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2019年04月25日 14時06分 JST

家族が幸せになるなら、そのあり方はなんでもいい──「フルタイムで働く妻と、専業主夫」を試すことになった話(サイボウズ式)

「あるべき姿」にとらわれず、自分たちの「なりたい姿」を追い求め。

サイボウズ式
「働く妻と専業主夫」イメージ

こんにちは、はせおやさいです。

我が家はわたしと夫、そして昨年生まれた娘(0歳)の3人編成です。結婚して約1年半となりますが、そのあいだ、「夫婦ともにフリーランス」→「わたしが出産育児で休業」の時期を経て、現在、「フルタイムで働く妻と、専業主夫」という役割分担を試しています。

わたしは出産後半年で会社員として社会復帰をしたのですが、はじめての育児、しかも双方の親は遠方&高齢で頼れない状態の、いわゆる「核家族」。掃除などの家事をはじめとした家庭運営だけでなく、乳児を抱えた状態で、どうやってこの家を維持しようと悩み、かなりの時間を夫との話し合いに費やしました。

今回はそんな我が家の経験について書いてみようと思います。

 

妊娠出産、フリーランスから会社復帰を決意

2017年、子どもを妊娠したのを機に、わたしは会社員を辞め、フリーランスのWebディレクター・ライターとして活動をしていました。どんどん大きくなるお腹を抱えつつ、自分のペースで働けるフリーランスは快適で、一度住んでみたかった海のそば、神奈川県逗子市への転居も果たせました。

さて2018年5月、無事に女児を出産。引き続きフリーランスで仕事を続け、のんびり子育てでもしようかと思っていたところへ青天の霹靂(へきれき)が……。前職で同僚だった方から、「会社に戻ってこないか」とのお誘いがあったのです。

そのとき娘は生後3か月で、まだ生まれたてホヤホヤです。首も座っておらず、常に誰かが見ていなければいけない状態で、授乳もだいたい4時間おき。夜は夫がミルクを与えてくれていたものの、夫の仕事が忙しいときはわたしが夜中じゅう起きてお世話をする必要がありました。想定していた働き方は「夫婦どちらもフリーランスで共働き」。やや不安定かもしれないけれど、とにかく一緒に過ごしたい気持ちが強い我が夫婦としては、その働き方が理想的だと思っていました。

そこへ誘ってもらった、「フルタイムの正社員」でのお仕事。いやいや、無理!! と思いました。ですが、たびたびのお声掛けに詳しく話を聞いてみたところ、仕事内容は魅力あるもの。何より「あなたと一緒にまたぜひ仕事がしたい」という熱意に心が揺れました。

 

社内規定により、時短勤務が使えない……

ですが、この決意をするには大きな問題点がありました。社内規定により、育児休暇や時短勤務などの制度は入社後、一定期間使えなかったのです。

夫の実家は遠く、わたしの実家は両親高齢で、両親からの援助は期待できませんでした。私がフルタイムで働くと、「日中は夫が娘の面倒を見る」ということになってしまいます。

一度は、「仕事をしながら夫が娘の面倒を見る」ことで話がまとまりかけましたが、とはいえ、夫も取材や打ち合わせで夜中まで外出することがままある仕事。やはり仕事をしながらでは無理、という話になりました。

わたしが外へ働きに出た場合、少なくとも娘を保育園に入れるまでの数か月、「共働き」は維持できそうにありません。このままでは、にっちもさっちもいかないことに......!

 

夫が専業主夫に。その間は、わたしが大黒柱になろう

そこで我が家が暫定的に出した結論は、「いったん夫が専業主夫になる。その間は、わたしが大黒柱になって家計を支える」というものでした。

もちろん問題は山積みです。収支面はクリアになったとして、いったん専業主夫になるのは簡単かもしれないけれど、そのあと彼がまたキャリアに復帰できるのか。

もし復帰できたとしても、いわゆる「マミートラック」、つまり育休明けのお母さんが陥る「復帰はできるけど第一線では働けない」状態になるのではないか。

そしてそもそも頼りにしていた保育園に落ちて、娘の面倒を見る人が誰もいなくなった場合は、どうするのか。

考えれば考えるほど、問題点が出てくるような気がしてやみません。しかし迫ってくるオファーの返答期限と、どんどん育っていく娘。もう、決めるしかありませんでした。

もしものことを考えて、保育園の数だけでなくベビーシッター、一時預かりなどの選択肢が多い都内へ転居することに。そして、わたしはフルタイム正社員の正式オファーを受け、夫は一部の仕事を残しつつ業務を整理し、専業主夫になりました。

 

決め手になったのは「キャリアのチャンス」

その決断に踏み切った大きな要因としては、夫はまだ20代、わたしはもう40代という年齢でした。働き盛りの20代男性と、40代女性という属性で比べたら、キャリアのチャンスはわたしのほうが、圧倒的に少ない。そしてこの次のチャンス自体があるかどうかも分からない。

ならばいったんわたしのキャリアを優先させてもらおう、という判断でした。これがベストなのか、今でも迷うときがあります。プレッシャーもあります。わたしのキャリアを優先してもらったけれど、もし成功できなかったら? わたしのワガママで、夫に無駄な遠回りをさせたことになるのでは? とも。でも、腹を決めてやってみるしかない。そう思いました。

そして同時に、夫はこの専業主夫期間を活かして仕事に関わる講座に通い、仕事を控えて学びに充てる「溜め」の期間として活用してみる、ということになりました。

 

「娘のお世話をフルでできる人が家に2人いる」ことの安心感

さて都内への転居、入社、来年4月の保育園入園を目指した準備・申込みなどを経て、現在の役割は「家(家事と育児)のことは夫」「外で稼いでくるのは妻」と大まかに分かれました。

この体制にしてみてよかったのは、「もしかしたら、男性も育児に向いている面があるのでは?」と実感できて、夫に娘を安心して任せられるようになったこと。

それまで「育児は母のメインタスク」という先入観があり、娘の世話を夫に任せるのにどこか罪悪感があったのですが、いざ新生児を連れて検診へ行ったり、日々の買い物へ出かけたりしようとすると、力仕事なので腕力のある夫のほうが有利です。

実際、産婦人科でも「パパのほうが手が大きいので、赤ちゃんをお風呂に入れるとき安定するんですよ」とアドバイスをもらったこともあります。実際、娘をベビーカーに連れ出すようになって、電車の乗り換えや移動で夫の腕力が頼りになることも多々あり、なおさらこの思いは強まりました。

また会社員復帰後、泊まりの出張が数回あり、否応なしに夫がワンオペで娘の世話をすることがありました。もともとかなりの範囲を夫は対応できたのですが、1人でお風呂に入れるためのリハーサルをしてみたり、分担していた授乳準備をまるまる任せて段取りを確認してみたりと、最初はハラハラしましたが、今となってはすっかり手馴れたものです。

そうなると「娘のお世話をフルでできる人が家に2人いる」ことになり、それぞれ1人で出かけるときがあっても安心して任せあえるようになりました。

 

それぞれ出来る範囲で家事をがんばる、最悪、死ななきゃ何でもいい

一方、もともと料理が得意ではなかった夫に家事のリードを任せるのは不安もありましたが、そこは仕事と同じで、「一度任せたら相手のやり方に口を出さない」ルールを適用しています。中食や外食、デリバリーなどの選択肢がグッと増えたという意味では、都内に転居してきたのも正解だったと思います。

それ以外の家事は緊急的に「あるべき姿のハードルを下げる」を適用。このスタイルの家庭運用に慣れるまでは「それぞれ出来る範囲で家事をがんばる、最悪、死ななきゃ何でもいい」というレベルまで引き下げつつ、おたがいの負担を見ながらちょうどいい高さまで家事ハードルを戻していく予定です。

発見として、この役割分担を開始してみて個人的に感じたのは「稼ぎをひとりで担う」という精神的なプレッシャーでした。期間をある程度区切ったとはいえ、自分ひとりの稼ぎで家族3人の生活を支える、という状況が間近に迫ると、思いのほか精神的な重圧がありました。

本当にうまくやっていけるんだろうか、と思うと、入社前日の夜には不安で思わず泣いてしまったほど。

これは支出と収入のバランスが十分取れていたとしても起こりうるストレスだと思います。もし自分が倒れたら、もし仕事がうまくいかなくなったら……など、心配のタネは尽きません。

自分が大黒柱を背負うことになってみてはじめて、「パートナーのうち、片方だけが経済的責任を担う」ことの重圧と不安定さを痛感しました。実際その立場になってみないと、ここまでの実感はできなかったと思います。

 

働き方は「HOW」であって「WHAT」ではない

そうして新しい家庭運用の方法を開始してみて思うのは、夫婦のあり方、働き方は、あくまで「HOW」でしかない、ということでした。

わたしたちは「共働き」がしたいわけでもないし、夫が専業主夫であることやフリーランスでいることにこだわりがあるわけでもありません。あくまでそれは「HOW」であり、わたしたちの「WHAT」ではないのです。何より大切なのは「WHAT」の実現であり、その実現のために「HOW」があるのではないだろうか、と思うのです。

わたしたちがしたいこと、わたしたちの「WHAT」は、「夫婦、そして娘が幸せになること」です。もしこの運用でわたしが快適に思っていても、夫がどこかで不満を感じていたら意味がありませんし、逆もまた然りです。

夫婦のみならず娘を含めた「全員が幸せになる」を最終ゴールとして設定するのは非常に難しく、一生「この状態がベスト」には辿り着けないかもしれません。

それでもおたがいの状況や希望や、やりたいこと、やりたくないこと、やってほしいと思っていることを聞き合って尊重し、工夫をして乗り越え、よりベストに近い形を模索していくのが我々なりの夫婦のあり方なのだと思います。

 

わたしの親世代では、専業主婦がマジョリティでした。わたしの両親も、わたしが子を産んでも外で働いていることにまだネガティブなリアクションをするときがあります。

それでも少しずつ変わっていく時代の中で、今までのロールモデルや、誰かがつくった「あるべき姿」にとらわれず、自分たちの「なりたい姿」を追い求め、ベストに近い選択肢を探し続けることが、「夫婦や家族をつくる醍醐味」なのではないだろうかと思っています。

まだまだ試行錯誤中の我が家ですが、これからもこんなふうにして「家族をつくる」をしていけたらよいなと思います。

今日はそんな感じです。

 

チャオ!

 

執筆・はせおやさい/イラスト・マツナガエイコ/企画編集・明石悠佳

 

本記事は、2019年4月11日のサイボウズ式掲載記事
家族が幸せになるなら、そのあり方はなんでもいい──「フルタイムで働く妻と、専業主夫」を試すことになった話
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