学生の一挙手一投足をAIが見張る。スマホいじる回数まで...AI監視カメラの発達ぶりが話題に

開発したのは顔認証ユニコーン“MEGVII(メグビー)”。「あくまでテスト段階」と説明した。

AI監視カメラの発達ぶりを示す「事件」が巻き起こった。

AI監視カメラとは、単純に映像を録画するだけでなく、性別や服装などをセグメント化(種類分け)したり、場合によっては個人を特定したりする監視カメラ。このカメラを応用し、大学の授業中に学生がスマホをいじるなどした回数を記録する技術が登場。導入に反対する声が上がっている。

新京報のテンセントビデオより
新京報のテンセントビデオより
新京報のテンセントビデオより

■「手を挙げた:6回」「居眠り:1回」

環球時報北京青年報などによると、現場となったのは南京市の中国薬科大学。

授業を受けている学生の姿がモニターに映され、その横に「授業を聞いた:6回」「手を挙げた:6回」「居眠り:1回」などの回数が表示される動画がネットに出回った。

学生たちの授業態度を見張っているのは、AI監視カメラ。学生の身体の動きを分析し、真面目に授業を受けているかサボっているかを測定していく。ほかにも「机に突っ伏す」「スマホをいじる」などの行為もカウントされ、表示されるという。

この技術を開発したのが北京の顔認証ユニコーン、MEGVII(メグビー)だ。中国の名門・清華大学の卒業生が設立したAIスタートアップで、顔認証技術「Face++」などを開発している。

同社の公式サイトでは「Face++」の測定サンプルが公開されている。それによると、性別や人種、それに「平静」「嬉しい」など感情の状態も測ることが出来る。

顔認証の測定結果(公式サイトより)
顔認証の測定結果(公式サイトより)
MEGVII公式サイトより

■MEGVIIも釈明

これに対し、中国では否定的なコメントが多く寄せられた。

「こんなに監視されるならば学生もロボットに変えろ」「まるで囚人か犯罪者のようだ」とするコメントや、「エリートさんは知らないが、授業中にインスタント麺を食べたり、思いを寄せる子を密かに見つめたりするのが青春だった」と最先端技術の導入に反対する声が相次いだ。

こうした騒ぎに、MEGVII側はメディアに対し「あくまでテスト段階で、実際に導入されるものではない」と釈明。その上で、公式ウェイボーに声明を掲載し、「スマートキャンパスシステムは、学生のキャンパスや宿舎への出入りの安全を確保するためだけに使用し、データプライバシーの保護を堅持します」などと説明した。

現地メディア「北京青年報」も、授業の効率を上げるためには「内容のある授業をすれば学生の求心力も上がり、集中しない学生も減っていく。学生を縛る形では支持を得られない」と評論した。

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