大切なのは「シェアして食べる幸せ」。アイスクリームのサブスクが始まった理由は?

HiO ICE CREAMを率いる西尾修平さん。「人と人をつなぐアイスクリームを作りたかった」と打ち明けました。
HiOLIの代表取締役兼CEOの西尾修平さん
HiOLIの代表取締役兼CEOの西尾修平さん
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製品やサービスなどの定期購入を意味する「サブスクリプション(サブスク)」。「商品が元々持っている強みに、テーマ性や物語を加えて『付加価値』を提供する」という新しい視点で、EC業界にも浸透し始めている。そんなサブスクが、アイスクリームでも始まった。

人と人をつなぎ、幸せな体験を届けるアイスクリーム

株式会社HiOLIは4月19日、アイスクリームのサブスク「HiO ICE CREAM」を開始した。HiOLIの代表取締役兼CEOの西尾修平さんは、「届けたいのは商品ではなく『幸せな体験』」と話す。

購入は基本的にサブスクがメインで、その他リアルショップを1店舗構える。サブスクは、ひと月あたり2700円(送料込)で、月に1度、シェア用の大きなカップ(473ml)のアイスクリームが2つ届く。

アイスクリームは、素材の良さが引き出された味となめらかな食感がウリだという。牛乳などの素材は、50か所以上の生産者のもとに直接足を運んで選んだもの。手作業と機械と組み合わせて丁寧に製造を行い、ライン生産では実現できない素材の繊細な風味も引き出したという。

「『今月はどんなフレーバーが届くんだろう』というワクワク感から、食べるまでの一連の体験を「価値」としてお客さんに届けたいです」と西尾さん。

とりわけ大切にしている体験は、「シェアして食べる幸せ」だという。1食分の小さなカップではなく、あえてシェア用の大きなカップを使用するのはそのためだ。初回お届け時は、専用のスクープも付いてくる。スクープでシェアして食べることで、自然と人が集まり、そこに会話が生まれる。「人と人をつなぐアイスクリームを作りたかった」と西尾さんは言う。その想いの背景には、アイスクリームにまつわる子ども時代の忘れられない思い出があった。

子供の頃、週末親父と一緒にアイスクリームを買いに行って食べるのが決まりだったんです。親父は普段仕事で忙しくて、一緒にいられる時間ってそのくらいだったんです。だから、大好きな親父とのその時間が本当に嬉しくて。学校や習い事のこととか話しましたね。あとは『弟と何で喧嘩したの?』とか(笑)。親父はもう亡くなったんですが、今でもその幸せな記憶が残っています

ブランドミッションは「MAKE HAPPY ICE CREAM MORE THAN EVER(今までにない幸せなアイスクリームを作る)」。「DELICIOUS(美味しい)」ではなく、あえて「HAPPY(幸せ)」という言葉に、ブランドが提供したい価値を表した。

HiO ICE CREAM
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「ブランドと一緒にお客さんも歳をとってくれたら」

HiO ICE CREAMは、サブスクを通して「価値観を共有してくれるお客さんと、深く長く付き合う」ことを目指している。

西尾さんは、「消費者とメーカーとの関係を、“点”から“線”にしたい」と表現した。定期的に商品を届けるサブスクリプションは、メーカーと消費者の関係を「一時的なもの(“点”)」から「継続的なもの(“線”)」に変える。

今後は、お客さんとの「つながり」や「対話」を大切にするため、リアルなイベントなども企画するつもりだという。

「ブランドと一緒にお客さんも歳をとってくれたら」

「20年、30年後、『HiO ICE CREAMが私のハッピーツールだった』って誰かに言ってもらえたら幸せですね」

西尾さんそんな言葉から、アイスクリームを通じてお客さんの長い人生に寄り添いたいという強い想いが垣間見えた。

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取材では、東京・自由が丘にオープンした工房(アトリエ)と、それに併設したリアルショップを訪れた。アイスクリームはこのアトリエで製造されている。アトリエはガラス張りになっており、アイスクリームが作られる様子が見える。HiO ICE CREAMの大切にしている価値観「顔が見えるものづくり」を体現しているという。

自由が丘にオープンしたHiO ICE CREAMの工房(アトリエ)
自由が丘にオープンしたHiO ICE CREAMの工房(アトリエ)
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