2020年10月21日 12時08分 JST | 更新 2020年10月22日 11時18分 JST

「あなたの代わりにロボットが出社します」製薬会社が無償レンタルを始めた理由は?

病気になっても自分らしく働くために。就労世代の3人に1人は持病を抱える時代、製薬会社ヤンセンファーマが新しい試みを始めた。

withコロナの時代、あなたの働き方はどう変化しただろうか? 病を抱える人や企業にとっても、新しい働き方を模索する契機になっている。

ロボットが、持病のある人に代わってオフィスに“出社”。自宅にいながら、オフィスにいるかのように仕事ができる……。そんな働き方が広がりつつある。

Masanori Sugiura
「ロボット出社」がもたらす働き方の変化とは?

リモートワーキングロボットの無償貸出をスタートしたのは、製薬会社のヤンセンファーマ。安倍元首相の退陣理由となったとも報道されている病「潰瘍性大腸炎」を含む「IBD(炎症性腸疾患)」をはじめとした、様々な病を抱える患者の就労をサポートするためだ。

働き盛りの世代に多いというIBDとは、どんな病で、なぜ就労支援が求められるのか。サイボウズ青野慶久社長らがリモートワーキングロボットを体験しながら、「病気を抱えながらも自分らしく働く」をテーマにオンラインイベントで意見を交わした。

◾️安倍元首相も再発を公表。潰瘍性大腸炎、クローン病を含む「IBD」とは

下痢や腹痛、血便が主な症状

ヤンセンファーマ
IBDの主な症状。佐賀大学医学部内科学講座消化器内科教授の江﨑幹宏医師が、IBDについて解説した。

 IBD (inflammatory bowel disease:炎症性腸疾患)とは、腸を中心とする消化管の粘膜に炎症が起きる病気の総称。主に「クローン病」と「潰瘍性大腸炎」の2つに分かれ、どちらも腹痛や下痢、血便などが起きる。

また、症状が落ち着いた寛解状態、症状が悪くなった再燃状態を繰り返し、慢性化するのが特徴だ。

ヤンセンファーマ
IBDの主な経過。寛解と再燃を繰り返し、慢性の経過をたどる。

30〜40代の患者が多数。仕事はどうなる?

日本において現在クローン病は約7万人、潰瘍性大腸炎は約22万人が罹患しているといわれ、10代、20代で発症することが多い。患者数は増加傾向で、30〜40代が多数だ。

原因は特定されておらず、国の指定難病にも指定されているIBDだが、もし発症しても仕事を続けることはできるのか。

ヤンセンファーマ
IBD患者は、30〜40代、働き盛り世代に多い。

「よい状態を維持できれば、病気でない人と大きく変わらず、仕事やスポーツもできる」と語るのは、佐賀大学医学部の江﨑幹宏医師。「自己判断で治療を中止せず、定期的に診療を受けることが重要です」

実際、IBDを患いながらも働き続ける患者は多数いる。鍵となるのは、リモートワークをはじめとした「自分らしい働き方」の実現だ。コロナ禍で、IBD患者の働き方にも変化が起きている。

◾️“ロボット出社”で変わるリモートワーク

「出勤」という不安を取り除く

ヤンセンファーマ
「CCJAPAN」編集長の森田広一郎さん。1982年クローン病を発症、2000年に同じクローン病患者とともに「株式会社三雲社」を設立。クローン病・潰瘍性大腸炎患者向け情報誌「CCJAPAN」を発行。

社会全体でリモートワークが推奨される今、「私たちも働きやすくなってきた」と語るのは、クローン病・潰瘍性大腸炎患者向け情報誌「CCJAPAN」編集長の森田広一郎さんだ。自らも長年クローン病を患い、働き方を模索してきた。

森田さんによると、症状に波があるIBD患者は、通勤途中に腹痛で何度も下車する、満員列車で体力を消耗してしまう……など、出社そのものが大きな不安や負担になることがある。しかし、リモートワークが浸透してきたことで、IBD患者も柔軟な働き方が可能になりつつある。

ロボット活用で雑談も気軽に

ヤンセンファーマ
「ロボットが出社、仕事はリモートで」という働き方。右側のロボットに森田さんが映し出されて、自由に議論ができる。

リモートワーキングロボットを使って、自宅にいながらオフィスに“出社”。森田さんは、そんな一歩進んだリモートワークを最近始めた。

ヤンセンファーマが、あらゆる患者の「病と仕事の両立」をサポートするため無償貸与しているこのロボット。オフィスにロボットを置いておけば、自宅にいながら“出社”ができる。

通常のリモートワークとの最大の違いは、在宅勤務をしている患者が、ロボットを通じて職場における自身の存在感を保てることだ。まるでオフィスにいるような体験ができ、通常のオンライン会議では得られない一体感を生みだすことができる。

ヤンセンファーマ
リモートワーキグロボットなら、オフィスの同僚に気軽に話しかけることができる。

例えば、オフィス内を移動し、自ら同僚に近づいて話しかけることも可能に。仕事の話はもちろん、雑談など日常的なコミュニケーションをとることができる。

森田さんは、「無理して出社しなくても、みんなと一緒に働き続けられることに、とても希望を感じる」と話してくれた。

サイボウズ青野社長「もっと“わがまま”をぶつけて」

同イベントにはサイボウズ青野慶久代表取締役社長もゲスト登壇し、リモートワーキングロボットを体験。

Masanori Sugiura
多様な働き方を実践してきた、サイボウズ青野慶久代表取締役社長。自らも専らリモートワークをしている。

「IBD患者は、周囲に迷惑をかけたくないという思いから、なかなか仕事の希望を伝えられない」との声に対しては、「みんなが我慢をし合うより、“わがまま”をぶつけ合う社会の方がいい」と意見を述べた。

そのうえで、「経営者は、病気の有無より、経営理念への共感を重視している。遠慮せず、希望をぶつけてきてほしい」とコミュニケーションの必要性を訴えた。

◾️IBD患者と企業、ギャップを埋めるには

調査で見えてきた課題

では、IBD患者はどのように自分の希望を伝えればよいのだろうか。人事担当や上司とのコミュニケーションは欠かせないが、そこには課題がある。

ヤンセンファーマ

ヤンセンファーマが実施した調査によると、IBD患者は自分らしく働くために必要なこととして「周囲の理解」を最も多く挙げている。

一方、企業の人事・総務関係者は、「病気の内容の共有」「どんなときに体調が悪化するのか具体的事例の共有」など、より具体的な情報共有を重視しているのだ。

このギャップを埋めるために、どうすればいいのか。

サポートブックで仕組みづくりを

ヤンセンファーマ
「病と仕事 両立サポートブック」には、自分の状況や相談したいことを記載する欄も。

解決策として、ヤンセンファーマは職場でのコミュニケーションをサポートする「病と仕事 両立サポートブック」の無料配布*を始めた。

*リンクは記事最下部にあります。

IBDの症状や働きやすい職場環境のポイントをまとめているほか、患者が自分の状況や相談したいこと、主治医の意見などを記入できる欄も用意。患者、企業のコミュニケーションを促し、病気への理解を深めながら、働き方を話し合える仕組みづくりを目指した。

◾️就労中の「3人に1人は持病を抱える」時代

「就労中の3人に1人は、高血圧や糖尿病など何らかの持病を持っている」といわれる時代。病は決して他人事ではない。

リモートワーキングロボットの活用や、フレキシブルな働き方の支援など、誰もが働きやすい社会づくりが必要とされている。

「Beyond the Pill(薬剤を越えて)」
ヤンセンファーマは、薬剤の提供に留まらず、患者さんがより充実した生活を送るための課題に共に向き合い、患者さんたちが「自分らしく働く」ことを応援し続けていきます。

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