サイボウズ式:結婚も出産も相手ありき。「〇〇歳までにしなきゃ」というライフプランに人生を縛られないで──女性の生き方座談会

そもそも結婚とか出産に関して、なんらかのプレッシャーを感じたことってありますか?
サイボウズ式

仕事と育児の両立──あらゆるところで言われ、見かけるようになったワーク・ライフスタイルです。両立させることがいつしかあたりまえ化し、あまり疑問を持つ人がいないような気がします。

最近では、がんばって両立している上の世代を見て「働きながら子どもを育てるなんて大変そう」「仕事のことを考えると、妊娠、出産が不安」といったネガティブな声を若い人から聞くことも少なくありません。

一度、ちょっと立ち止まって、その思い込みと向き合ってみませんか。仕事と育児の両立はマストなのか。他にも方法があるのではないか。仕事と育児、どちらか片方に集中する時期がもっとあってもいいんじゃないか、等々......。

本記事では、ワーク・ライフスタイルがそれぞれちがうサイボウズで働く4人の女性に、仕事と育児について語ってもらいました。

誰に何か言われるわけじゃないのに、自分が勝手にプレッシャーに感じてしまう

サイボウズ式

江原:そもそも結婚とか出産に関して、なんらかのプレッシャーを感じたことってありますか?

永井:うーん。20代後半のころはたしかに、母親から「ひとりで生きていくのは大変よ」などと言われ、ちょっとしたプレッシャーのようなものは感じていたかも。

30代になってひとりフランスで暮らしている今は、まったく言われなくなりました(笑)。

永井友里奈(ながい・ゆりな)2009年入社、荒川と同期。営業部に約7年所属した後、2016年に「育自分休暇」を活用して渡仏。パリで暮らす。2017年5月よりパリからリモートワーク。『サイボウズ式』でコンテンツ企画/編集を担当。未婚。
サイボウズ式
永井友里奈(ながい・ゆりな)2009年入社、荒川と同期。営業部に約7年所属した後、2016年に「育自分休暇」を活用して渡仏。パリで暮らす。2017年5月よりパリからリモートワーク。『サイボウズ式』でコンテンツ企画/編集を担当。未婚。

小原:まわりの友人や知人が続々と結婚していくのを見て、別に誰に何か言われるわけじゃなくても、自分が勝手にプレッシャーに感じてしまう、というのはあるかもしれません。

荒川:高校の同級生を見ていると、第一子誕生のタイミングがそろうなぁと気づきました。結婚時期はみんなバラバラなんですけど。

江原:荒川さんはいくつのときに出産したんですか?

荒川:30歳になってすぐくらいですね。

江原:そうなんですね。30代前半くらいで産む人は多い気がします。

小原:私は今34歳です。独身の同級生の中には、高齢出産というキーワードに敏感になっている人も。「35歳出産リミット説」みたいな話は、たしかにありますもんね。

小原弓佳(おはら・ゆか)2006年入社。パートナー営業部に約3年、製品のマーケティング部門に約6年所属した後、現在のコーポレートブランディン部へ異動。『サイボウズ式』のコンテンツ企画/編集や社長・青野の書籍『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。』 等の企画/編集などに携わる。未婚。
サイボウズ式
小原弓佳(おはら・ゆか)2006年入社。パートナー営業部に約3年、製品のマーケティング部門に約6年所属した後、現在のコーポレートブランディン部へ異動。『サイボウズ式』のコンテンツ企画/編集や社長・青野の書籍『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。』 等の企画/編集などに携わる。未婚。

永井:35歳までに産んだほうがいいというプレッシャーは、友人の影響なのか、いろいろな報道を受けてなのか、たしかにみんななんとなく感じているような気がします。

「専業主婦のほうが働くママよりも大変なんじゃないか」

永井:このなかで既婚・子持ちの江原さんと荒川さんに聞きたいんですが、ふたりとも昔から結婚や出産はしたいと思っていたんですか?

江原:就職したてのころは、結婚したいなと思っていましたね。

当時は男女雇用機会均等法が浸透しつつあり、ようやく「結婚した女性も働き続けるのがあたりまえ」という空気ができたころだったので、結婚してからも仕事は続けてました。

特別子どもが好きなわけでもなかったから、出産についてはあまり考えていなかったです。

江原なおみ(えはら・なおみ)2016年秋入社。同年、サイボウズが実施する「キャリアママインターン」で1カ月働いた後、中途社員として応募。一般企業を退職 専業主婦16年 企業広報担当というユニークなキャリアを築いている。高1と小6のふたりの男の子の母。
サイボウズ式
江原なおみ(えはら・なおみ)2016年秋入社。同年、サイボウズが実施する「キャリアママインターン」で1カ月働いた後、中途社員として応募。一般企業を退職 専業主婦16年 企業広報担当というユニークなキャリアを築いている。高1と小6のふたりの男の子の母。

永井:そうなんですね。「子どもがほしい」と考えが変わったきっかけは何だったんですか?

江原:結婚後にある病気で手術をして、そのときに医師から「子どもを産めなくなる可能性がある」と伝えられたんです。

その瞬間、不思議なことに、「やっぱり子どもがほしい」と強く思うようになって。荒川さんはどうでしたか?

荒川:子どものころは結婚も出産もしたくないな、って思ってました。自分以外の他人の人生を背負う覚悟なんて持てるんだろうか、って不安だったんです。

荒川真実(あらかわ・まみ) 2009年入社。2015〜2016年にかけて産休・育休取得。職場復帰して約1年半、第一プロダクトプロモーション部に所属。一児の母。
サイボウズ式
荒川真実(あらかわ・まみ) 2009年入社。2015〜2016年にかけて産休・育休取得。職場復帰して約1年半、第一プロダクトプロモーション部に所属。一児の母。

小原:子どものころって、何歳くらいですか?

荒川:中学生くらいですね。

江原:なんか大人(笑)!

荒川:当時は、相手がいなかったので実感できていなかったけど、夫と付き合い始めてから結婚してもいいかなと思うようになりました。

でも、子どもについては変わらずでした。たしかにかわいいけど、そこまでほしいかなあ、って。結婚してからも、子どもを持つのに不安もありましたが、夫の希望もあって母になった感じですね。でもやっぱり、いざ産まれたらかわいくて仕方がないです。永井さんは?

永井:私は結婚も出産も、明日してもいいし、一生しなくてもいいかなと思ってます。顔の見えない「誰か」と結婚を夢見るのはなんか変だし、子どももすごく好きなわけじゃないんです。

サイボウズ式

小原:わかるなあ。結婚も出産も相手ありきの話。誰でもいいから結婚したいのではなく、「この人と生きたい」と思える人と結婚したいです。

出産は、子どもは好きでかわいいなと思いますが、絶対に産みたいかと言われると今のところ「わからない」というのが本音です。身近な人たちの子育てを見ていると、なんか大変そうだな......って感じることが多くて。

子育てだけに集中するひとときは、かけがえのない時間だった

荒川:土日の丸2日、子どもと過ごすとけっこう疲れます。週明け月曜に出社して、金曜にかけて体が良くなっていく感じ(笑)。

専業主婦のほうが働くママよりも大変なんじゃないか、って思っています。

江原:すごいわかる。専業主婦時代、朝から晩まで母子3人で過ごしていたことがあります。上の子は離れようとしないし、下の子は泣きわめくしで、私、発狂しそうになりました(笑)。

永井:お子さんを保育園に預けて復職する、という選択肢は考えなかったんですか?

サイボウズ式

江原:全然考えなかったです。

小原:もし当時、働き方が柔軟な会社に勤めていたら、どういう選択をしていたんでしょう。

江原:そうしたら、そもそも結婚後に辞めてなかったかもなあと思います。とはいえ、子どもと密に過ごせたあのかけがえのない時間は、今振り返っても手放したくないですね......。

子どもはあっという間に育って、親の手を離れていきますから、じっくり向き合って子育てできる時間って、思いのほか限られてるんですよ。

荒川:夫に「私が専業主婦になったらどう?」って聞いたことがあるんです。なんて言われたと思います?

小原:気になります。

荒川:「僕が家事をしなくてよくなるから、それ、いいかも」って(笑)。でもその夫の気持ちはすごくよくわかる。

正直、家事や育児をしてくれる専業主婦の方が家にいたら、私も仕事にかなり集中できる、と思うんですよね。

社会全体で子育てするフランス、母親がひとりで抱え込みがちな日本

永井:旦那さんは家事をしないんですか?

荒川:ゴミ捨てなどはしてくれますが、割合としては私が多いですね。まあ、家事って楽しくないんですよ......。家事のなかで料理は唯一がんばれるけど、片づけはどうしても好きになれなくて。やりたくないからやらずに済む方法を考えてるくらいです。

永井:わかるなあ。家事のうち、何かを「生み出す」のって料理だけじゃないですか。他は「ゼロに戻す」ことだから楽しめないんですよね。

小原:永井さんはフランスにいて、家事や育児に対して思うことはありますか?

永井:2年フランスにいると、「子どもは皆で育てるもの」みたいな考えがあるなあと感じるんです。

対して日本はいまだに母親が子どもを育てるべき、という思い込みが根強く残っているように見えます。

サイボウズ式

江原:変わりつつはあると思いますが、海外諸国と比べるとまだまだなのかもしれないですね。

イギリスでふたり出産した姉は、当時預け先があって、週2回くらいお掃除の方にも来てもらって......という風に、専業主婦だけど気ままに過ごしていたみたいです。

日本でそんな話をすると「信じられない!」なんて言われそうですけど......。

荒川:日本でも、今ではベビーシッターやファミリー・サポートを活用している人も増えてきてはいると思うんですけどね。シッターさんに上の子の送り迎えを頼んだり、土日の数時間、公園遊びをお願いしたり。

月〜金働いて、土日にフルで遊ぶのはしんどいですから。

江原:金額面での悩みもありますよね。最近はリーズナブルなベビーシッターサービスも出てきたみたいですが、それでも日本でベビーシッターを雇うと、「高い」感が否めない気がします。

ライフプランは「自分軸」だけで作ればつらくならない

江原:ちなみにみなさん、就職してから、いつまでに結婚して、いつまでに第一子を出産して......みたいなライフプランは立てていましたか?

小原:立ててなかったです......。立てたところで、まず理想通りにはいかないし(笑)。

サイボウズ式

専業主婦として16年、育児にたっぷり時間をかけた後、働き始めた江原さん、育休後に職場復帰して仕事と育児を両立させている荒川さん、現在は仕事に注力している小原さんと永井さん。4人の選択は4者4様

荒川:もし自分がライフプランを立てるとするなら、何パターンか作ります。結婚するなら、しないなら、子どもを産むなら、産まないなら......みたいに分ける。

そうすれば今の人生とライフプランを比較して、一喜一憂しなくなるんじゃないかなと思います。

永井:もし私がライフプランを立てていたら、今ごろパリにはいないはず(笑)。

計画は立ててもいいけど、それにとらわれすぎるんじゃなく、そのときどきで後悔しない選択を重ねていくのがいいんじゃないですかね。決めたライフプランに縛られると、自分が苦しくなってしまいそうです。

小原:ライフプランを立てるにしても、結婚とか出産とか、自分ひとりで完結しない、他者が絡むライフイベントは柔軟に考えたほうがいいんじゃないでしょうか。

「〇〇歳までに結婚できなかったらもうダメだ」とガチガチにプランを決めてしまうよりも、自分はこの人生で何をしたいか、を軸に考えるほうがいいんじゃないかなと思います。

執筆・池田園子/撮影・橋本美花/企画編集・鮫島みな・柳下桃子

」は、サイボウズ株式会社が運営する「新しい価値を生み出すチーム」のための、コラボレーションとITの情報サイトです。本記事は、2018年4月17日のサイボウズ式掲載記事
より転載しました。