NEWS
2019年03月17日 12時07分 JST

山の斜面に、墓石がびっしり。縮まる社会を映し出す「墓石の墓」とは?

大半の理由は「世話ができなくなったから」

朝日新聞社
広大な敷地に広がる「墓石の墓」=2019年2月27日、愛知県豊田市花沢町、吉本美奈子撮影

「墓石の墓」縮まる社会を映し出す 山にびっしり2万基

 山の斜面に、墓石がびっしりと敷き詰められている。石仏や五輪塔、地蔵も交ざり、その数は2万基を超える。行き場を失い、撤去された墓石を受け入れて供養している愛知県豊田市花沢町の浄土真宗妙楽寺に平成の30年間、「墓じまい」などで持ち込まれる墓石は急速に増えた。縮小する社会の裏で、「墓石の墓」は拡大している。

 妙楽寺が墓石の受け入れを始めたのは約40年前。現住職の鈴木政彦さん(57)の父が石材店を営んでいた縁で、墓石の引き取りを頼まれた。その後、寺を受け継いだ鈴木さんによると、平成に入った頃、受け入れていた墓石は1年で10基程度だったが、だんだん増えて今では年間約400基になるという。

 並べられた墓石は幅250メートル、高低差20メートル以上に広がる。江戸時代や明治時代の墓、旧日本陸軍の階級が刻まれた墓、交通事故で亡くした子どもを供養したコンクリート製の観音像、眼鏡をかけた胸像、こま犬まである。

 通常の形の墓石なら7千~2万5千円の永代供養料で引き取り、鈴木さんが毎月、お経を上げている。供養料は平成の初めから変えていない。

 かつては開発工事に伴って撤去されたり、「だまされて買わされた」といった理由で持ち込まれたりした墓石もあった。だが大半の理由は「世話ができなくなったから」。少子高齢化による「墓じまい」に加え、寺自体がなくなる「寺じまい」で引き取ったことも。

 元の所有者の家族が姿を見せることはまずない。「でもねえ」と鈴木さんは言葉を継いだ。「墓の数だけ事情はあるけれど、放置せずに寺に預けたということは思い入れがあったということ。平成の次の時代も変わらないでしょう。だから受け入れを続けます」

 墓守がいなくなった墓の石は、通常は石材業者らが預かるが、近年、数が増えて負担となっているという。各地で墓石の不法投棄が問題になっており、昨年は宮城県、2015年には岡山県で業者が逮捕されている。一方で、墓石を積極的に引き取っている寺も広島県などにある。(臼井昭仁)

(朝日新聞デジタル 2019年03月16日 21時33分)

関連ニュース