「私たちの訴えがうそかのように...」韓国女子カーリング選手と監督側、パワハラ告発で真っ向対立

「競技をつづけたいとの切実さに勇気を出した」と告発の経緯を説明。

「メガネ先輩」の愛称で知られるキム・ウンジョン選手が所属する韓国・女子カーリング代表チームが、監督から暴言を浴びせられたとしてパワハラを告発した問題は、両者の主張が真っ向から対立している。

告発されたキム・ミンジョン監督側の反論に対して、選手が11月15日に記者会見を開き、"反論の反論"をした。

選手たちは会見で、監督側の反論内容について「私たちの訴えがすべて嘘であるかのように主張している」と憤りを語った。

主張が食い違っているのは主に、「大会賞金の支払い」「監督の息子が通う保育園行事への参加」「キム・ウンジョン選手への対応」など。

選手たちの告発内容と監督側の反論、そして選手側の再反論を、順番に見ていこう。

選手たちが訴えたこと

選手たちが主張したのは、主に以下の通りだ。

●選手に支払われるべき大会の賞金を監督側が支払わなかった

●監督の息子の保育園行事への参加を強いられた

●18年7月に結婚したキム・ウンジョン選手をチームから外そうとした

このほかに、監督の練習への度重なる欠席や監督側からの暴言、練習をさせてもらえないことなどがあったとも訴えている。

韓国の放送局「SBS」のインタビューに応じ、パワハラの内容や心境を語る「チームキム」

監督側の反論は?

選手側の告発を受けて、キム・ミンジョン監督サイドは声明で反論

大会賞金の支払いについて「2015年、選手らの同意でキム・ギョンドゥ(慶北体育会)名義で通帳を開設し、この通帳で賞金とチーム練習、大会参加費用を管理した」と説明。「国の代表として支援を受け、練習目的で参加した大会の賞金を選手と指導者が個人的に使うのは不適切だと考えた。選手にも知らせた」と訴えた。

また、息子の保育園のイベントに選手を呼んだことは認める一方で、「電話で息子の運動会に来られるかと個人的に頼み、ポジティブな返事をもらった」と同意があったと強調した。

キム・ウンジョン選手への対応については、「彼女が結婚し、妊娠の計画を持った。指導者として当然新しいスキップを探さなければならなかった。そのための練習を進めたのであって、特定選手をチームから外すためではなかった」と述べた。

キム監督の夫であり、カーリング男子チーム監督のチャン・バンソク氏は声明の最後で、「いったいどんな目的を持って、何のためにこんなことをしているのか本当に分からない」と疑問を呈した。

「私たちの訴えがすべて嘘のように主張している」

そして15日、選手たちは監督側の声明に対して、記者会見で反論した。

選手たちはまず、「こうした状況(練習不足による成績不振や大会欠席など)が続けば競技をやめなければならないかもしれないとの恐怖と、競技をつづけたいとの切実さに勇気を出した」と告発の経緯を改めて説明した。

監督側が反論した内容に対して「私たちの訴えがすべて嘘であるかのように主張している」と憤った。

保育園のイベントに参加したことについて、「前日深夜に一方的に知らされたのを、協議したかのよう語った。(選手の立場では)息子の運動会だから行けないとは言いづらかった」と訴えた。

大会賞金については「通帳開設したと知らされただけで、同意を求められなかった」と主張。「大会側が選手個人に振り込んだお金は受け取ったが、チームの名前で受け取ったお金の行方は分かっていない」と述べた。

選手たちはその上で、「監督側への徹底した監査」「監督側のカーリング訓練場の私有化禁止」「新しい監督側の選任」の3つを大韓体育会をはじめとする関係団体に要請した。

カーリング一家の監督サイド

キム・ミンジョン監督の家族は、カーリング一家として有名だ。

父のキム・ギョンドゥ氏は、前カーリング連盟会長代行だ。1990年代初頭に海外でカーリングに触れた後に韓国に戻り、2006年に慶尚北道と慶尚北道カーリング協会の支援を受けて、自身の故郷である慶尚北道・義城に国内初のカーリング専用競技場「慶尚北道カーリング訓練院」を建設した。

娘のキム・ミンジョン監督と男子チーム・ミックスダブルスチームのチャン・バンソク監督(36)は夫婦で、男子チームのキム・ミンチャン(31)は、キム・ミンジョン監督の弟だ。

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