アートとカルチャー
2019年07月18日 14時15分 JST

ジャニーズ事務所、元SMAPメンバーめぐる圧力疑惑で公取が注意。「注意」とは?

ジャニーズ事務所は、「行政処分」や「警告」は受けていないことを強調しているが...。

HuffPost Japan
香取慎吾さん、稲垣吾郎さん、草彅剛さん

アイドルグループSMAPの元メンバーをテレビ番組に出演させないよう、ジャニーズ事務所が民放テレビ局などに圧力をかけていた疑いがあり、独占禁止法違反につながる恐れがあるとして、公正取引委員会が同事務所を注意していたことがわかった。

独占禁止法では、契約の成立を阻止するなど、競争関係にある他の会社の事業活動を不当に妨害することを禁止している。

朝日新聞デジタルによると、ジャニーズ事務所が稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんのテレビ出演をめぐり圧力をかけているとの情報があり、公取委が聞き取り調査などを実施。その結果、違反行為は認定できなかったが、「圧力をかけていれば独禁法に触れるおそれがある」と判断した。

公取委の関係者は7月18日、ハフポストの取材に対して、調査の結果ジャニーズ事務所に対して注意したことを明らかにしている。

ジャニーズ事務所は公式サイトに掲載したコメントで、圧力行為を否定。また、「公正取引委員会からも独占禁止法違反行為があったとして行政処分や警告を受けたものでもありません」とし、「行政処分」や「警告」は受けていないことを強調した。

「注意」とは? 「行政処分」や「警告」とはどう違うのか?

公取委が独禁法に基づき行う措置には、行政処分にあたる「排除措置命令」のほか、「警告」「注意」の3段階ある。

公取委の公式サイトによると、「排除措置命令」とは、独禁法違反行為をした者に対して、その違反行為を除くための措置を命じることを指す。

また、排除措置命令などの法的措置をとるに足る証拠が得られなかった場合であっても、「違反するおそれがある行為があるときは、関係事業者等に対して『警告』を行い、その行為を取りやめること等を指示」している。これが「警告」にあたる。

今回の問題をめぐっては、ジャニーズ事務所に違反行為などがあったとは認定できなかったため、行政処分にあたる「排除措置命令」や、「警告」は行われなかったことになる。

では、「注意」とはどのような措置なのか。

公取委は、「違反行為の存在を疑うに足る証拠が得られないが、違反につながるおそれがある行為がみられたときには、未然防止を図る観点から『注意』を行っています」解説している

違反行為はみられなかったが、「独占禁止法違反につながる恐れがある」として、未然防止のためにジャニーズ事務所を「注意」したかたちだ。

公正取引委員会の公式サイト「よくある質問コーナー(独占禁止法)」より

「芸能人が自由な競争と芸能活動ができる環境を作っていかなければならない」

芸能人の権利の問題に詳しいレイ法律事務所の佐藤大和弁護士は、「圧力行為があったかどうかについては証拠がなく、独禁法違反とは認められなかったため、行政処分や警告などの指導はなかったということです」と解説する。

しかし、「圧力行為の証拠はないが、結果を見ると、3人の退所後に民放のレギュラー番組は全て終了しています」とも指摘する

稲垣さん、草彅さん、香取さんは2017年9月にジャニーズ事務所を退所したが、その後3人の出演番組は次々に打ち切りとなった。現在の民放レギュラーはゼロだ。

佐藤弁護士は、「結果から見ると、メディア側に過剰な忖度があったと言わざるをえないのではないでしょうか」と、民放テレビ局側がジャニーズ事務所に「忖度」した可能性を指摘する。

「テレビ局側の過剰な忖度が、芸能人の自由な競争を阻害させる一つの要因になっていた可能性があります。今後は、テレビ業界自体が過剰な忖度などをせず、芸能人が自由な競争と芸能活動ができる環境を作っていかなければならないと思います」

芸能人の移籍や独立をめぐり、公取委が芸能事務所を注意するのは今回が初めてのケースだ。その意味合いは大きい。

ジャニーズ事務所をはじめとする芸能事務所やテレビ業界には、移籍や独立によってタレントの芸能活動が不当に阻まれることがないよう、健全な環境をつくるための変革が求められている。