「イスラム文化を知ってほしい」ムスリム社員の思いがコニカミノルタを巻き込んだ。

電機メーカー・コニカミノルタ株式会社で、ラマダン中の断食明けの夕食「イフタール」を楽しむ食事会が開かれた。
ヒジャブ試着会。インドネシア出身のアランナさん(右)。
ヒジャブ試着会。インドネシア出身のアランナさん(右)。
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「これって季節によって厚みが違ったりするの?」男性社員がインドネシア出身の女性社員アランナさんが着けるヒジャブを指差しながら尋ねた。「そうです。これはちょっと厚めだから冬つけようかな、とか自分で決めてるんです」とアランナさんは笑顔で答えた。

電機メーカー・コニカミノルタ株式会社の食堂では5月20日、こんな会話が聞こえてきた。この日開催されていたのは、ラマダン中の断食明けの夕食「イフタール」を楽しむ食事会。同社のムスリム社員6人が中心となって企画したものだ。食事会には60人近くの日本人社員とその家族も集い、ハラール料理を囲んで和気藹々と異文化交流をした。イスラム文化の紹介や、ヒジャブ試着会なども行われた。

5月5日頃から全世界で、約1ヶ月に渡るムスリムの断食月「ラマダン」が始まった。ラマダン期間中、ムスリムは日中の飲食が禁じられている。日が沈むと断食が解かれ、家族や友人と共にイフタールを楽しむ。

礼拝をするムスリム社員
礼拝をするムスリム社員
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日本人は宗教の話題を避けがち。でもイスラム文化を知ってほしい

イベントの発起人は、ウズベキスタン出身のサロモフ・アブロルさん。2006年に来日し、日本の大学院を卒業後、2011年にコニカミノルタに入社した。

「日本人は宗教の話に触れるのはよくないと思っているのか、宗教について聞かれることはあまりありません」とサロモフさん。だからこそ、「イフタールをきっかけにイスラム教のこと知ってもらい、日本人社員ともっと仲良くなりたい」と、この企画を思いついた。

実現にあたって、社内のあらゆる部署が協力してくれた。日本ではデリケートな話題と避けられがちな宗教の話。「どんなことをどう伝えたら、みんなが興味を持ってくれるか」など、ダイバーシティーを推進する「違いを力に!推進室」の社員と相談もした。

「自分たちがやりたいと言ったことに会社がここまで努力してくれた。そのことにとても安心感を持ちます。今度は自分たちが他の人のために協力したいという気持ちも生まれました」とサロモフさんは語る。

「違いを力に!推進室」室長 岩本満美さんは、「隣の席に座っている同じ日本人同士でも、互いに違う文化を持っています。このイベントが互いを知り、認め合い、理解し合うきっかけになると嬉しいです」と話した。

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多様性から生まれるイノベーション無くして企業成長はない。

コニカミノルタでは2019年春、ダイバーシティー推進部を「違いを力に!推進室」と改名した。「個の違いや輝きを、集合体としての力にしたい」というメッセージを社員にわかりやすく伝えるためだ。「何かやりたかったら声をあげてほしい」折に触れてそう発信してきたからか、今回のように社員が自主的に声をあげて行動を起こすことが多くなった。会社も、その声を積極的にサポートするようになってきている。

「多様性から生まれるイノベーション無くして企業成長はない。このイフタールの企画も本当に小さなもの。でも、雪だるまが転がるように、大きな動きに繋がってほしいです」岩本さんはそう希望を語った。

イフタールの様子
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