稲垣吾郎さん、今だから表現できる大人の恋 「2年前があって今の自分がいる」

8月末から都内で上演されるミュージカル「君の輝く夜に〜FREE TIME,SHOW TIME〜」に主演する稲垣吾郎さんの語る「演じる」という事。
稲垣吾郎さん
稲垣吾郎さん
JUNICHI SHIBUYA

稲垣吾郎さん主演のミュージカル「君の輝く夜に〜FREE TIME,SHOW TIME〜」が今秋に上演される。夏の終わりの、少し切ない大人の恋を描く物語だ。

2012、14、16年に上演された稲垣さん主演の「恋と音楽」シリーズのクリエイターが集結し、2018年夏に京都で上演された演目をバージョンアップし、新たな演出も加えて今年は東京で上演する。

稲垣さんはハフポストの取材に応じ、「今の自分じゃないとできない」作品だと話した。 インタビューは2019年6月に行った。

「演じる」ことと出会えたことへの思いや、共に年月を重ねていくファンへの思いも語った。

今年9月で、「新しい地図」として新しいスタートをきって2年。

「2年前があって2年後の今の自分がいると思える」と語る。

■ ミュージカルは僕にとっては大事件

稲垣吾郎さん
稲垣吾郎さん
JUNICHI SHIBUYA

ーー「君の輝く夜に」は、2012年に始まった「恋と音楽」のチームで作られます。稲垣さんにとって、どういう意味を持つ作品でしょうか。

「恋と音楽」は僕にとって初めてのミュージカルでした。歌の仕事はずっとしてきているし、芝居もずっとやっているんですけれど、そこをミックスさせたミュージカルに挑戦するのは僕にとっては大事件でした(笑)。

鈴木聡さん(作・演出)や昨年お亡くなりになられた佐山雅弘さん(音楽)に支えられて、やってこられました。

ミュージカルで歌うことで、感じたことがあります。それはセリフを歌に乗せて表現し、ストーリーを作っていくということ。それは、僕の中ではすごく新しいことでした。

そして、ジャズの生バンドです。奏者と心を寄せ合い、歩みよりながら歌っていくということも考えられるようになった。

その日のジャズのノリっていうのかな、お客さんによって変わることもあるでしょう。特に佐山さんのバンドは、そういったものを大切にされていて、毎回同じではない。それはすごく面白いですね。新鮮味を失わない。

鈴木さんがいて、佐山さん率いるバンドがあって、ヒロインは宝塚や劇団四季で活躍されてきた方々。畑違いというか環境違いの方々が集まって、一つの個性ができたと感じています。

■定番と変化。色んな側面から自分をプロデュースする

稲垣吾郎さん
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JUNICHI SHIBUYA

ーー「君の輝く夜に」は、夏の終わりの少し切ない恋の物語で、大人が楽しめる作品ですね。今のご年齢の稲垣さんだから表現できるものもあるのではないでしょうか。

この作品は、今じゃないとできないと思う。今の僕にあてて、鈴木さんが書いてくださった本でもあります。

僕は日頃、変わるところと、変わらないところが必要かなと考えています。

僕らのことを昔から応援してくださっている人の中には、かつての姿を追い続ける方もいらっしゃるので、ファンのことを考えると「定番」は持ってなきゃいけないと思います。

一方で、年を重ねていくところを楽しんでくださる方もいるので、変わっていく部分も必要です。

ただ生々しい話だけど、この年になってくると健康管理とかありますよ。ビジュアル的なことも含めて(笑)。シワも一つの魅力だとは思いますけど、そこにあぐらをかいちゃいけない。やっぱり若々しくいなきゃと思うし、そのためには努力も必要だと思う。

応援してくださる方のためにも、色んな側面から自分のことをプロデュースしていかなければいけないと思います。自然ないい年の重ね方をしていきたいですね。

ファンの方と一緒に年を重ねているわけです。無理をするという意味ではなく、お互い若々しくいられればというのは考えてますね。

稲垣吾郎さん
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JUNICHI SHIBUYA

ーー「両面」を大切にしていくというお話ですね。以前のインタビューでも、SNSで発信をしながらも、「ミステリアスなものを残す」というバランスについて話されていました。

SNSに関しては、今はそれが時代の主流ですし、ファンの方もすごく喜んでくださります。

僕はあんまり「自分を見て!」というタイプではないのですが、ブログなどは、「楽しんでもらえるかな」「心地よくさらっと読んでもらえるかな」とか、そんなことを考えながらやっていますね。

ネットとはいい付き合い方をしていきたいですね。

■「演じる」ことと出会って…

稲垣吾郎さん
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JUNICHI SHIBUYA

ーー「恋と音楽」シリーズ、「君の輝く夜に」の音楽を手がけられてきた佐山雅弘さんが2018年に亡くなりました。佐山さんは「ジャズとの出会いで、楽しさこの上ない人生を送ってしまいました」という言葉を残されました。稲垣さんにとっての、そういった「出会い」は何でしょうか。

僕にとっては、「演じる」ということですよね。

僕は基本的に、「人の前に立って自分が目立ちたい」という気持ちは一切無いんですね。ただ僕は、映画が好きで、人が表現するものが好きで、エンターテインメントが好きなので、ただその作品の一部になりたい。自分の「個」は演じていて出る部分もありますが、自分も作品の一部になれるという喜びが一番です。

さらに、お客さんに来ていただいて、お客さんも夢を見て、「勇気をもらえた」「明日からの生きるパワーになった」などと言ってくださるのも大きいです。

もちろんタレントとしてやってきたし、そういう自分も求められていて、それが僕にできることだとも思っています。タレントとしてのテレビの仕事やバラエティー的なこと、コンサートみたいなものを、これからもやっていきたいですね。

■「2年前があって2年後の今の自分がいる」

稲垣吾郎さん
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ーー「君の輝く夜に」が上演される今年9月で、「新しい地図」で再スタートを切られて2年になります。この2年は、稲垣さんにとってどういう時間でしたか。

僕にとってはグループから今の環境になったという変化が一番大きいですよね。

新しい環境になる時、仕事は本当にゼロだと思っていました。なのに、ファンの方に限らず、業界、スタッフの方も含めて、応援してくださる方が多くいらして、お仕事に恵まれた。

しかも一つの仕事に対してじっくりと向きあえる時間もできてきました。

グループの時ももちろん、ちゃんと責任を持っていましたが、どうしても掛け持ちになることが多かった。今も忙しいですけど、一つのことにしっかりとじっくりと向き合える。それはすごくよかったなと思います。

本当にいい2年間でした。2年前があって2年後の今の自分がいると思える。

元号も変わりましたね。来年は東京オリンピック・パラリンピックも控えています。これからも楽しみです。

稲垣吾郎さん
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JUNICHI SHIBUYA

「君の輝く夜に ~FREE TIME, SHOW TIME~」
【作・演出】鈴木聡【音楽】佐山雅弘
【出演】稲垣吾郎/安寿ミラ 北村岳子 中島亜梨沙
【会場】日本青年館ホール
【公演日程】2019年8月30日~9月23日
【料金】S席10,000円 A席8,000円(税込)
【前売開始】7月23日午前10時から

チケットなどの詳細は公式サイトで。

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