障害者事業所利用者の手作り「戦国武将かりんとう」売り上げ年間1500万

岐阜県産小麦粉を使い、米油で丁寧に手揚げし、着色料などの添加物を一切使わないことがこだわりだ。利用者は、揚げを含む全工程を担う。
左から黒糖、紫芋、抹茶味のかりんとう
左から黒糖、紫芋、抹茶味のかりんとう
福祉新聞

岐阜市の社会福祉法人いぶき福祉会(横山文夫理事長)は、NHK大河ドラマ「麒麟きりんがくる」に登場する岐阜県ゆかりの武将をイメージした「戦国武将かりんとう」の製造・販売を始めた。大河ドラマ館や岐阜駅の法人アンテナショップで販売しており、評判を呼んでいる。

かりんとう作りは、障害者事業所「いぶき」(生活介護、定員20人)の利用者が小麦粘土をこねている様子を見て、1995年から始まった。材料を混ぜ、こねた生地を成形して揚げ、形や大きさをそろえ、味付けし、袋詰めして完成する。利用者は、揚げを含む全工程を担う。

商品を詰める事業所の利用者
商品を詰める事業所の利用者
福祉新聞

現在、黒糖・紫芋・抹茶・紅茶・きな粉・オレンジの6種類を作っており、売り上げは年間1500万円に上る。県産小麦粉を使い、米油で丁寧に手揚げし、着色料などの添加物を一切使わないことがこだわりだ。

商品開発は、大河ドラマ岐阜市実行委員会の関連商品募集の案内を見て昨夏に始まった。商品にロゴマークを使用でき、のぼりなどのPRグッズも利用できるメリットがあった。

同会では「招き猫マドレーヌ」「手作りジャム」などさまざまな自主製品を製造しているが、毎月開く商品開発会議で、最も売り上げが良いかりんとうを生かして、明智光秀(紫芋)、織田信長(黒糖)、斎藤道三(抹茶)をイメージした商品を作ることを決めた。

ブランドマネージャーの山本友美さんを中心に工夫したのが、パッケージ。手に取りやすいスタンドパックに家紋を入れた戦国風のデザインを施した。

当初は、ドラマ館での販売までは考えていなかったが、昨年11月に市職員から販売を取り仕切る市土産物品協会を紹介され、一気に話が進んだ。準備期間が短く、商品(40グラム・540円)を納品できたのは1月11日のドラマ館オープン前日という慌ただしさだった。

1月末までの売り上げは200個・約11万円。北川雄史・専務理事は「製造ラインが追いつかないかもしれないが、売り上げ倍増してほしい」と、春と観光客の訪れを期待している。

注目記事