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2019年08月02日 12時50分 JST | 更新 2019年08月02日 17時26分 JST

「外見より中身を磨け」歌舞伎町でホストがゴミ拾いを続ける理由

【ごみゼロ日記:第22話(番外編)】

TkKurikawa via Getty Images
新宿・歌舞伎町イメージ写真

梅雨が明けたばかりの7月30日、新宿、午後4時。

炎天下の中、私は歌舞伎町にやってきた。
ホスト集団がゴミ拾い活動をしていると聞きつけたからだ。

ホストというと、なんとなくチャラいイメージ(すみません)があるけれど、ゴミ拾いしてるなんてメッチャかっこよくない?

真相を確かめる為、歌舞伎町の指定集合場所に向かうと、なにやら10人ほどの男性が輪になって集まっている。

彼らは紫色の髪だったり、EXILEっぽかったり、K-POPっぽかったり、サラリーマン風だったり、渋谷のやんちゃボーイっぽかったりと、タイプは様々だ。

これがもしや......?

Yuko Funazaki
歌舞伎町のビルで集合しているのは...

そう、彼らが歌舞伎町をホームとしゴミ拾いをするボランティア団体、「夜鳥ノ界」のホストの皆さんだ。

夜鳥ノ界は、ホストクラブや飲食店などを運営するSmappa!Group会長の手塚マキさんが2005年に設立したボランティア団体。現在は同社ジェネラルマネージャーのMUSASHIさんが代表を務め、月1で歌舞伎町のゴミ拾い活動を行なっている。

その日は最高気温34度の炎天下にも関わらず、有志約10人が集合。普段は20〜30人が集まるという。

MUSASHIさんを中心に円陣を組み、注意事項などについて一通りの説明を終えると、メンバー達はトングとゴミ袋を手に街に繰り出した。

Yuko Funazaki
レッツゴー!

その日の決められたルートに沿って、散らばりながらゴミを拾い始めるホストたち。その姿は、はっきり言って、目立つ。カジュアルな格好をしている方もいれば、暑いのにスーツを着ている方(ご苦労さま)もいたが、セッセと熱心にゴミ拾いをする姿は、歌舞伎町の中でも人々の目を引いていた。

Yuko Funazaki
ゴミ拾いをするホストの皆さん。後ろの「職業イケメン」広告も気になる...(広告は、夜鳥の界とは無関係です)
Yuko Funazaki
黙々とゴミ拾いをする皆さん。時には「ごくろうさま!」と声をかけられる姿も。

見てるだけではイカンと、私もゴミ袋をもらい彼らの後を追う。大きなゴミはそこまで多くはないが、タバコの吸い殻のゴミが酷い。

Yuko Funazaki
そこら中に落ちているタバコの吸い殻

ゴミのポイ捨てはマナー違反だけでなく、環境にも影響を及ぼすことはご存知だろうか? タバコに関しては、「紙だし、そのまま自然界に還るでしょう」と勘違いしている人もいるかもしれないが、実は吸い殻として残っている部分の多くはフィルターで、主に木材と石油を原料にした半合成繊維「アセテート繊維」でできている。簡単には自然界で分解されない。マイクロプラスチックと同じように自然界に長く残り続け、有害物質が漏れ出すおそれがある、と米サンディエゴ州立大学の研究チームは指摘しているという。

他にも、アルコールの空き瓶や、夏ならではの「汗拭きシート」も。話によると、冬には「ホッカイロ」のゴミも多く、ゴミ拾いによって季節を感じることができるという(嬉しくない...)。ちなみに過去には、下着や使用済みの避妊具まで落ちていたという。オー・マイ... 

約30分のゴミ拾いを終え集合場所に戻ると、集まった大量のゴミを分別し、まとめて終了した。

Yuko Funazaki
最後はみんなでしっかり分別

2005年に設立された夜鳥ノ界。そもそも、ゴミ拾いを始めた理由はなんだったのか?

設立者の手塚さんは、2004年の新潟県中越地震への寄付がきっかけだったという。
「最初、目立とう思って寄付をしたんです。自分も下心があったものだから、周りからもどうせイロモノに見られるだろう...とも思っていました。でも実際は違って、皆さんから『ありがとう』と感謝されて...。良い行いをすれば、人はしっかりそこに目を向けてくれるんだ、と感じた出来事でした。こうした体験をスタッフのみんなにも感じてもらいたい。そんな思いから、身の回りからできる社会貢献を、ということでゴミ拾いをはじめたんです」

Yuko Funazaki
Smappa!Groupジェネラル・マネージャーMUSASHIさん

現在代表をしているMUSASHIさんは、この活動には主に3つの目的があるという。
①街の人のポイ捨てを抑制すること
②新しく入ってきたホストメンバーとの交流
③自分に対しての中身磨き

その中でも特に③が重要だと言い、新入りのホストは必ず1度は参加する必要があるという。

「ホストは中身から。外見より生き方がカッコ良くなければいけません。...この活動は社会貢献というより、自身への貢献だと思って欲しい。ごみ拾いをする事によって、ホストの彼らは2度とポイ捨てをしなくなるんです」

夜鳥ノ界に頻繁に参加しているというホスト8年目の天翔(てんま)さんは、最初ごみ拾いを強いられた時、「なんでホストがゴミ拾いしなくちゃいけないんだ?」と思ったという。しかし始めて、近隣から「ありがとう」と声をかけられるようになり、その思いは喜びに変わっていったそうだ。「この活動が広がって、最終的には拾わなければいけないゴミがなくなっていくといいと思います」と話していた。 

Yuko Funazaki
ホストクラブAPiTS所属の天翔(てんま)さん

ホスト歴3ヶ月で今回3回目の参加だったというハクさんは、「実は、以前はポイ捨てとかしていたので、最初にごみ拾いをすると言われた時はヤバイ!と思いました」でも、実際ゴミ拾いをして大変さを知ってからは、ポイ捨てをしないようになりました。今は、ホストがごみ拾いするなんてカッコイイじゃん、と思っています」と語った。

Yuko Funazaki
ホストクラブOPUST所属のハクさん

しかし、開始当初は「街のクズ(ホストに対して)がなにゴミ拾ってんだ」などと心無い声もあったという。また現在も、「非日常空間を提供するホストがゴミ拾いなんてイメージが崩れる」というお客様の声もあるという。

夜鳥ノ界は活動を続けて約15年。色んな意見を受けながらも、これからもっと活動の輪を広げて行きたいという。

代表のMUSASHIさんは、「これからもっと盛り上げて行きたいです。他のクラブのホストや、さらにはキャバ嬢、他にも歌舞伎町で戦うみんなを巻き込んで活動していきたいと思っています」と話す。

Yuko Funazaki
左から、天翔さん、MUSASHIさん、ハクさん

MUSASHIさんやホストのみなさんと話すと、「社会のため」と「自分のため」の行いは、相互作用がある、と感じた。

確かに、私の地道な「ごみゼロ運動」も、やっぱり私を少し、イイ感じの大人にしている気がするのだ。

ゴミ拾いをはじめ、社会貢献やボランティア活動を始めるのに今一歩足を踏み出せない人は、「社会のため、は自分のため」と考えてみると、少し足が軽くなるかもしれない。

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夜鳥ノ界の歌舞伎町ゴミ拾いは月1回。一般の市民やお客様も参加可能だ。「参加して頂いた方で、もしその後ホストクラブにいらしていただける方には特別なサービスも現在検討中です」だとか。

日程は随時MUSASHIさんのTwitterにアップされるので、興味のある方はこちらをフォロー⬇︎

https://twitter.com/sgmusashi

 

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