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2019年10月07日 13時33分 JST | 更新 2019年10月10日 11時47分 JST

ワンコインで乳がん・子宮頸がん検診を受けられるイベントに予約殺到、チケット即完売に。主催者の思い

早期発見が重要だが、がん検診の受診率が低い日本。"インスタ映え"するイベントで、こうした社会課題を考えていきたいという。

Ladyknows提供
辻愛沙子さん(左)

10月11日の国際ガールズ・デーに向けて、「女性の健康」について考えるイベント『Ladyknows Fes 2019』が10月7日から11日まで、東京・渋谷で開催される。

コンサルティングやプロデュース事業を手がける株式会社エードットが主催。イベントでは健康や女性の生き方をテーマにしたトークセッションなどが行われるほか、目玉として「ワンコイン(500円)で受けられる乳がん・子宮頸がん検診」を100人の女性を対象に実施する。メインスポンサーである日本生命が検診料を負担することで、「ワンコイン検診」を実現した。

主催者によると、参加者を先着順で募ったところチケットは即日完売し、キャンセル待ちの問い合わせがくるほど反響を呼んだという。

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ワンコインで受けられる「レディースドッグ」の仕組み

発起人となったのは、23歳の辻愛沙子さんだ。SNSを使った若年層向けのマーケティングに長けており、現在は大学を休学し、エードットのグループ会社でクリエイティブディレクターとして働いている。

今回のイベントは、20〜30代女性の健康診断の受診率が低いことに問題意識を感じ、着想を得たという。

検診に“行きたくなる”ようなSNS映えする空間をつくることで、健康について考えるきっかけを広げ、啓発につなげていきたいという。 

 

受診率低い婦人科検診...。正社員と非正規雇用でも受診率に格差

乳がんは、日本人の女性の11人に1人がなるといわれている。また、近年は若年層(20〜30代)の子宮頸がんの罹患率、死亡率が増加傾向にある。

いずれも早期発見・早期治療が重要だが、日本では検診受診率が著しく低いことが問題視されている。

国は、20歳以上の女性に対して2年に1度の「子宮頸がん検診」(子宮頸部細胞診)を、また40歳以上の女性に対して2年に1度「乳がん検診」(マンモグラフィー検査)を受けることを推奨している。

この条件に当てはまる人を対象に、各自治体では自己負担ゼロ、もしくは安値でのがん検診を行なっているが、いまだ日本のがん検診の受診率は低い水準にとどまっている。

2016年の厚生労働省の調査によると、過去2年間の受診者の割合は子宮頸がん検診が42.4%、乳がん検診が44.9%だった。ピンクリボン運動などに代表される啓発活動や著名人の呼びかけ、企業・自治体の取り組みによって受診率は上昇傾向にあるが、いずれも半数割れしているのが現状だ。 

この割合は、アメリカやイギリス、オランダなどの先進国と比べても少ない。

厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査の概況」
過去2年間で子宮頸がん検診を受けた20歳から69歳の女性と、乳がん検診を受けた40歳から69歳の女性の割合

▼国別の子宮頸がん、乳がん検診の受診率の割合。先進国と比べて日本は受診率が低い。

厚労省「平成30年度がん検診受診率50%達成に向けた集中キャンペーン」より
OECD Health at a Glance 2015

また、東京都の調査では、がん検診の受診率は正社員では高いが、非正規雇用で働く人やフリーランスの人、専業主婦では受診率が低いことも明らかになった。

東京都が発表した「平成30年度がん予防・検診等実態調査」によると、職業別の「子宮頸がん検診の受診率」では正規雇用労働者は64.6%と高いが、非正規雇用労働者は41.1%。23.5 ポイントもの差がある。

平成30年度「がん予防・検診等実態調査」東京都

チケットは即日完売に。上野千鶴子さん登壇のトークも

『Ladyknows Fes 2019』では、東京都を中心に人間ドックや健康診断などを行う一般財団法人「同友会」協力のもと、レディースドッグを2日間限定(10/8、10/10)で実施。参加者は乳房超音波検査による乳がん検診と、子宮頸がん検診(子宮頚部細胞診)を受けられる。

Twitterを通してイベント参加者を募ると、チケットが即日完売するほど反響があった。なかにはキャンセル待ちを希望する人もいたという。辻さんは予想外の反響に驚いたといい、問題意識も高まったと話す。

イベント会場の4階にあるレディースドッグは100人の女性限定。3階は女性同伴であれば男性も入場が可能で、1、2階は誰でも参加できる。

会場で開かれるトークイベントには、ジェンダー研究の第一人者で東大入学式での祝辞が話題になった上野千鶴子さんや、乳がんを公表したアイドルグループSKE48の元メンバー矢方美紀さん、人気アニメ「プリキュア」シリーズの初代プロデューサー鷲尾天さんらが登壇する。 

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『Ladyknows Fes 2019』では、医師や経営者、クリエイター、タレントなどが登壇するトークセッションも開かれる。

「インスタ映え」から社会課題を発信していく

また、会場には、「インスタ映え」するフォトスポットのほか、身長・体重や視力測定、カウンセリングを受けられるエリアもあるという。

「インスタ映えというと、バカにされるような風潮もありますよね」。辻さんはそう話す。

「でも、より多くの人たちに届けられるような魅力的なデザインで、わかりやすいかたちで伝えていくことを意識しています。わかりやすい入り口から入ってもらって、そこからより深いところ、ジェンダーをめぐる問題意識につなげていきたいと思っています。真面目に考えるきっかけの場を提供することで、女性をエンパワーメントしていきたい。企業と消費者の間で、社会課題を共有するつながりを作ることも目標としています」

辻さんは、ジェンダーの問題や社会課題を考えるプロジェクト「Ladyknows」を4月に発足した。

プロジェクトでは、男女の賃金格差や女性役員の少なさなど日常に潜むジェンダーの「格差」に焦点を当て、メディアやSNSでの情報発信、企業を巻き込んだイベントなどを実施していくという。

会場は東京・渋谷にある「TRUNK BY SHOTO GALLERY」(東京都渋谷区松濤1丁目5-4)。10月7日(月)から11日(金)まで実施する。

各フロアの開場日時は以下の通り。

10月07日(月):1F〜3F 15時〜19時
10月08日(火):1F〜4F 13時〜21時(※4Fは18時に終了)
10月09日(水):1F〜3F 13時〜21時
10月10日(木):1F〜4F 13時〜20時(※4Fは18時に終了)
10月11日(金):1F 11時〜15時