ビジネス
2019年12月19日 14時33分 JST

「心のごみ箱」は新しい商機か?疲れ切った現代人の“家族に言えないこと”を受けとめ続ける女性が話題

1ヶ月連続で毎晩“おやすみ”とだけ書いて送ってくる人も

「心のごみ箱」と呼ばれるビジネスが中国で注目を集めている。

一定の金額を払うことで、スマホのチャット機能を通じて好きなだけ自分の愚痴を聞いてもらえるもので、サービスを始めた女性の元には相談が絶えないという。

Getty Images
イメージ写真

■“深呼吸して寝ちゃおうよ”

現地メディア中国経済網新浪科技によると、サービスを始めたのは飲食店従業員の女性、劉さん。きっかけは、地下鉄で情緒不安定な乗客に出くわしたことだという。

「その日の出来事を聞いてあげたら、少し気持ちが楽になったみたいです」

友人たちの愚痴の聞き役を買って出ることも多い劉さん。副業にできるのではないかと思い立った。

ネットで顧客を募集し、スマホのチャット機能で愚痴を聞いてあげる。料金は一日5.2元(約80円)。1ヶ月分をまとめて契約すると125元(約1930円)。顧客の大半は、仕事の悩みや失恋について言葉を投げかけてくるという。

ただ送られてくるメッセージを受け取るだけでなく、励ましのメッセージも送る。

「疲れちゃったら、カーテンを閉め切って、スマホをオフして、アラームも切って、深呼吸して寝ちゃおうよ。おやすみ」

こうしたビジネスが注目を集める背景には、中国社会の疲れがあるのかもしれない。2019年の中国版流行語トップ10には、「996(朝9時から夜9時までの労働を週6日)」や「我太難了(もうキツイ)」など、後ろ向きなワードも多く選ばれた。

 現地のネットでは、愚痴や悩み事を一手に引き受ける女性を心配する声も上がるが、「1ヶ月コースをお願いしたい」「5.2元で丸一日聞いてくれるの?」など興味を持つユーザーも多く見られる

現地メディアの取材に、サービスの利用者だという男性は次のように話していいる。

「仕事のストレスが酷いのですが、家族には言えないでしょう。だから、本当の気持ちを話せて、しかも日常生活に影響のない相手が必要なのです」

劉さんは、ある印象に残った顧客について語っている。

「1ヶ月に渡って毎晩“おやすみ”とだけ書いて送ってくる人もいました」

なかなか言えない不安や悩み、それに怒りなどを抱えるのは誰しも同じ。ただ、その表現方法は人によって異なるようだ。