2019年07月11日 10時57分 JST | 更新 2019年07月11日 10時57分 JST

「人の移動手段」だったタクシーが、センシングカーにもなる。JapanTaxiが目指すこれからのタクシー

「タクシーにセンサーをつければエリアごとの気象情報、花粉の飛散量なども分かります」

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日本交通グループにおいて、データビジネスを推進。そして次世代サービスの創出を担うのがJapanTaxiだ。トヨタ・KDDI・アクセンチュアとの協業や、政府との実証実験などにも挑戦的に取り組む。彼らが見据えるビジネス戦略、そして未来とは? 次世代モビリティ事業部長・新井辰宏さんにお話を伺った。

ミッションは、次世代モビリティ事業の創出

国内最大(*1)のタクシー会社として知られる日本交通。

じつは、同グループで配車アプリ『JapanTaxi』や決済プラットフォーム、そしてデータビジネス推進などの次世代サービス創出を担うJapanTaxiの存在はそこまで知られていない。

「私達は日本ではじめて(*2)タクシー配車アプリ『JapanTaxi』をリリースしました。そして700万以上のダウンロードをいただくこともできた。でも、私達はただアプリを開発するだけの会社ではありません」

こう語ってくれたのは、新井辰宏さん。JapanTaxiにて次世代モビリティ事業の創出を牽引する人物だ。

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新井辰宏│JapanTaxi株式会社 次世代モビリティ事業部⻑ 兼 IoTメディア事業部長2005年、新卒で株式会社Eストアーへ入社。ウェブプロモーションや新規サービス開発業務に従事。2012年アライドアーキテクツ株式会社へ。企業のSNS戦略立案や新規プロダクト開発を担当し、局長として同社の上場も経験。その後、2016年にJapanTaxi株式会社へ入社。マネージャーとして新規事業の立ち上げ部門を担当する。

「たとえば今までには、決済プラットフォーム、広告事業、IoT事業、R&Dといった事業を展開してきました。そして2018年1月には次世代モビリティ事業部を立ち上げ、様々な企業、機関とのR&Dにも取り組んでいるところです。企業としての変革フェーズ。とても重要なタイミングにあると感じています」

彼らの事業戦略、見据える未来とは。「ITで、交通・モビリティ分野の革新を起こす」というビジョンに迫った。

渋滞・ドライバー不足…データ活用で交通の課題解決を

「私たちの資産は、国内有数のタクシー台数。そしてそれらの活用で集めることができるビッグデータです」

新井さんは、日本交通グループの強みについて、こう続けてくれた。

「一例として、すでにドライブレコーダー、走行履歴といったタクシーならではの取得データを使って、周辺情報の解析や需要予測などを行なっています。」

つまり、タクシーを「人の移動手段」としてだけではなく、街の隅から隅までを走るセンシングカーとして最大限に活用するということだ。

「24時間走行するタクシーからは、常にリアルなデータを収集できます。路地裏、住宅街などにも入り込める。加えて日本交通グループのタクシーは、一週間で都内のほぼすべての道を通っているという事実も。それだけ精度の高いデータが集まるということです」

さらにユニークなのが、協業の動きだ。各社の強みを武器に、国内における交通・モビリティの課題解決を推進する。

「代表例として、トヨタ自動車、KDDI、アクセンチュアと共同開発した配車支援システムがあります。これは、AIがビッグデータを解析し、タクシーと乗客の高精度なマッチングを図っていくというもの。これだけのスケールで開発できているのも、私たちの強みといえるでしょう」

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AIを活用した「配車支援システム」人工知能 (AI) を活用し、都内500mメッシュ毎のタクシー乗車数を30分単位で予測。タクシー運行実績や人口動態予測に加え、気象、公共交通機関の運行状況、大規模施設でのイベントなどのデータをAIに取り込み、需要の大小に応じた複数の学習モデルを適用する。

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2020年を控え、政府との「モビリティ」実証実験も

タクシーを使ったデータの取得。そのデータを活用した事業・サービスは、オフラインとオンラインの垣根がなくなる時代において、欠かせないものになるかもしれない。新井さんは近く訪れる未来について、見解を教えてくれた。

「たとえば、地図でいえば“ダイナミックマップ”や“3Dマップ” などが注目されていますが、タクシーの走行中、街の画像を保存する仕組みができれば実現可能ですよね。また、タクシーにセンサーをつければエリアごとの気象情報、花粉の飛散量なども分かります」

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「JapanTaxi Data Platform」走行履歴、ドライブレコーダー画像などをリアルタイムに分析。タクシーで集積したビッグデータをビジネス開発に活かしていく。渋滞予測や地図データ、インフラ状況、エリアの気象状況、花粉濃度など様々な活用が期待される。2020年までに約30の企業・団体との協業を目指す。

そこにあるのは、タクシーから取得できるデータをさらに拡張させていく、という考え方。

「タクシー×データの可能性に価値を感じてくれ、声をかけてくれる企業や研究所も出てきている。ここからが面白いところです」

そういった中、政府と連携した実証実験でも注目を集めている。2020年を控え、法律が大きく変わろうとしているタイミング。法整備も進む中、同社が行なったのが「相乗りタクシー」の実証実験だ(*3)

「たとえば、配車アプリを通じて同じ方向の人をマッチングさせる。1人当たりの料金が低くなれば、観光客はもちろん、今まで躊躇していた方も気軽にタクシー利用ができるようになりますよね。それって、交通のあり方が変わるということだと思うんです」

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デジタルマーケを経て、JapanTaxiへ

そして話は新井さん自身のキャリアに及んだ。

もともと前職では、SNSを活用したデジタルマーケティングに特化していた新井さん。局長として新規プロダクト開発を手がけていたこともある。

「もちろん、あらゆる企業のマーケティング戦略に携わるというやりがいはありました。ただ同時に、自分の仕事がどう社会に影響を与えているのか見えづらい部分もあって、そこに、満足できていない自分もいた。デジタル施策がどう社会に還元され、誰の心を動かしたのか。未来を見据えたとき、よりリアルな事業経験を積みたいと考えたんです」

とくに知的好奇心を刺激されたのが、「モビリティビジネス」だった。

「耳馴染みのない方もいると思うので補足をすると、テクノロジーで移動にまつわる社会課題を解決していこう、という動き。いま、世界的に自動車を取り巻く環境は目まぐるしく変わっていますよね。そこに大きなチャンスがあると考えました。自動運転、カーシェアリング、ライドシェアといった新しいサービスも生まれ、MaaS(*4)という概念も新しく生まれました」

もうひとつ、Webサービスが次時代のフェーズに入ろうとしている、というのも彼が転職を決意した一つにある言える。

「サービスはWeb上で完結する時代から、よりリアルな生活と密接する時代へ。そういった事業・サービスに関わりたいと考えました」

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テクノロジーに強い人材が求められている。

その中でも、なぜJapanTaxiだったのだろう。新井さんは端的に、”今しかできない経験が積めるから” と答えてくれた。

「現場の第一線で、サービスやプロダクトをつくれること。ここに尽きると思います。どういうデータが扱えるのか、そのデータを求めるのはどういった人か。社内では熱い議論が繰り広げられるし、実際の実装までを提案して採用がされる。日本でまだ誰もやってないものを作れる。これは今しかできない経験ですよね」

当然、JapanTaxiには日本最大のタクシー網というリソースがある。仕事を通じて社会により大きなインパクトを――そう考える新井さんにとって、最適なフィールドでもあった。

「今、テクノロジーに強い人材が求められています。交通はずっと変わってこなかった領域。逆に言えば、やれることが山のようにあるということです。誰もまだ成功していない領域で、成功体験を積みたい。仕事って、生きる中で本当に長い時間を費やすものだし、それなら楽しまなきゃ損ですよね。社会を変える仕事ができたら、生き方として最高だと思うんです」

″挑むことを楽しむ。そして、社会を変えていきたい”そんな彼の仕事観を垣間見ることができた。

JapanTaxiから起こるイノベーション――今が、その一員となる絶好の機会と言えそうだ。

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(*1)日本交通のタクシーのクレームが1年で4割減少│日本交通株式会社
「日本交通は国内のハイヤー・タクシーグループの中で、売上高631億円超と国内最大を誇る(同社調べ)。1.6兆円産業と言われる国内のタクシー業界を長年にわたって牽引してきた存在であり、全国約10,000名の乗務員が、各地の公共交通を支える。」
(*2)日本初のタクシー配車アプリに代表される配車プラットフォームから、決済プラットフォーム、広告事業、IoT事業、R&D事業まで、多岐に渡った事業を展開。│JapanTaxi
(*3)平成30年1月から「相乗りタクシー」実証実験開始~相乗りで、タクシー利用を割安に~│国土交通省
(*4)MaaS (モビリティ・アズ・ア・サービス) について│ 国土交通省
ICT を活用して交通をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を1つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ。新たな「移動」の概念である。