首相秘書官らの差別発言に、全国のLGBTQ当事者が連帯。北海道から沖縄まで、法整備を求め声をあげる

性的マイノリティの人権を守るため、日本全国のLGBTQ当事者たちによる連帯のアクションが広がっています

LGBTQの人権を守り、差別を禁止する法律を――。

岸田文雄首相の前秘書官が、性的マイノリティについて「見るのも嫌だ」などと差別発言したことに対し、北海道から沖縄まで全国のLGBTQ当事者たちが声を上げている。

全国プライドネットワーク(JPN・日本国内で開催されるプライドイベント主催団体のネットワーク)に参加する団体も、SNSに声明を投稿。

「法律がないと、いつまでも公的な立場にある人たちからの差別発言が終わりません」「理解増進法ではなく差別禁止法を」と訴えている。

さっぽろレインボープライド(北海道)

はままつレインボープライド(静岡)

九州レインボープライド(NPO法人カラフルチェンジラボ)

さいたまレインボープライド

まんで!さぬきレインボーパレード(香川)

東京トランスマーチ

京都レインボープライド

レインボー山口

ももにじ岡山

レインボーフェスタ!(大阪)

いわてレインボーマーチ

ピンクドット沖縄

三重レインボープライド

レインボーフェスタ那智勝浦/レインボーフェスタ和歌山

東京レインボープライド

名古屋レインボープライド

金沢レインボープライド

奈良レインボーフェスタ

秋田プライドマーチ

多くの団体がシェアしているのが、LGBTQの人権を守るための法整備を求めるオンライン署名だ。

この署名は、岸田政権に対し「LGBT差別禁止法」「結婚の平等(同性婚)」「性同一性障害特例法の改正または新設」の3つの法整備を求めている

この3つの法整備は、日本全国の性的マイノリティの人権や命を守るために、欠かせないものだが、中でも地方の当事者には重要な意味を持つ。

大都市に比べて変化のスピードが遅い地方では、「ゲイやレズビアンはテレビの向こう側の話で、身近にはいない」と思っている人も少なくない。

そういった中で、「周りの人には絶対に話せない」「セクシュアリティを隠さなければ、ここでは生きていけない」と感じている当事者もいる。

また、NPO法人ReBitの2022年の調査では、性的マイノリティの自殺未遂が、非当事者と比べて何倍も高いことがわかった。

この調査では、地方の性的マイノリティ当事者の声も紹介しており、「親に『お前そっちじゃないよな』など探りを入れられ、家の中でさえつらかった」「母にセクシュアリティがバレ、恥ずかしい、なんで産まれてきたの、いっぺん死んできてと言われた」「先生から『あんたはおかしい』と言われてつらかった」など、苦しみを吐露している

前秘書官を含め、政治家らの発言は、こういった差別や偏見に苦しむLGBTQ当事者を深く傷つけ命の危険にさらす。当事者団体は、だからこそ差別を禁止することが必要だと訴えている。

三重レインボープライドは「今までの差別発言でどれだけの方が傷ついたことか。そして死を考えたこともある方もたくさん。今も、これからも、まだそれが続くんですか。。」と投稿。

まんで!さぬきレインボーパレードは「こうしている間も絶望して命を絶ってしまう人たちがいます。いち早く法整備を…!!!」とつづる。

必要なのは理解増進ではなく差別禁止

荒井勝喜前秘書官の差別発言を受け、自民党では、2021年に国会提出を見送った「LGBT理解増進法案」の議論を再開する動きが出ている

しかし、署名を立ち上げた有志団体や全国のプライド団体は、性的マイノリティが直面するいじめや雇用差別、自殺を防止するために必要なのは「理解増進」ではなく「差別禁止」だと強調してる

鹿児島で同性パートナーと暮らすたまきさん(仮名)は2019年、人権を守る法整備の重要性についてハフポスト日本版の取材に次のように話した

「法律がなくちゃダメなんです。同性同士の結婚を認めて、法律で同性カップルも家族なんだと示さない限り、LGBTQに対する考え方は変わりません。罰則もない『理解増進法』なんて、ぬるい」

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