新型コロナの影響で「口○○○」という日本語が今、注目を集めている

自宅の時間が増えて「口○○○」時間も増えていませんか?海外からちょっとした熱い視線が…

新型コロナウイルスで自宅待機中に、お腹も空いてないのに何度も冷蔵庫をのぞいてしまう、ということはないだろうか。もしくは好きな物をつい食べすぎてしまうとか……。

それはあなたの口が「寂しがっている」のかもしれない。

ユニークな日本語の表現「kuchisabishii(口寂しい)」は、文字通り「寂しい口」もしくは「口に何かを入れたいと切望している」という意味を表す。

自主隔離の今、この気持ちがわかるという人も少なくないのではなかろうか。

「自主隔離をしている間に『体に悪いものがやめられない』状態に、戻ってしまったよ」

日本語教師のケヴィン・マルクスさんは「この言葉は、退屈した時に何か食べたり、ストレスを感じた時に食べるたりするシチュエーションで使われます」と説明する。

「例えば、私はポップコーンが大好きなのですが、最近は(コロナで自宅待機になって)ポップコーンをいつも以上に食べてしまいます」

「そういった場合に『コロナのせいで最近口寂しい』と使うことができます」

日本のお菓子は、種類が豊富なことで知られる。キットカット一つとっても、様々なフレーバーが存在し、プリングルスはフライドチキンの味からいか焼きそば味まである。驚くほどのお菓子の種類は、数えだすときりがない

それを考えれば、「口寂しい」という言葉がよく使われても驚くことではないのかもしれない。

日本でキットカット販売45周年を記念して作られた、35種類入り詰め合わせ
日本でキットカット販売45周年を記念して作られた、35種類入り詰め合わせ

英語で「口寂しい」をぴったり表現する言葉はないが、「peckish(小腹がすいた)」が近いのではないか、とイギリスで日本語教師をするヴァネッサ・ヴィラロボスさんは話す。

「口寂しいという言葉は、行動に関係するという点で“空腹感”より“peckish”に近いと言えると思います」

「しかし口寂しいは、ストレスを感じた時に、タバコを吸いたくなるような場合にも使われます」

ヴィラロボスさん自身も先週、お気に入りのガムの在庫を切らしてしまい口寂しくなったという。

「寂しくなった口のために、近くのお店まで行ってスイカのガムを買ってきました」

何だか、満腹になるためにパワーエサを食べ続けるパックマンが脳裏をよぎる。

「まさに夫が、キッチンで食べるものを探す私を見てそう言います!」とヴィラロボスさんは言う。

「口を開けてあちこちを探し回り、お菓子のエサを探している姿が『口寂しい私にパワークッキーを頂戴』って言っているパックマンのようだって!」

口寂しいは様々な場面で使われる

日本で英語教師をしながら、YouTubeチャンネルで日本の文化と日本語を発信しているシェック・マッツさんは、口寂しいという言葉が禁煙しようとする人にもよく使われる理由を、次のように説明する。

「私はタバコを吸いません、だけど禁煙しようとする人たちは、いつもタバコがあった場所に何もなくなって、口が“寂しい”と感じるようです。乳離れをしようとする赤ちゃんが、おしゃぶりを求めるような感じでしょうか」

共通するのは癒しを求める感覚、とマッツさんは言う。

ホノルルで日本語を教えるエレナ・ユさんは、懐石料理を楽しむ時にも、口寂しいが使われる場合があると説明する。

「『口寂しさを紛らわせるための前菜です』といって、料理長がとても小さな料理を運んでくることがあります。それは食欲を刺激するための料理で、空腹を満たすためのものではありません」

「この口寂しいの使い方は、とても的確だと思います。お客さんには、これから日本料理のコースを全て食べて食欲を満たすという期待がありますから」

自主隔離に関連して使われている日本語、他にもある?

自宅の時間が増えて、口寂しい時間も増えた私たち。他にも、自主隔離に関連するような日本語の表現はあるだろうか?

「そうですね、近頃は『corona butori(コロナ太り)』という言葉が使われるようになっています。自主隔離のせいで、ちょっとぽっちゃりしてしまったという意味ですね」とマッツさんは言う。

コロナ太り解消には散歩が効果的だが(ソーシャルディスタンスを保ちながら)、そのための言葉も存在する。「shinrinyoku(森林浴)」だ。

この言葉は森を浴びて楽しむと言う意味で、「口寂しさから逃れるために、私はできるだけ森林浴をするようにしています」といった使い方ができる、とヴィラロボスさんは説明する。

こんな使い方もできるかもしれない。「腰回りのことを考えると、口を楽しませるより、木を見て目を楽しませた方がいい」(ちなみに森林浴という言葉は、自然を浴びることの健康効果を伝えるために、日本の林野庁の長官が1980年代に作った言葉だそうです)。

コロナ時代に生まれた日本語は、他にもある。もしあなたがオンラインで同僚とハッピーアワーを楽しんでいるのなら、「Zoom nomikai(Zoom飲み会)」に参加したと言える、とユさんは説明する。

「政府が要請した自宅待機は、特に日本のビジネスパーソンにとって、大きな打撃を与えています。仕事の後に、飲みに行くことができなくなりましたから」

「彼らの多くは、午後5時以降にお酒を飲む場所で、非公式の会議を開きます。実際、重要な決定のいくつかは、居酒屋やレストランでの非公式の会議で決まります」

そういった会は「nomikai(飲み会)」と呼ばれる。文字通り「飲むための会」という意味だ。

「自宅待機になった今、彼らはどうしているのでしょう?ズーム飲み会を開いているのです」

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。