

・ウェブ版Instagramでライブをサポート。デスクトップからライブ動画を見たりコメントしたりできるので、長時間のストリーミングであっても別のタスクを実行できる。

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・IGTVでライブできる。長時間のライブ配信がInstagramのIGTVアプリに保存できるようになったので配信終了と同時に消えてしまう心配がなくなった。

Portal from Facebookでライブ。ユーザーはPageやグループへのライブをポータブルなPortalデバイスからも実行できるようになったので動きまわるライブ配信ができる。

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Facebook Roomsの使い方

Facebookは この分野を一挙に制圧するブリッツスケーリングを狙って、グループのすべてアプリでRoomsを実行、検索できるようにしている。Roomsはニュースフィード、、グループ、イベント、Messengerから実行できるだけでなく、すぐにInstagram Directのビデオチャット、WhatsApp、Portalデバイスからも利用できるようになる。開始時間設定、説明、ユーザー招待を3とおりの方法で実行できる。

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家族の会話などの場合は招待オンリーでRoomsを実行できる。あるいは友達全員に公開することも可能だ。友達というのはニュースフィード、MessengerのRoomsタブの通知に表示されたり検索できたりする相手だ(将来はほかのFacebookアプリからも検索可能なる)。Facebookが開始されていることを見逃さないよう親しい友達に通知することがある。ユーザーはRoomsのURLをどこにでも表示することができる。この場合は事実上Roomsを公開で実行することになる。

Facebookは公開ライブビデオに対する部外者の乱入、いわゆる「Zoom爆撃」がひどい災厄を引き起こすことを認識しており、Roomsのセキュリティには十分留意している。 ホストはURL経由でRoomsに参加できないようロックすることができる。Roomsから誰かを締め出すと自動的にロックがかかり、ホストがロックを解除するまでその状態が続く。悪人が何らかの方法でRoomsのURLを見つけた場合でも繰り返し邪魔しに来ることはできない。

当然ながら、 チュドノフスキー氏はZoomとHousepartyの影響を小さいものにしようと努め、「この種の自発性の高いビデオアプリが他にも多数あることは嬉しい。しかしそうしたアプリの一部がこのプロダクトに取り入れられたというこはないと思う」と述べた。また現在シリコンバレーの話題をさらっているボイスチャットアプリのClubhouseの非独占的なビデオ版と考えられることもRoomsにとっては都合がいい。

コピーはするがコピーされない巨人

Facebookは遅くとも2017年以降、密かにRoomsの開発に取り組んできた。重点はどのようにすればグループチャットの開始を友達が発見しやすくできるかだった。2017年にFacebookはBonfireというグループビデオチャットをテストしている。これはスタンドアロンのアプリだった。実はRoomsという匿名フォーラム用のアプリも2014年にテストしている。

新しいRoomsの優れているところはFacebookの最大の強み3つを総合したところにある。これによりRoomsにはライバルアプリからのコピーが含まれるものの、Facebook以外のプレイヤーがRoomsをコピーすることは非常に難しいものとなっている。

・普遍性:Facebookのメッセージングはモバイル、デスクトップ双方をサポートし膨大なユーザーがあある。このためは新たなアプリをインストールすることなく誰でも即座に使い始めることができる。

・意欲と革新性:ストーリーの場合と同様、Facebookはモバイル画面の上部の目立つ位置にRoomsを設置するという大きな賭けに出た。この強い意欲は、自然発生的かつ即時的なソーシャルビデオという新しいコミュニケーション・チャンネルの普及のカギを握ることなるだろう。しかもRoomsはFacebookグループの25億人のユーザーがすぐに利用できる。

・ソーシャルグラフの蓄積:Roomを楽しく役立つものにするためにFacebookは膨大なソーシャルグラフを役立てることができる。Facebookはグループのアプリ全体の巨大なユーザーの全体から特定のRoomに誰がいちばん関心を抱きそうか推測し、きわめて効率的にメンバーを集めることができる。ソーシャルグラフに基づいてメンバーの関連度をランク付けできるのでユーザーの電話帳の全員にスパム的な通知を送る必要がない。

この3つの特徴をすべて備えたライバルは存在しない。Zoomにはソーシャルグラフの蓄積がない。Housepartyは急上昇中ではあるものの普遍的存在というには遠い。他のメッセージやチャットアプリも適切なメンバーを集めるために必要な検索能力に欠ける。

Facebookはモバイルでの深いつながりはメッセージの分野にあることをよく認識している。 1対1のスレッドや非同期のグループチャットはすでに提供されていた。あとはこの方向をさらに一歩進めるだけでよかった。Roomsの画期的な点は、他のリモート会議アプリのように主催者が日時を設定して予約したり、メンバーに通知して参加を要請したりするのではなく、友達がRoomsしているのを自然に見つけて参加するという能動的な努力を必要としないサービスにした点にある。Roomsはものに憑かれたようにひたすらフィードをスクロールするというソーシャルでない行動をせずにFacebookの使用頻度と使用時間を大幅にアップすることができるはずだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

2020年4月27日TechCrunch Japan「Facebookのソーシャルビデオチャット機能Roomsの実力をチェック」より転載