安倍首相、物議かもす自民党の"謎冊子"について「いちいち見ていないので、まったく知らない」

冊子をめぐっては、野党党首への誹謗中傷ともとれる表現や、発行元など出所の不透明さが物議をかもしている。
安倍晋三首相(左)、自民党本部が配布した冊子(右上)、冊子に掲載されたイラスト(右下)
安倍晋三首相(左)、自民党本部が配布した冊子(右上)、冊子に掲載されたイラスト(右下)
時事通信社 / HuffPost Japan

自民党本部が所属国会議員に配布した発行元不明の冊子、『フェイク情報が蝕むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識』が、与野党党首が出演した7月3日の報道番組「NEWS23」(TBS系)で取り上げられた

冊子をめぐっては、野党党首への誹謗中傷ともとれる表現や、発行元など出所の不透明さが物議をかもしている。番組でこの冊子について見解を問われた安倍首相は、「いちいちそれは見ておりませんので、まったく知らない」と答えた。

「トンデモ野党とメディアの非常識」どんな冊子なのか?

冊子は6月中旬、「参院選に向けた演説用資料」として自民党本部が所属国会議員に配布。

野党を批判する「トンデモ野党のご乱心」、朝日新聞や毎日新聞などのメディアをバッシングする「フェイクこそが本流のメディア」、安倍政権への礼賛を占める「安倍政権の真実は?」の全3章からなっている。

冊子では、よだれを垂らした立憲民主党・枝野幸男代表や犬耳をつけた共産党の志位和夫委員長など、野党党首を侮辱的に描くイラストを掲載。

野党各党の説明についていた挿絵。各党の代表とみられる似顔絵がある。
野党各党の説明についていた挿絵。各党の代表とみられる似顔絵がある。
テラスプレスの冊子より

枝野氏について「革マル派活動家が浸透しているとされるJR総連などから献金を受けており、革マル派に近いといわれている」と根拠を示さず記したり、国民民主党の小沢一郎氏や社民党を「オワコン」と揶揄したりしている。

冊子の編集・発行はインターメットメディアの「テラスプレス」となっているが、運営会社や執筆者などは不明だ。

「NEWS23」で安倍首相「そんな似顔絵よりも...」

与野党の7党首が討論した3日の「NEWS23」では、小川彩佳キャスターが「刺激的な資料が出回っている」としてこの冊子を紹介。番組アンカーの星浩氏が安倍首相に「(冊子を)ご覧になったことがありますか」と質問した。

安倍首相は冊子について、「党本部でいろんな冊子を配ってますが、私いちいちそれは見ておりませんので、まったく知らない」と回答。

つづけて、「(野党が)無責任というところで言えば無責任だと思いますよ」として、立憲民主党の枝野代表を批判した。

共産党の志位委員長は「人格を貶めるようなものを平気で作る。そして(冊子を)出しているところがテラスプレスというんですか。出所不明ですよ。出所不明の文章を自民党の本部として国会議員に配るんですか」と安倍首相を問いただしたが、安倍首相は「そんな似顔絵よりも、中身についてちゃんと、憲法だったら憲法に関する論争をしましょうよ」と答えるにとどめた。

日本維新の会の松井一郎代表も、冊子についてコメント。「出所不明のものを自民党も配るのは大人げない。横綱自民党がね。大関も小結もいないんですから。ただ、大事な参院選挙の党首討論で出所不明の本をTBSが取り上げてやるような話なのかなと思います」と言及した。

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