男性の「家での態度」がオンライン会議中に漏れてきた。テレワーク中、“父親“は何をしていたのか。

「いま、会議中だから!!分かんない?」男性は目をつり上げ、そう声に出した。再びドアの音。パートナーの女性は、黙って出ていったのだろう。
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自宅で仕事をしていたある男性と、Zoomミーティングをしていたときのことだ。

話の中盤、ドアが開く音がした。声もした。おそらく奥様、パートナーの方が入ってきたのだろう。

彼女に向かって男性が、ひとこと。

「いま、会議中だから!!分かんない?」

男性は目をつり上げ、そう声に出した。再びドアの音。パートナーの女性は、黙って出ていったのだろう。眉間にしわを寄せた男性が一瞬、Zoom画面に映し出された。

そのあと、ミーティングの続きをやったけど、あまり話が入ってこない。

仕事で出会った彼には、ソフトな印象を持っていた。

ミーティング中も、「これからの仕事はオンライン化して、オフィスはいらなくなるかもしれませんね」と洒落たことを言っていた。

でも、思った。家族にはいつもそんな風に話をしているの?

「テレワーク中」の男性たちは何をしていた?

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新型コロナで在宅勤務が増えた。

仕事の効率化やオフィス機能の縮小などがよく語られるが、本当に大事なのは、テレワークによって、家庭と職場が「接続」されたことだと思う

先ほどの男性のように、家での態度がダダ漏れになることはもちろん、大切なのは、働くパートナー同士の関係性や家での過ごし方などをきちんと考えないといけない時代だということではないか。

「テレワーク中、仕事がうまくいった!」というだけでは不十分なのだ。

たとえば「男性の家事」について考えてみたらどうだろうか。

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Ryan Takeshita

男性の家事時間37分から見えること

これまで、日本の男性は、家事をあまりして来なかった。

コロナ前の統計だが、家事にかける時間は男性が1日(平日)37分、女性が263分とされる。

時間だけでなく、質も大切だ。

私自身も、家事をやっている方だと勝手に思っているが、もしかしたら単に「ちょこっと手伝う」男性なのかもしれない。

最初は、食器を洗っても、台所をびちゃびちゃにして、迷惑をかけた。

トイレットペーパーの芯を替えたり、レンジの扉の汚れを掃除したり、「見えない家事」に気づかないことも多い。

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家事を「手伝う」という言葉に違和感

そもそも家事を「手伝う」という言葉もおかしい。もちろん家庭ごとに事情があるのだろうが、家事はどちらかがメインで、どちらかが手伝うというのは、フェアではないと私は思っている。

しかしながら、そんな状況はコロナでも、あまり変わらなかったようだ。

野村総研が3月末に感染拡大の影響をきいたところ、共働きの30-40代の男性の24.5%が「担当する家事の量や頻度が増えた」と答えた。

新型コロナウイルス感染症拡大以降の共働き世帯における家事・育児の変化(出所)NRI「新型コロナウイルス感染症拡大と働き方・暮らし方に関する調査」
新型コロナウイルス感染症拡大以降の共働き世帯における家事・育児の変化(出所)NRI「新型コロナウイルス感染症拡大と働き方・暮らし方に関する調査」
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朝日新聞は社説でそれを、どちらかというとポジティブにとらえていたが、私は思った。

え?たった2割?

様々な事情があるのかもしれないが、少ないのではないか。

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「夫の世代は今から改善出来ることはない」

家事だけではない。

コロナによる自粛中は子どもの学校が休校になり、家で勉強する機会が増えた。女性に任せっきりにするのではなく、男性も「勉強を教えること」が求められた数ヶ月だった。

ハフポストが家庭教育に関するアンケートを行ったところ、700件近くの回答をもらい、こんな答えが返ってきた。

「正直夫の世代、育ち的に今から改善出来ることはない。それより子供の代で負の連鎖を断ち切るために、ダイバーシティをたたき込み、なんでもやらせるようにしている。理想的な母親であろうとしないようにしている」

「パートナーは協力的で不満はないが、彼の職場の体制には多いに不満である。夫は転勤族なので、家族を犠牲にする制度を当たり前のようなな行使して欲しくない」

この数ヶ月で広まったテレワークは、社会に根付く可能性が高い。

男性も「家にいること」がより多くなる。

そうなったとき、私も含めた男性は、家事や家庭学習において、どういう役割が求められるのか。家で何をするのか。会社のサポートは適切なのだろうか。ここ数年の「働き方改革」で見逃していたような論点もたくさん出てくる。

この文章の冒頭で、私は「オンライン会議中に漏れてきたこと」について書いた。

画面越しだったし、一瞬の出来事だったので、その男性の実際の家事参加の状況やパートナーとの関係は分からない。

気になったのでその後、電話をして素直に自分が思ったことをじっくりと話してみた。男性は反省もしていて、パートナーの方に電話をかわってくれた。すると「今まで夫の在宅勤務中は、気を使って掃除機の音も出せなかった」などと打ち明けてくれた。

私も、家族に対して同じことをしていないか振り返ってみたい。妻も在宅勤務をしているが、お互いの「仕事ぶり」が分かって、大変だったけど、相互理解が進んだ気もする。

今度のハフポスト日本版のTwitter番組「ハフライブ」は、こうした問題意識をもとに配信します。自分にとって、非常に大切な問題であり、テレワーク中に深く考えたことです。男性のワークライフバランスや「仕事と家庭」について様々な面から語ります。

ゲストの方や視聴者の方からぜひ勉強させてもらいたいです。よかったら見てみてください。

【5/29 16:00】*内容を追加しました。

ハフライブ「テレワーク中、お父さんたちは何をしていた?」

▶︎配信時間 6月2日火曜日 21時〜

▶番組URL
https://twitter.com/i/broadcasts/1ZkKzLXRENvJv

(時間になったら配信が始まります。視聴は無料です)

▶ゲスト

株式会社10X Founder/代表取締役CEO 矢本真丈さん:2度の育休の経験をもとにアプリも開発


千葉商科大学国際教養学部准教授 常見陽平さん「イクメン」という言葉をあえて否定する兼業主夫

テレワーク中、お父さんたちは何をしていた?
テレワーク中、お父さんたちは何をしていた?
Maya Nakata / HUFFPOST JAPAN

ハフライブ、前回の放送(5/26放送回)のアーカイブはこちら→

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