唐突ですが意見表明をします。今後のテレビ出演ではいじめ、決めつけ、ステレオタイプ、ジェンダー差別、ステマ、ファクトチェックされていない情報流布になるべく抵抗することにしました。生放送では勿論やりますが、収録ではカットされてもやります。以下、長く深くなりますが私の考えを解説します。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) September 1, 2020
まずテレビ・メディア業界がコロナウイルスで経営に大打撃を受けているのは周知されている通りです。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) September 1, 2020
民放キー局の4~6月、4社が最終減益:日本経済新聞 https://t.co/tu0r3gOH3w
安倍総理の辞任も追い打ちとなり、五輪開催には暗雲が漂っています。
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「求心力」失い東京五輪開催見通せず…安倍首相辞任表明、スポーツ界にも衝撃:東京新聞 TOKYO Web https://t.co/pHX1Jck4uO
これらはスポンサー環境の冷え込みを意味し、民放テレビ業界にはさらなるダメージとなります。今後番組の再編成、制作費(ギャラ、人件費)の圧縮などは避けられない流れが見えてまいります。以上、ほぼ情報価値のない前置きをさせていただきました。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) September 1, 2020
さて、このようにコロナ・政治・五輪不安などに加えてそもそもネット配信およびネットの浸透によって圧迫されているテレビそのものの業態があります。後者の「ネットの脅威」に対しては逆によくここまで持ちこたえたなと感心しています。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) September 1, 2020
しかるに、ここに至ってテレビというものが「tipping point」つまりクラッシュの一歩手前まで来ているのではないかと最近実感するようになりました。直接の名指しはしませんが、コロナ蔓延以降、全体的に以下のようなトレンドを感じています。リストは長くなります。
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◎報道、バラエティーともに瞬発的なセンセーショナリズムを追う演出が以前より目立つようになった。
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◎生煮えの企画が多く、見切り発車の頻度が増えている。情報番組ではファクトチェックが入念になされない。
◎番組のコーナーがステルス・マーケティングとして構成されている。出稿したと思われる企業の商品やサービスを出演者が礼賛する組み立てになっているが、往々にして出演者はこのことを事前に知らされていない。
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◎直接・間接の「いじめ」が盛り込まれる場面が増えた。例として「クイズに答えられなかったら罰ゲーム」「チームメートになじられる」「高学歴なのに低学歴のタレントでもわかる問題がとけなかった」などなどです。あるいは女性出演者の年齢をアイドル、新人アナと比較する形で「いじる」演出。
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出演者同士がある種の「視聴者サービス」でいじり合い、いじめ合う演出もあれば編集や進行で見ている人がその「いじり」や攻撃に参加できるようにうながすものなど、種々雑多です。昨今、こういった演出が過剰であったため犠牲者も出ています。
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◎出演者をキャラ設定や肩書などではめ込む傾向。自分に限って言うと「東大とハーバードに同時合格」がテロップに流れる場合が多いです。40年前の快挙(確かに快挙ではあった)に驚く人がいることも否めませんし、それで出演できるのならまあいい、という按配なのですが、そこに押し込みすぎる。
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◎「日本をほめる外国人枠」のようなものの存在を以前から感じていましたが「日本をほめまくる日本人枠」も出現しているように感じます。
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◎出演者が安い「感動」に涙する場面がお約束で「もういいよ」と思うほど盛り込まれる。
◎若い女性を「昭和のオヤジ目線」でキャスティングする傾向。これはもう定番ですが #MeToo 以後、本当に世間の価値観は変わってきています。テレビは追いつく必要がある。
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また、番組の制作サイドと連携しているのかどうかはわからないのですが、こういう記事はもう無しにしたほうがいい>
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『ネプリーグ』フジ新人アナが“爆乳”ブルンブルンッ!「女も興奮するデカさだ」 (2020年8月25日) - エキサイトニュース https://t.co/DsEW9jKhQB
この記事が「ごく一部の下世話なメディア限定」だとしても公開されている以上、女性アナウンサーを性的な商品へと貶める記事であることは否めません。「女子アナ」「乳」で検索して注釈なしで記事が出てくる構造自体に暴力性があります。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) September 1, 2020
以上でごく一部でした。おそらく経済環境が良いと「おしゃれな多様性」だとかリベラル目線の構成も増えるのでしょう。実際、バブル期の「なんでもあり」なテレビ文化の中にはさまざまなオルタナティブ文化や主流から外れた価値観が生息できていました。ですが今は余裕がない。先も見通せない。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) September 1, 2020
そのしわ寄せが「やっつけで乱暴な、ポルノ的演出」という形で現場に降りてきてしまっている。とにかくテレビの元気がない。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) September 1, 2020
「ユアタイム」に出演していた当時から「テレビは泥舟だな」と思っていて、それを文春Webで長文記事にしたこともありました。
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ショーンKの後任、モーリー・ロバートソンが書いた「ショーンK問題の真相」 #モーリーロバートソン #ショーンK #文春オンライン https://t.co/PEWrE1rv3J
しかしなかなかどうして大企業のスポンサーシップは手厚く、文春の記事を書いた2016年以降、テレビは五輪開催やインバウンド祭り、アベノミクス三本の矢をもって難所を乗り切り、ネット配信にも進出して21世紀に君臨する存在へと返り咲くのではないかというほどに勢いづきました。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) September 1, 2020
そしてその勢いはコロナと共に「しゅっ」と音を立てて蒸発しました。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) September 1, 2020
一方でアメリカ大統領選に目をやると争点になっているのは多様性と白人至上主義の戦い、イケドンの新自由主義と社会民主主義の戦い、孤立主義と国際協調の戦い、環境問題を直視する世代と無視する世代の戦い、差別と寛容の戦いです。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) September 1, 2020
今回の選挙でトランプ氏が再選されたとしても間違いなく価値観の世代交代は訪れる構図です。
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分断のアメリカhttps://t.co/4QHaHRobK8
米、16歳未満で白人が初めて少数派に 今後25年以内に全人口 https://t.co/3nLt4VfBul
この価値観の交代は間違いなく日本にも押し寄せてきます。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) September 1, 2020
みんなが同じものを求める「マスの幸福像」がもはや成り立たず、逆にそれぞれの人がテンプレートを外れて自分らしく生きることが求められる時代になっています。女性や外国人、LGBTの人々だけではありません。
日本はすでにあらゆる属性の人、あらゆる少数者にお願いをして活躍してもらわないと乗り切れない社会になっているのです。さて、テレビはこのパラダイムシフトに追いつけるのか?
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) September 1, 2020
それは、いい質問だなと。
さほどテレビに愛着がなく、翻訳アルバイトよりは条件が良いという一点で出演し続けているのでテレビがまた元気になるかどうかは、正直どうでもいいのです。ただ、ヘイトへの加担はしたくない。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) September 1, 2020
テレビが衰弱し続ける中で手っ取り早い「いけにえ」を見つけ出そうとする傾向には業界がコンプライアンスを働かせるべきです。加えて視聴者も出演者もいじめに加わってはなりません。こんなことを言わなくてはならない状況がそもそも異常です。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) September 1, 2020
「テレビは楽しければそれでいい」と言えたイノセントな時代は終わってしまいました。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) September 1, 2020
反論が聞こえてきそうです。「テレビはそれほど見ている人がいない。こんなこと気にしてもしょうがない」と。でも、案外みんな見ているんです、驚くほど。
定食屋でも居酒屋でもつけっぱなしで会話が止まると皆さん、画面に目が向いています。子供は日本中で見ています。自分自身、子供に大人気なんです。なんでかわからない。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) September 1, 2020
トランプだアンティファだ大麻だという発信しかしていないつもりなのに、ちょい役で子供が見る番組に出て小銭稼ぎをしてきたのがチリツモ。テレビは影響力が案外、どでかい。つまりこの問題を放置すると日本のチェンジをもう一世代待たなきゃいけないことになる。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) September 1, 2020
私自身はいつでも一方にトランプ氏がいて、他方にカマラハリス氏や大坂なおみさんがいるのだという現実を意識せずにはいられない。「いやなら見るな」という有名な暴言がありますが、「いやなら呼ぶな」と言いたい。そして最後に。「ネットの闇」のせいじゃないからな!
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) September 1, 2020