フェイクニュース、ネット民はどのくらい騙されやすいか?:5つのグラフで検証

英国の公共TV放送局チャンネル4(Channel 4)が行った最近の調査で、記事の真偽を見出しから正しく判断できた人の割合は、わずか4%だった。

フェイクニュースやガセネタの拡散は、もはやどうにもならない状況だ。そのうえ、英国人はフェイクニュースを見分けるのがとても苦手であることが、英国の公共TV放送局チャンネル4(Channel 4)が行った最近の調査で明らかになった。

チャンネル4は、世論調査企業のユーガブ(YouGov)と共同で1700人に調査を実施。彼らに6つの記事の見出しを見せ、それぞれの記事が本物かどうかを判定してもらった。6つの見出しのうち、本物の記事は3つで、残りは偽物だった。このなかには、「巨大ワニと自撮りを試みた観光客、ワニにかまれる」といった見出し(本物)や、「経済活性化のため、到着した移民全員に1人あたり8500ポンドを給付」といった見出し(偽物)が含まれていた。また、トランプ米大統領に関する記事の見出しも用意された。

調査の結果、記事の真偽を見出しから正しく判断できた人の割合は、わずか4%だった。

「興味深い人口統計的な『格差』がいくつか見られた」というのは、ユーガブの政治調査担当者、クリス・カーティス氏だ。「大まかにいえば、残留派(EUへの残留に票を投じた人たち)、『ABC1』層(ミドルクラス)に分類される人々、そして男性の方が、記事の真偽を見出しのみで正しく判定できる傾向にあった」とカーティス氏はいう。

自分の判断力を過信している人が多い

米国の調査でも明らかなように、人々は、本物のニュースを区別できるとして自分を過大評価している。英国の調査では、半数(49%)の人が偽の記事と本物の記事の違いを見分けられると回答したが、見出しだけで正しく区別できた人の割合はわずか4%だった。

◆フェイクニュースを見分けられる自信がどれくらいあるか?

出典:ユーガブ/チャンネル4(2017年1月)

Facebookはニュースの1次情報源ではない

チャンネル4によれば、人々はほとんどの場合、Facebookのようなソーシャルネットワークをニュースの主な入手先にしていないという(別の調査によれば、おもにFacebookからニュースを得ている人が、偽のニュースを本当と信じてしまう確率は83%に上っている)。回答者の半数以上(53%)は、放送局(オンライン、テレビ、またはラジオ)からニュースを得ていると述べており、Facebookと答えた人はわずか6%だった。

◆ニュースのおもな入手先は?

出典:ユーガブ/チャンネル4(2017年1月)

Z世代は疑いを持たない傾向が強い

若い人ほど真偽を見分ける力が弱いことが、各種調査で明らかになっている。また、若い世代は、複数の放送局やメディアを利用するよりも、FacebookやRedditからニュースを得る傾向が強い。マーケティング企業のイーザンガ(eZanga)は、1990年代半ば以降に生まれた世界各国の1200人を対象に調査を実施。

その結果、回答者の61%が、詳しい情報の入手先としてRedditなどのオンラインコミュニティを選んでいた。

この調査では、「訪問したWebサイトのどのような部分にもっとも信頼性を感じますか?」という質問も行われた。この問いに対し、56%の回答者が名前と発信元と答えたが、44%の人はサイトの見栄えと回答していた。

◆Z世代への質問:さらに詳しい情報の入手先として信頼する情報源は?

出典:eZanga(2016年12月)

4人に1人がフェイクニュースをシェアしている

さらに、人々がフェイクニュースをシェアするときにも、問題が見られることがわかった。ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が2016年12月に行った調査によると、米国人の4人に1人(23%)が、偽の政治ニュースをシェアしたことがあると回答。

さらに、14%の人は、嘘のニュースだと知りながらシェアしたと答えたのだ。彼らが偽の情報を広めた動機としては、その記事が嘘であることを「みんなに伝えたかった」とか、ただ楽しいと思ったからなど、いくつかの理由が挙げられていた。

◆米国の成人がフェイクニュースをシェアした割合(%)

出典:ピュー・リサーチ・センター(2016年12月)

ソーシャルネットワークはさらに対策を進める必要がある

ユーガブとチャンネル4の共同調査によると、英国人の3分の2(66%)が、FacebookやTwitterといったソーシャルメディアサイトのフェイクニュース対策を不十分と考えている。この問題に対処するため、Facebookは米国やドイツでサードパーティのファクトチェッカーと提携。

また、フランスのパブリッシャーと共同でイニシアチブを開始したり、不正なサイトを自社の広告ネットワークから追放したりするなど、この数カ月間にさまざまな取り組みを行ってきた。それでも、ソーシャルネットワーク各社の対策が十分だと考えている英国人は、まだ8%しかいない。

一方、政府がフェイクニュース対策を十分に行っていないと考える人は、半数を超えていた(55%)。英国では2月はじめ、国会議員のグループがフェイクニュースの調査に着手している。この調査を主導しているのは、英国の文化・メディア・スポーツ省だ。

◆対策を強化する必要があるのは誰?

出典:ユーガブ/チャンネル4(2017年1月)

(2017年2月23日「DIGIDAY日本版」より転載)

注目記事