星野源さんのMVに同性カップルが出演、反響呼ぶ 「ごく普通のカップル」として描いていた

「どの性別のカップルであったとしても、愛する人への眼差しは変わらない」

歌手、俳優の星野源さんが新しく公開したミュージックビデオ(MV)が反響を呼んでいる。しっとりとした曲調のラブソングだが、MVには男女のカップルだけではなく、女性同士、男性同士のカップルが出演しているためだ。

カップルの日常 優しく描く

「Ain’t Nobody Know」は、イギリスのミュージシャン、トム・ミッシュとの共同プロデュースで生まれた楽曲。2019年10月に発表されたEP『Same Thing』に収録された。

1月16日に公開されたMVには、女性同士、男性同士、男女のカップルが1組ずつ登場する。

それぞれカフェで待ち合わせをするシーンからはじまり、恋人とおちあうと、一緒にお酒を飲んだり、手を取り合ったりキスをしたり...。カップルの日常を切り取ったような場面が、優しいトーンで描かれている。

最後は、星野源さんと、モデル・俳優として活動する小松菜奈さんが登場し、2人が見つめ合うシーンで幕を閉じる。

実際のカップルが出演している

MVに出演するレズビアンカップル、ゲイカップルの2組は、実際のカップルだ。

レズビアンカップルは、ハワイ在住で、YouTuberとして活動するKanaさん、Mikiさん。ゲイカップルは、モデルやDJとして活動するTaikiさんとNoahさんだ。

Kanaさん、Mikiさん
Kanaさん提供
Kanaさん、Mikiさん

出演したKanaさんとMikiさんは、ハフポスト日本版のメール取材に対し、「美しい映像に感動した」と完成したMVへの感想を寄せてくれた。

「肌の質感、眼差し、指先、唇によって『愛』を表現しながらも、接写によって『性別』という枠組みが分かりにくくなっていることに驚きを覚えました。

どの性別(セクシュアリティ)のカップルであったとしても、愛する人への眼差しは変わらないんだなぁという印象も受けました」

同性カップルを「ごく普通のカップル」として描く

これまでの「恋愛ソング」といえば、「男女」という異性間恋愛を対象としたものが多数を占めていた。しかし、セクシュアル・マイノリティーへの社会的理解が進み、時代が変化してきている中で、恋愛の描かれ方も変わってきている。

「Ain’t Nobody Know」の歌詞も、「男女の恋愛」とは断定できない表現を用いており、さまざまな人に当てはまるような恋愛ソングになっている。

星野源さんは過去にも、多様な生き方や恋愛のあり方を肯定するメッセージを発信してきた。

2017年に「Family Song」をリリースした際には、「両親が同性同士の家族だったりっていうのも、これからどんどん増えてくると思う。そういう家族も含めた、懐の大きい曲を作りたいと思った」と語っている

また、2018年のNHK紅白歌合戦では、「これからの紅白は紅組も白組も性別関係なく混合チームでいけばいい」と話し、反響を呼んだこともある。

「今回のMVで、同性カップルが起用されたことに大きな意義を感じました」。KanaさんとMikiさんはそう語る。

MVの中でも、私たちは『禁断の恋』のようなものではなく『ごく普通のカップル』として扱われています。そのカップルの一員として私たちを選んでいただいたことを、本当に光栄に感じています」

YouTubeのコメント欄やTwitterには、「(星野さんは)楽曲で寄り添いMVで寄り添い、国、人種、性別に垣根がないと表現している」など、好意的な感想が寄せられた。

幅広い年代から支持され、影響力の高い星野さんがLGBTQへのポジティブなメッセージを発信をすることには、大きな意義があるだろう。