キンカン、94年の歴史で初めてファッション雑誌に広告掲載。その悲痛な理由とは?

男性向けファッション雑誌「POPEYE」にキンカンの広告が掲載された。
「POPEYE」2020年7月号の掲載されたキンカンの広告(右ページ)
「POPEYE」2020年7月号の掲載されたキンカンの広告(右ページ)
Huffpost Japan

虫さされ薬として知られる「キンカン」が6月9日、男性向けファッション雑誌「POPEYE」2020年7月号に広告を掲載した。

キンカンの庶民的なイメージとは違って、女性モデルが蚊の形をしたピアスをつけているハイファッション風の広告。欄外には「諸事情により、創業以来、初めて広告を出させていただきました」と書かれている。

一体、どういうことなのか。「キンカン」の製造元に取材した。

■渋谷PARCOに出店する予定が新型コロナで幻に…

1926年(大正15年)から94年の歴史を持つ「キンカン」は、株式会社金冠堂(東京都世田谷区)で製造されている。同社広告宣伝課の担当者によると、若者向けの新パッケージ「KINKAN Noir(キンカンノアール)」を2月に発売。このPRとして渋谷PARCOに5月下旬に「Salon de KINKAN Noir」というポップアップストアを出店する計画だった。同社創業以来で初めての渋谷の商業施設への進出となるはずだった。「高齢者向けのキンカンのイメージを覆すものになる予定でした」(担当者)。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、出店計画は中止になった。夢を諦められなかった同社は特設サイトで「幻の渋谷店」を再現することにした。それが、「キンカン渋谷の夢 -KINKAN’s DREAM-」だ。

その上でキンカンの歴史上初めて、ファッション雑誌に広告を掲載することで特設サイトへの誘導を計ったのだという。「POPEYE」に続いて、6月27日発売の「エル・ジャポン」でも掲載される。

同社のFacebookには「新型コロナウイルスによって奪われた『夢』……」と記した上で、「#コロナが憎い」「#負けない」とハッシュタグが並んでいる。

【訂正】当初、「1923年(大正12年)から94年の歴史を持つ」と記載していましたが、「1926年(大正15年)から94年の歴史を持つ」が正しい表現です。訂正します。(2020/06/15)

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