【画像】世界初の同性婚から20年。結婚の平等を喜んだ4組のカップルたち

世界で一番最初に結婚の平等を実現したオランダ。歴史的な結婚式の日から今日で20年です
(左から)深夜のアムステルダム市役所で結婚し、キスをするドルフ・パスケルさんとゲルト・カステーさん。彼らに笑顔を向けながら、自分たちが結婚する番を待つヘレネ・ファーセンさんとアンネマリ・フースさん
(左から)深夜のアムステルダム市役所で結婚し、キスをするドルフ・パスケルさんとゲルト・カステーさん。彼らに笑顔を向けながら、自分たちが結婚する番を待つヘレネ・ファーセンさんとアンネマリ・フースさん
MARCEL ANTONISSE via AFP via Getty Images

2001年4月1日は、結婚の平等を求める人たちにとって歴史的な日です。

20年前のこの日、世界で初めて、オランダで同性カップルが法律婚できるようになりました。

同国では2000年12月に同性同士の結婚を認める法案が議会で可決され、2001年4月1日に法律が施行されました。

AP通信によると、日付が変わって4月1日になった直後に、1組の女性カップルと3組の男性カップルが、大勢の人に見守られながら首都アムステルダムの市役所で結婚。

アムステルダムのヨプ・コーヘン市長が「今日皆さんには祝うことが2つあります。1つ目は結婚したこと、そして2つ目は結婚する権利を手にしたことです」と述べ、4組のカップルを祝福しました。

結婚証明書へのサインの仕方を聞く、ヘレネ・ファーセンさんとアンネマリ・フースさん
結婚証明書へのサインの仕方を聞く、ヘレネ・ファーセンさんとアンネマリ・フースさん
Reuters Photographer via REUTERS

同性カップルにとって、結婚が認められたことは、単に法律上の利益を受けられるということだけではなく「平等に扱われる」という重要な意味を持つものでした。

パートナーのフランク・ウィッテブロードさんと結婚したペーテル・レムケさんは、「これは全ての人に同じ権利が与えられるようになったということです。愛に性別は関係ありません。それだけです」と、笑顔でインタビューに答えました。

ウィタブロードさんも「愛は人と人との間に生まれるもの。男女の間のものだけではありません。人と人との間のものになったんです」と喜びを語っています。

コーヘン市長は「(同性間の結婚は)重要だと確信しています。これは平等に人を扱うということであり、結婚したいと望む同性の二人が結婚できるようにするということなのです」と、同性間の結婚が平等の問題であることを強調しています。

法律で同性カップルと異性カップルを同等に扱い、結婚を認めたのはオランダが初めてでしたが、その10年以上前の1989年には、同性カップルにも結婚と同等の権利を与える「登録パートナーシップ」がデンマークで導入されています。

この制度は様々な国に広がり、オランダも1998年に登録パートナーシップを導入しました。

しかし当時オランダの国会議員だったボリス・ディトリッヒ氏は、パートナーシップ導入は大きな前進だったものの、十分ではなかったと2011年に語っています

ディトリッヒ氏は「別々だけど平等」という制度は、黒人と白人を分離した南アフリカのアパルトヘイトやアメリカのジム・クロウ法を思い出させると指摘。

「ふたりの人間が、結婚してお互いの責任をシェアし、相手にコミットすると決めたのなら、性的指向を政府が問題にすべきではない」と述べています。

結婚指輪を見せる、フランク・ウィッテブロードさん(左)とペーテル・レムケさん
結婚指輪を見せる、フランク・ウィッテブロードさん(左)とペーテル・レムケさん
Michael Kooren

またディトリッヒ氏によると、「法案が可決されれば、結婚制度の価値が下がり、オランダは他国から疎外されるだろう」という理由で、同性間の結婚に反対する人もいました。

しかし「その後オランダで異性カップルが結婚するのをやめたり、オランダが他国から除け者にされたり、国が壊れたり、神に罰せられたりはしていません」と、ディトリッヒ氏は振り返ります。

むしろその後、ベルギーやスペイン、カナダ、南アフリカなど様々な国が同性間の結婚を法制化。これまでに、29の国や地域に広がっています。

そして世界初の結婚の平等が実現してから20年となった2021年、日本では「同性間の結婚を認めないのは、憲法違反」という歴史的な判決が札幌で言い渡されました

同性間の婚姻ができるようにする法案(婚姻平等法案)も、2019年に提出されており、法律で結婚制度を平等なものにして欲しいと多くの人が国会議員に求めています

20年前のオランダで結婚した女性カップルの一人ヘレネ・ファーセンさんは、「この上なく幸せです。最高です」と話しました。同じ言葉が、日本の同性カップルからも聞ける日が待ち望まれています。

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