「タダでとり放題」デマが広がり...農家の畑から500トンのダイコンが消えた。

地元の警察「ダイコンを抜いた人は自ら名乗り出て、農家に賠償してほしい」

あまりに残酷なデマというほかない。

中国・武漢市で、「タダでダイコンとり放題」とデマを拡散された農家の畑に近隣住民らが殺到し、出荷を控えた500トンのダイコン全てが引き抜かれる事件があった。

地元の警察はデマの発信元について調べるとともに「ダイコンを抜いた人は自ら名乗り出て、農家に賠償してほしい」と呼びかけている。

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■出荷ためらっていたら...

被害にあったのは武漢市の村に住む農家、陳さん。現地メディア上遊新聞によると、陳さんの畑ではダイコンが順調に育ったものの、市場では値崩れ気味だったため、出荷をためらっていたという。

11月末、それを見た村民が「ダイコンを分けてくれないか」と提案。同じ村の住民ということもあり、陳さんは一部の育ちが悪かったダイコンなら抜いてもいいと話したという。

しかし事態はここから急変する。

12月1日、陳さんが畑に出ると、10人ほどがせっせとダイコンを抜いている。その中には陳さんが知らない人の姿もあったため、警察に通報。駆けつけた警察官がその場をとりなした。

だがこれで終わらなかった。ネット上ではすでに「タダでダイコンとり放題」というデマが広まっていたのだ。

2日、3日と日にちが経つにつれ、畑を訪れる人は増えるばかり。畑のそばに車が長蛇の列をなしていた。中国新聞週刊によると、多い時には数千人がダイコンを抜きに来たという。

結果、500トンものダイコンは全て抜き取られてしまった。陳さんは地元メディアにこう語る。

「ネットは恐ろしい。ダイコンを育てるのに21万元(約325万円)かけたのに...今は損失を減らすため、空になった畑で小麦を育てています」

地元の警察も捜査を開始。デマの発信元について調べるほか、ダイコンを抜いた人に対して「自ら名乗り出て、農家に賠償してほしい」と呼びかけている。

陳さんの元には、すでに謝罪したうえで代金を支払う人も出てきているという。

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