霊長類モデルで、発作を起こした心臓が幹細胞で回復

移植後の不整脈を制御するためのさらなる研究がまず必要だろう。

柴祐司(信州大学)たちは今回、軽度の免疫抑制を用いることで、心筋梗塞を起こした非ヒト霊長類の心臓に直接移植した同種異系iPSC由来心筋細胞が、生着・生存できたことを報告している。この移植細胞は宿主の心筋細胞と電気的に結合して、心収縮機能を改善した。

しかし今回の研究でも、胚性幹細胞由来心筋細胞を非ヒト霊長類の心臓に移植したこれまでの実験と同様に不整脈が見られたことから、この幹細胞治療を臨床にトランスレートするには、移植後の不整脈を制御するためのさらなる研究がまず必要だろう。

Nature538, 7625

2016年10月20日

原著論文:

doi: 10.1038/nature19815

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