「香港人権法」とは? トランプ大統領の署名で成立、中国は強い反発【3分でおさらい】

香港の反政府デモを支援する法案が成立。どんな法案なのでしょうか?
ドナルド・トランプ大統領、習近平国家主席
ドナルド・トランプ大統領、習近平国家主席
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アメリカのトランプ大統領は11月27日(日本時間28日)、「香港人権・民主主義法案」に署名し、同法が成立した。同法は、香港の自治を保証する「一国二制度」が守られているか米国務省に毎年の検証を義務付け、香港での人権侵害に関与した政府関係者らに制裁を科す内容となっている。

中国は強い反発を表明しており、法案を成立した場合は報復措置をとる構えを示していた。法案の成立によって米中間の緊張が一層高まり、両国の貿易協議に影響が出ることが予想される。

「香港人権・民主主義法案」とは?

「香港人権・民主主義法案」(原文)は、2019年6月に共和・民主両党の議員が超党派で提出。11月19、20日に上下院で賛成が圧倒的多数で可決された。

香港では、1997年のイギリスから中国への返還に際し、「一国二制度」のもと「高度な自治」が50年間にわたって維持されることが約束された。

法案は、中国がこの「一国二制度」を守っているかどうか、米国務省に毎年の検証を義務付ける内容だ。

アメリカは、1992年制定の「米国・香港政策法」で香港を中国本土とは異なる地域とみなし、関税やビザ発給などで香港を優遇している。毎年の検証に基づき、この優遇措置が妥当かどうか判断するという。

また法案には、香港の自治や人権を侵害した人物に対し、アメリカへの入国禁止や資産凍結などの制裁を科すことも盛り込まれている。

香港でデモに参加する人々
香港でデモに参加する人々
NICOLAS ASFOURI via Getty Images

反政府デモを支援、中国は法案成立に反発

法案は、香港で6月から続く反政府デモへの支援を明確にするものだ。

法案提出者の一人であるマルコ・ルビオ上院議員(共和党)は、上院での法案可決にあたり、「長年の悲願である自由を求めて戦っている香港の人々に対して、我々は明確なメッセージを送った。我々はあなた方の声を聞き、あなた方と共に立ち上がり、あなた方の自治が損なわれることに対して黙っていません」声明を発表した

一方、中国は法案に強い反発を示し続けてきた。

NHKニュースによると、中国外務省の耿爽・報道官は「法案が成立した場合には中国は断固として反撃し、主権や安全を守る」として、報復措置をとる構えを見せていた。

判断迫られたトランプ大統領 「友好的な解決を」と声明

米中貿易戦争の収束を目指すトランプ氏は、拒否権を行使して法案への反対姿勢を示す選択肢もあった。

11月22日にテレビ出演した際には、「私は香港の人々と自由を支持する」としながら「習近平国家主席は私の友人だ」とも述べ、明言を避けている

27日に署名をし、法案が成立したことで、貿易交渉はさらに複雑化すると見られる。

トランプ氏は声明で、「習近平国家主席、中国、そして香港の人々に敬意を払い、法案に署名した」と説明。「中国と香港の指導者や代表が、互いの相違を友好的に解決し、すべての人々の長期的な平和と繁栄につながることを期待している」とコメントした。

ロイター通信によると、中国政府は法案成立に反発し、「断固とした報告措置」を取ると警告したという。香港政府は、同法の成立は香港の内政に「干渉」するものだとして非難した。

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