一歩間違えれば"地獄"行きも!? 田中将大のデビュー戦の相手は"日本人キラー"も擁する強力打線

順調なスタートを切れるだろうか。ヤンキースの田中将大投手(25)が、4日(日本時間5日)にメジャーデビューを飾る。

順調なスタートを切れるだろうか。ヤンキースの田中将大投手(25)が、4日(日本時間5日)にメジャーデビューを飾る。

■マー君の前に立ちはだかるブルージェイズ打線とは

順調なスタートを切れるだろうか。ヤンキースの田中将大投手(25)が、4日(日本時間5日)にメジャーデビューを飾る。相手は同じア・リーグ東地区のブルージェイズ。敵地のトロント、ロジャース・センターでの一戦だ。近年は低迷しているが、打線には強打者を揃え、ツボにはまると怖い相手。過去には、黒田博樹、岩隈久志、ダルビッシュ有がホームランを浴びた"日本人キラー"のエドウィン・エンカーナシオンもおり、初勝利へ向けてハードルは高い。

ブルージェイズファンには申し訳ないが、田中にとって朗報となるのは、1番打者のホセ・レイエスが開幕戦で負傷したことだろう。左太もも裏の張りで離脱し、故障者リスト入りした。2011年にメッツで首位打者に輝いたリードオフマンが打線から欠けていることは、間違いなくプラス材料だ。

それでも、田中にとってメジャー初対戦となる打者が厄介な相手になることは間違いない。

代わりに先頭に座るのはメルキー・カブレラ。スイッチヒッターのカブレラは2011年にロイヤルズで3割5厘と成績を残し、完全にブレークした。翌年にはジャイアンツで首位打者争いに加わりながら、禁止薬物使用で50試合の出場停止処分に。処分明けに試合に復帰すれば規定打席に到達していたが、その権利がないとして自ら出場を辞退。結局、1打席だけ足りなかったものの、3割4分6厘の高打率を残している。

ただ、そのバッティングセンスに疑いの余地はない。レイズとの開幕戦では2番に入ったが、2戦目では早速、レイエスの代わりにリードオフマンを務め、マルチ安打を記録した。カブレラに出鼻をくじかれれば、メジャー初登板の田中の精神状態が乱れてもおかしくないだけに、きっちりと打ち取りたいところだ。

■主軸にも強烈な打者が並ぶブルージェイズ

主軸も強烈だ。3番には2010年に54本、2011年に43本と2年連続のホームランキングに輝いたホセ・バティスタが君臨する。打球の飛距離はメジャー屈指で、失投は許されない相手。2011年にはホームランだけでなく、打点も132と荒稼ぎして、2冠を獲得している。ここ2年は怪我もあり、27本、28本とホームラン数が減少しているが、怖い相手であることに間違いない。

そして、このバティスタを敬遠できないのが、ブルージェイズ打線の怖いところだ。4番のエンカーナシオンは"日本人キラー"。特に、メジャーで屈指の先発投手として地位を確立している黒田、岩隈、ダルビッシュに強烈な一発を浴びせているだけに、田中としても警戒が必要と言える。

エンカーナシオンが、その名前を日本の野球ファンに印象づけたのは2012年。まずは4月28日のマリナーズ戦で、メジャー2試合目の登板となった岩隈に洗礼を浴びせた。当時は中継ぎで8回から登板した右腕に対し、無死満塁のチャンスで右中間に放り込んだ。強烈な一発で7-0での勝利に貢献している。

その2日後にはダルビッシュも餌食になった。4月30日のレンジャーズ戦で、4回に左翼へソロ本塁打。これがダルビッシュにとって、メジャー5試合目での初被弾となった。今やメジャーNO1投手に近づきつつある右腕は、この本塁打以外に失点はなく、勝利投手となったものの、メジャーの圧倒的なパワーを見せつけられた。

両者は8月17日にも対戦したが、ここでもダルビッシュは初回にエンカーナシオンに先制2ランを浴びた。この一発が響き、試合にも2-3で敗戦。ダルビッシュに黒星が付いている。

そして、豊富なキャリアを誇る黒田も"日本人キラー"の恐ろしさを知っている1人だ。同じ2012年、ヤンキース1年目の右腕は5月16日のブルージェイズ戦で5回7失点と炎上。J・P・アレンシビア、バティスタ、そしてエンカーナシオンと3人にホームランを打たれ、KOされている。

田中にとって不吉なのは、上記の4試合すべてが4日の試合会場でもある敵地トロントのロジャース・センターで行われたゲームであるということ。田中のメジャー初登板となる球場は、日本人投手の"鬼門"なのだ。どこのマウンドも投手によって好き嫌いは分かれるが、黒田は「高く感じるので、あまり好きではない」と明かしている。これが田中にとってどう影響するか、登板してみないと分からない。

■万全の準備を進めている田中将大

エンカーナシオンは、ニューヨークの地元紙スターレジャーの取材に対し「スカウティングレポートですべての球種について聞いてはいるが、実際に対戦してみないと分からない」と、すでに田中の研究を始めていることを明かした。

また、日本人右腕を警戒しながらも、「たくさんの日本人がスタジアムに見に来るだろうね。日本でも多くの人がテレビで見るだろう。だから、俺は日本人投手と対戦したいんだ」と自信ありげに話している。大注目のルーキー右腕を攻略して、再び自分の名前を日本中に知らしめるつもりだ。

さらに、ブルージェイズの5番には、昨季23本塁打のアダム・リンドが起用される可能性が高く、打線には破壊力がある。

一方で、田中もデビューへ向けて万全の準備を進めている。3月23日のオープン戦でブルージェイズがタンパまで来たときには、練習が終わっても帰らず、5回まで試合を観戦して、じっくりと相手打線の観察を行った。本番に向けても「迎え撃つというのは、立場が上の人間がやることなので。僕はチャレンジャーなので、ただ相手に向かっていくだけです」と話している。

相手が強力打線でも怖がることはない。むしろ、自分の球でどれだけメジャートップクラスの強打者を押さえ込めるか、楽しみでならないといった様子だ。デビューの時が、いよいよ近づいてきた。

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(2014年4月3日「フルカウント」より転載)

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