2019年12月20日 11時57分 JST | 更新 2019年12月21日 14時19分 JST

「ワケのわからない挑戦を、一つのきっかけに」異業種からの“新参者”社長がロボットで目指す未来とは

ISO総合研究所が「2019国際ロボット展」に出展。その思いを聞いた

企業のISO取得、運用をサポートをする株式会社ISO総合研究所。同社が、12月18日から東京ビッグサイトで開催される「2019国際ロボット展」に、「OHMNI ROBO(オムニロボ)」ブースを出展した。 

同展は今年で23回目を迎え、総来場者数13万人超、82カ国から約1万人の海外来場者が訪れる、まさに世界最大規模のロボット専門展だ。

 ISOに関するコンサルティングを本業としながら、ロボット事業に参入したワケとは? そして、その先に描く未来とは? 同社代表取締役であり、オムニロボを日本に上陸させた山口智朗さんに話を聞いた。

ASAMI KAWAGOE

「ISO」という言葉、聞いたことはあるけれど、「一体何のこと?」という人も多いのでは?

ISOとは、スイスのジュネーブに本部を置く非政府機関「International Organization for Standardization(国際標準化機構)」の略称。国際取引をスムーズにする目的で、同機関が組織の仕組み、製品やサービスの品質に関して設けた基準が「ISO規格」。ISOの認証を得ることで、企業は国際的な信頼を得られると言える。

このISO規格の取得、運用をサポートするのが、ISO総研の主な事業内容だ。

ISOに関するコンサルティングを得意とする同社が、2年前にシリコンバレーから日本に持ち込んだのが「オムニロボ」だった。

シリコンバレーの視察ツアーに2年連続で参加した山口さんが感じたのは、「ロボット事業はこれからますます大きくなる、そして私たちの生活を変える存在になる」という確信。

「本業の調子が上向きの今こそ、 “ワケの分からないこと”に挑戦するチャンス。新規事業へのきっかけになれば」と考え、オムニロボを日本に持ち帰ることにしたと話す。

「オムニロボが何かに特化したロボットではなかったこと、そして簡単にカスタマイズ可能でどんな人の生活にも馴染める素質を持つという点に共感して、日本に連れて帰ってきました」。

ASAMI KAWAGOE
ISO総合研究所 代表取締役の山口智朗さん。神戸大学大学院経営学研究科卒業後、ITサービス事業、経営コンサルティングなどを経て、2001年にISO総合研究所運営に携わる。

オムニロボの特徴は、3Dプリンターで作られていること。一般的に、ロボットの製作であれば半年以上かかる金型を必要としないため、時間とコストの削減、ニーズに合わせたカスタマイズが可能。スマートフォンやパソコンから簡単に操作でき、アプリを追加することで機能を拡張できるのもポイントだ。 

「オムニロボを見せると『何をしてくれるの?』と聞かれるが、一言で表すのは難しい」と山口さん。国内でもオムニロボを活用する企業、場面が増えているが、その用途は実に様々だ。また、企業だけでなく家庭、個人でも十分に活用し、楽しめるということも大きな特徴だという。

ビルのレセプションで、ロボットに案内してもらった経験があるという人もいるだろう。オムニロボもそうした場面ですでに利用されているが、カスタマイズが可能という特性を生かした活躍も多い。

ASAMI KAWAGOE
2019ロボット展に出展した「OHMNI ROBO(オムニロボ)」ブースの様子。テレビを始め、多くの取材陣や来場者で賑わっていた

あるプロサッカーチームは、試合会場での案内役として活用する一方、オムニロボをロッカールームや試合中のベンチに設置することで、サポーターがまるでチームの一員になったような視点で試合を楽しめるようなコンテンツの提供を検討している。

また、あるユーザーは、離れた実家にオムニロボを導入。なかなか帰ることができないが、高齢の父親と毎日、対面でコミュニケーションをとっているそうだ。

「使っていくうちに、活用イメージがどんどん膨らむロボット。何かに特化したロボットが多い中、オムニロボはハード面もソフト面もカスタマイズが可能なので、ユーザーに合わせてどんどん進化していく存在」。

ASAMI KAWAGOE
オムニロボの機能は、アプリで簡単にアップデート可能。そんアプリを提供するプラットフォームもあり、「世界中の誰でも、開発に携われるロボット」だという

現在は企業で導入されることが多いが、将来的には一家に一台を目指しているという。

山口さんは「25年前はパソコンを持っている家庭が非常に珍しく、パソコンって何してくれるの?という人も多かった。でもそこから15年も経たないうちに、パソコンがある生活が当たり前、ないと困る時代になった」と振り返り、「スマートフォンにいたっては登場から普及するまで、ほんの数年だった。ロボットもいつの日か一家に一台になるのではないか。もしかしたら5年ほどでそういう時代が来るのではないかという可能性を感じでいる」と話す。

実際に、最近ではIoTが進み、ロボット掃除機やスマートスピーカーを使う家庭も増えている。「そうした家電も、使っているうちにまるで家族の一員のようになっていませんか? 名前を付けたり、無意識に話しかけたり...。ロボットって価格が高い上、操作が難しいというイメージが私自身もあったのですが、オムニロボは生活シーンに馴染みやすく、手が出しやすい存在かな、と」。

ASAMI KAWAGOE
オムニロボの操作は、アプリも不要ですぐに始められるという。「子供にも高齢者にも優しい。その点でも、ハードルは低いと思う」

「日本は世界でもトップクラスの技術力、生産力を持つ、まさに“ものづくり大国”。なのに、グローバルな競争になると勝てないことが多い」。

家電、自動車などの工業製品をはじめ、日本で作られるものは最先端の機能が充実しており、見た目にも美しいものばかりだ。山口さんは、異業種からの “新参者”目線としながらも、「全てが洗練されている必要はない。車が好きな人もいれば、単に移動手段として必要としている人もいる。そうした世の中のニーズに応えていくことが、今後さらに重要になってくるのでは」と話す。

最後に、オムニロボがもたらす未来について聞くと、こう答えた。

「一番の目標は、パソコンやスマートフォンのように各家庭、個人がロボットを持つ社会にすること。そうなるためにも、オムニロボをさまざまな生活シーンで使ってもらい、『こんな使い方ができれば』『こんな楽しみ方もできる』というアイデアを教えて欲しい。私たちが知らない、思いつかない使い方がまだまだたくさんある。それに合わせて進化できるのが、このロボットの強みですから」

ASAMI KAWAGOE
2019ロボット展の様子。海外からの来場者も目立った