ライフスタイルが多様化する中で、様々な植物性ミルクが登場しています。その中でも今、注目されているのが「アーモンドミルク」です。その理由とは?アーモンドミルクを生活に取り入れているローラさんと、アーモンド研究の第一人者である井上浩義さんに話を聞きました。
*対談はオンラインで実施しました。
ローラさんのライフスタイルのこだわりは?
── ローラさんはとてもポジティブで健康的なイメージがありますが、普段、生活ではどのようなことを意識されていますか?

ローラさん(以下敬称略):モデルの仕事を始めてからは特に、いつも食事と運動のバランスを考えながら生活しています。日本の伝統食や季節の野菜にも興味を持っていますし、手づくりをして安心安全な食べ物を摂ることを心がけています。
── 2015年にアメリカのロサンゼルスに移住されてから、生活にどんな変化がありましたか?新たに取り入れた習慣や食材はありますか?
ローラ:より健康的な生活を意識するようになりました。ロサンゼルスでは、仕事の前後に運動をする人が多いんです。私は日本にいた頃、ずっとお仕事をする生活だったのですが、今はもっと「運動して体を見つめてあげよう」「食に時間をかけよう」と思うことが増えました。
スーパーマーケットでは牛乳だけじゃなくて、豆乳、オーツミルク、アーモンドミルクなど、植物性ミルクがたくさんあるので、その選択肢を楽しんでいます。たとえばアーモンドミルクは、やさしいコクや程よい甘みがあってクセになりますね。今日は、食と健康について、井上さんにいろいろ聞いてみたいです!
健康のキーワード「抗酸化」「抗糖化」とは?
井上さん(以下敬称略):ローラさんは自然体で生活を楽しんでいらっしゃるところが素晴らしいですね。今日は健康的に生きていくため、食生活の提案をしていきます。まずは、「抗酸化」「抗糖化」についてお話をしましょう。

── 「抗酸化」「抗糖化」…。ちょっと難しい言葉ですが、どのようなものですか?
井上:簡単にお話しすると、「酸化」は「体が錆びる」、「糖化」は「体が焦げる」という意味。酸化や糖化は、細胞が傷つき、老化や病気が起きる原因の一つと言われます。どちらも体の中で自然に起こることですが、今は人間が長寿になってきていますし、なるべく防いでいきたいですよね。
細胞や組織を酸化させる活性酸素の働きを抑制し、体の酸化を防ぐ作用を「抗酸化」、糖化を抑制したり、糖化産物を分解したりする対策を「抗糖化」と呼んでいます。人間はもともと「抗酸化」や「抗糖化」の能力を持っていますが、加齢とともに低下します。
── なるほど。「抗酸化」「抗糖化」のため、日常生活でできることはありますか?
井上:口から摂取する栄養素で補うことが大切です。抗酸化作用が期待できる成分には、ビタミンEやポリフェノールがあります。それらの摂取を続けていくことで、「抗糖化」も期待できます。
── ビタミンEやポリフェノールが豊富な食材はなんですか?
井上:たとえば、アーモンドはたくさんのビタミンEが含まれる食材。茶色の薄皮にはポリフェノールも含まれますので、抗酸化、抗糖化が期待できる食べ物と言えます。くるみなどの他のナッツと比べても、ビタミンEやタンパク質などが豊富です。

── そうなんですね。アーモンドはよく「スーパーフード」とも呼ばれますが、詳しくは知りませんでした。アーモンドは、どのくらい摂取するのがおすすめですか?
井上:私は、研究結果から「日本人は1日25粒を目安に」とお伝えしています。体重60kgの人の目安(※1)なので、ご自身の体重に合わせて調整してもよいでしょう。
アーモンドのおすすめの取り入れかた、タイミングは?

── 1日25粒、ぜひ生活に取り入れてみたいです。とはいえ、毎日食べるのは結構大変かなと…。特に子どもや高齢者には難しいかもしれません。
井上:たしかに、かたくて食べづらい人もいますよね。そういう人にぴったりなのが、すりつぶしたアーモンドと水でつくる「アーモンドミルク」です。飲みやすく、アーモンドの栄養がたっぷり含まれるので、とてもおすすめです。
ローラ:私は農家さんから買ったアーモンドを1日水にさらしてブレンダーにかけて、手づくりのアーモンドミルクを飲むこともあります。

井上:とても本格的でいいですね。びっくりしました。
── 今は動物性、植物性問わず様々なミルクがありますが、アーモンドミルクが普及してきた背景を教えていただけますか。
井上:アーモンドミルクは、「第三世代のミルク」とも呼ばれています。「第一世代のミルク」の牛乳は、とても栄養がある反面、牛乳アレルギーの方もいらっしゃいます。そこで、「第二世代のミルク」として注目されたのが豆乳です。ただ、豆乳の場合、女性ホルモンに似た大豆イソフラボンが多く含まれるため、日本では1日およそ200mlを上限に摂取することが推奨されます(※2)。

そういった背景から「第三のミルク」として、アーモンドミルク、ライスミルク、オーツミルクなどが普及してきました。アーモンドミルクは栄養バランスが良く飲みやすく、日本人やアメリカ人の好みに合うと思います。
アーモンドミルクは朝や運動前に飲むのがおすすめ
── アーモンドミルクについて、実は読者にアンケートを取りまして、いくつか質問がきています。まず、多かった質問が「アーモンドミルクはどんなタイミングで、どのくらい飲むのがおすすめですか?」です。

井上:朝が一番おすすめです。通常、人間の呼吸数は、睡眠中より起きている時間の方が多いです。呼吸で取り込む酸素が増えれば、それだけ酸化の原因となる活性酸素ができやすくなります。
また、日中、紫外線を浴びることでも活性酸素が発生しやすくなるので、やはり朝、アーモンドミルクを取り入れるのがよいと思います。飲む量は1日コップ1、2杯、200ml~400mlを目安にするとよいでしょう。
── ローラさんは、どんなタイミングでアーモンドミルクを飲まれますか?
ローラ:朝やお昼過ぎ、おやつの時間に飲むことが多いですね。カフェで「今日はチャイティーラテを飲みたいな」というときに、ミルクの代わりにアーモンドミルクを取り入れることもあります。井上さん、運動前後で、飲むタイミングのおすすめはありますか?
井上:運動前がおすすめです。一般的に、人は運動すると活性酸素をたくさん産生します。アーモンドに含まれるビタミンEやポリフェノールが体に吸収されるまでには時間がかかりますから、運動する前に飲んでいただく方がよいでしょう。

── 運動好きな読者からは「プロテインなどと一緒に飲んでもいいですか?」という質問もきていますが、いかがでしょうか?
井上:問題ないです。実際にスポーツ選手でも、プロテインと一緒に飲み続けている方はいらっしゃいます。ビタミンEやポリフェノールは熱に強いので、熱しても大丈夫です。
10年後も輝くために大切にしたいこと
── アーモンドミルクはスッキリした味わいなので続けやすそうですし、私もいろいろな飲み方を試してみます。ローラさん、最後に10年後にも輝き続けるために、これから大切にしていきたいことを教えていただけますか?
ローラ:もっと食に時間をかけることを大切にしていきたいですね。たとえばお味噌汁も、昆布からだしを取って、じっくりと時間をかけてつくっていきたいな、と思います。

「こうしたほうが将来ワクワクするだろうな」と思うことを自分自身にしてあげることで、より輝いていけるのかな、と感じています。今後も運動をして、食に時間をかけるライフスタイルをどんどん深めていければと思います。
井上:ローラさん、ぜひアーモンドミルクも習慣として続けてください。きっと未来が変わると思いますよ。
※1:学会発表:井上浩義、山田エミ、母里彩子:アーモンドの抗糖化作用 -Glyceraldehyde由来AGE抑制in vitro試験と治験-、第12回日本抗加齢医学会総会、2012年6月、横浜
※2:大豆イソフラボンアグリコンとして70〜75mg/日の基準を豆乳に換算。
内閣府食品安全委員会, 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
https://www.fsc.go.jp/sonota/daizu_isoflavone.html
