学校での、地毛の「黒染め」指導はやめて。約2万人の署名が集まる。

「地毛の黒染め指導問題」をなくすことを求める署名キャンペーンの発起人らが東京都教育庁に署名を提出した。

一部の学校で、地毛なのに生徒の頭髪を「真っ黒」に染めさせようとする行き過ぎた指導をしていることが発覚し、問題になっている。

その問題について考えようと始まった「#この髪どうしてダメですか」。P&Gのヘアケアブランド・パンテーンが2019年3月にキャンペーンとして始め、その後は民間団体が引き継いで、「地毛の黒染め指導問題」がなくなることを求める署名運動をしてきた。

7月29日までに1万9138人の署名が集まった。30日、署名プロジェクト発起人らが東京都庁を訪れ、都教育庁の担当者に署名と要望書を手渡した。

署名を渡したNPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さん(中央左)と、署名を受け取った東京都教育庁の佐藤聖一・高等学校教育指導課長(中央右)=東京都庁
署名を渡したNPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さん(中央左)と、署名を受け取った東京都教育庁の佐藤聖一・高等学校教育指導課長(中央右)=東京都庁
AKIKO MINATO/HUFFPOST JAPAN

要望書では以下を求めた

・東京都教育庁所管の都立学校において黒染め指導が行われないよう明確に通達してください

・各学校HPで校則の内容を掲載するなど情報公開を推進してください

また、要望書では東京都に対してこう提言している。

東京都は、2020年東京オリンピック・パラリンピックを控え、多様性とひとりひとりの可能性を輝かせる社会づくりを牽引しています。これからの日本を担う子ども達を育む学校教育現場では、髪の色をはじめ子どもたち1人ひとりが持つ個性を認め、生徒が共にのびのびと育ち合う環境をつくることを提言したい次第です。

署名を受け取った東京都教育庁の佐藤聖一・高等学校教育指導課長は、「学校が頭髪や服装に関する校則を定め、基本的な生活習慣の確立に向けた指導を行うことにつきましては、生徒の学校生活の充実を図る上で必要」「頭髪指導を行うにあたりましては、生徒一人一人の状況を踏まえ、学校と生徒、保護者の信頼関係を構築し、丁寧な対応が必要」との認識を示した上で、学校に対して以下の2つを求めていくと説明した。

・生来の頭髪を一律に黒染めするような指導は行わない

・校長が保護者に、生徒の髪が生来のものであることを書面により届け出を求める場合がある。その場合は、事実誤認による指導を行わないようにするための未然のための趣旨であること、届け出の提出は任意であることを生徒、保護者に明確に伝える

プロジェクト発起人の一人でNPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんは、署名提出後「2万もの方々が署名キャンペーンにご参加いただけたというのは、世論が大変この問題に関心を持っているということなのではないか。おそらく学校現場の教師や教育委員会の方々もどうにかしたいと思われているのではないか。対話をして、どういう形で行くのが子どもたちにとって一番いいのかということを、共に方向性を見つけていけたら」と話した。

同じく発起人の一人で、高校時代に地毛証明書を提出したにも関わらず黒染め指導を経験した大学生は、こう話した。

「当時、嫌な思いをしたので、こうして大きなプロジェクトになって提出できたことはすごく学生側の立場としては安心といいますか、これから変わるのかもしれないな、という気持ちです」

■署名プロジェクトに集まった声

高校時代に黒染め指導を受けた経験がある学生(手前左)も発起人を務めた。
高校時代に黒染め指導を受けた経験がある学生(手前左)も発起人を務めた。
AKIKO MINATO/HUFFPOST JAPAN

学校現場には、「丸刈り強制」「ポニーテール禁止」「日焼け止め禁止」などの、生徒を尊重しない校則や指導が存在し続けている。

今回の署名プロジェクトへ寄せられたコメントでも、理不尽なシステムを変え、生徒の個性・多様性を尊重することを求める声が寄せられた。

・どうしてダメなのか?純粋にこの質問に、指導者は答えてあげてほしい。「ルールだから」とか、「昔から」とかそういう意味のない答えではなく。

・「みんな同じが当たり前」を変えるための重要な一歩だと思います。

・教育の現場には、自分が自分であること、他人が自分と違うこと、それらを認められる人を育ててほしいと思います。

・多様性が重要視されるこの時代に無意味な画一化を強制する文化は滅びてほしいし、せめて対話の時間は設けられるべき。

駒崎さんはプロジェクトの今後について、「この問題は、都だけではなく全国的な問題です。文部科学省さんなどが関心を持ってくださるならば、対話を続けていきたい」と話した。

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