新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
2020年12月14日 07時18分 JST | 更新 2020年12月14日 11時00分 JST

SDGsバッジをつけるだけで満足する人にならないために、今知っておくべきこと。

企業が本業の「片手間」で社会貢献活動をする時代は終わりました。あなたの会社は大丈夫?

HuffPost Japan

「これからの時代はSDGsだ」と、あなたの会社でも経営陣が張り切っているかもしれない。でも、その本質は十分に理解されているだろうか?

今、企業は社会とどのように関わり、どのようなアクションを取るべきなのか。ビジネスカンファレンス「MASHING UP カンファレンスvol.4」で11月27日に開催された「企業が社会に届ける価値」のセッションからそのヒントを学ぶ。

SDGsが「本業」であるべき。

そもそもSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、2015年に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中の17のゴールと169のターゲットのことを指す。

「貧困をなくそう」「ジェンダー平等を実現しよう」「安全な水とトイレを世界中に」など、世界が抱えるさまざまな課題を網羅する。

最近では、よく企業のウェブサイトで「うちの会社では○番と○番に重点的に取り組んでいます」などと部分的に項目が上がることが多い。

企業の社会貢献活動は、本業で儲かった「片手間」にやることというイメージが強いが、20年にわたって日本のCSR分野を牽引してきた河口真理子さん(不二製油グループ本社 CEO補佐)は次のように説明する。

MASHING UP カンファレンスvol.4
河口真理子さん(不二製油グループ本社 CEO補佐)。長く大和総研で環境経営、SRI(社会的責任投資)、CSRの調査に従事した。

「本業で儲けて社会貢献の方でいいことをしよう、という発想だと、本業がうまくいかなくなれば立ち行かなくなります」

「2015年以降、企業の中には、戦略としていかにSDGsを本業に取り入れていくか、という考え方が広がってきています」

企業が「本業」で社会課題を解決する──そんなことは可能なのだろうか? 例えば、経済成長と環境保護は相入れないものではないのか?

そんな疑問に一つの答えとして提示されるのが、アクサ生命保険株式会社の取り組みだ。代表取締役社長兼CEOの安渕聖司さんが語った。  

MASHING UP カンファレンスvol.4
左から、ファシリテーターを務めた小島慶子さん(エッセイスト、タレント)と、安渕聖司さん(アクサ生命保険株式会社代表取締役社長兼CEO)

「人類にとって今、一番大きなリスクは気候危機。保険会社はリスクの専門家として、皆さんの大切な人の命、資産をお守りするのが仕事です」

「気候危機に対して、保険会社に何ができるの? と思われるかもしれません。我々は、保険金をお預かりしてこれを株や債権などで『運用』しています。ですから、気候変動を悪化させるような企業・業種には投資しない、と決めることができるのです」

「実際に、石炭業界からの投資を撤退したり、エネルギー移行を進める企業を応援したりしています。この投資を続けるとどれくらい温度を上げずに済むのか?という定量的な測定もしていて、具体的な数値目標も立てています。こうした活動は私たちのビジネスが持続可能になっていくためにも必要なことです」

新型コロナが変えた、社会・企業・個人

消費者の意識もここ数年で変わってきたという。

「SDGsへの関心の高まりで、環境負荷は低いか、児童労働をしていないかなど、消費者がチェックするようになっています。すると、企業も選ばれる商品をつくるために努力するようになり、それが業績に結びつけば投資家も評価しやすくなります。その良いサイクルが日本でやっと生まれてきたところですね(河口さん)」

そして、企業について語るときに欠かせないのが、そこで働く社員の存在だ。

ロート製薬株式会社では2016年から副業を認めている。その制度の背景にある思いを代表取締役会長の山田邦雄さんが教えてくれた。

MASHING UP カンファレンスvol.4
リモートで出演した山田邦雄さん(ロート製薬株式会社代表取締役会長)

「従来の会社では社員を囲い込み、会社への忠誠心を求めるところも多かった。でも、その考えはもう古いですよね。社員それぞれのポテンシャルを花開かせることが大切だと思っています。そういう活動も広い意味では社会貢献活動だと思っています」

会社と社員の関係性について、安渕さんも次のように指摘する。

「社会、会社、家庭はこれまで分離していましたが、このコロナ禍で一つになりました。それは良いことだと思います。社員がもっともっと社会に出ていき、社会の問題を会社に持ち帰り、それが会社の新しい仕事になる。そんなサイクルをつくっていくことが必要だと思います」

バッジをつけているだけで満足な人には......

セッションでは参加者からこんな質問が。

「最近はSDGsバッジをつけているだけで満足しているような方々も多そうです。そういう人の意識を変えるためにはどうしたら良いでしょうか」

広く浸透したがゆえに当初の理念が薄れ、形骸化してしまっているのかもしれない。その質問に対し、河口さんは「『素晴らしいですね。具体的にはどんな取り組みをしてらっしゃるんですか?』などと聞いて、恥ずかしい思いをしてもらわないといけないかも(笑)」と返し、会場は笑いに包まれた。

安渕さんは、「バッジは会話のきっかけになりますから、そのように話しかけてみて、仲間を見つけてみるのはどうでしょうか。中にはもちろん、本気で取り組んでいらっしゃる方もいるはずなので」と補足。

まだまだ表面的な理解に留まってしまっている人も多いが、気候危機などの人類共通の課題は、解決への努力が「待ったなし」のところまで来ている。

SDGsの17の目標を全て達成するためには、一個人、そして一企業の努力だけではどうにもならない。少しずつでも協力者を増やし、コミュニティを強くしていくこと。結果として消費活動の新しい規範を提示する存在になること──それが今この時代、企業に求められていることなのかもしれない。 

【関連情報】
ハフポスト日本版でも企業が取り組むSDGsをテーマに12月1日、ライブ番組「環境後進国・日本が、ようやく動き出す。必要なのは企業のSDGs本気度」を配信しました。アーカイブ視聴は以下のURLから↓