GoogleなどIT企業が中国での生産見直し 米中貿易摩擦の影響懸念か

任天堂もすでに、ニンテンドースイッチの一部生産を東南アジアで行っているという報道も。
Engadget 日本版

激化する米中の貿易摩擦は、やはりIT企業の製品の生産体制見直しを迫ることになりつつあります。すでにFoxconnがiPhoneの組み立てを中国から他の国へと移転対応可能であると発言したほか、Googleや任天堂などにも、ハードウェア製品の一部を中国国外での生産に切り替える動きが出はじめました。

米国は先月、中国産の特定の製品の輸入関税をそれまでの10%から25%へと引き上げました。コンピューター基板やスマートフォン、ゲーム機などがこれに該当します。しかしそうなると、たとえば任天堂などは販売好調なニンテンドースイッチの価格に影響が出る恐れがありました。

中国政府は、国内企業に対して米国の貿易制限措置に協力するならば罰則を含む「恒久的な結果」に直面するだろうと警告し、米国政治に対するロビー活動を強化するよう奨励したとされます。

しかし、Walls Street Journalが伝えるところでは、任天堂はすでにニンテンドースイッチの一部生産を東南アジアで行っているとのこと。WSJはこの3月、任天堂が2019年内に新型スイッチ2モデルを発表する計画だと報じており、今回の報道は、それら新モデルの生産の一部を東南アジアで生産開始していると伝えています。任天堂は「現在はスイッチの生産はほぼすべて中国で行っている」としつつ、生産地に関しては以前より様々な選択肢を検討していると述べています。

一方Bloombergは、Googleが米国向けのサーバー基板生産を台湾に、一部Nestサーモスタットの生産を台湾やマレーシアに移したと報じました。とくに前者は、米国の関税25%発動の前に米国向けの基板の多くを台湾生産に切り替えているとのこと。この対応には米国の当局者が、中国で生産される基板にはセキュリティ上の危険性があると指摘していることも関連する可能性があるものの、Googleはサプライヤーに対して理由は説明していません。

ほかにも、Facebookやマイクロソフトのサーバーを製造するWistronが、一部生産を中国から国外へ切り替える準備をしているとされています。

そして影響をもっとも受けているのは、ファーウェイであるのは間違いないところでしょう。ファーウェイはAndroid OSの提供を停止され、インテルやクアルコムといった米国のチップメーカーからの供給も失ったことで、製品生産を減速せざるを得なくなっています。South China Morning Postは、Foxconnが複数のファーウェイ製品ラインを停止させたと報じました。

貿易摩擦の状況はまだ流動的であり、落としどころがまだ見えていません。グローバル企業にとっては2国間の板挟み状態がしばらく続くことになるかもしれません。なお、中国では人気ドラマGame of Thronesの最終回配信が延期されるなど、ハードウェア以外の分野にも問題が飛び火し始めています。

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