文科省、全国医学部の入試調査結果を公表。男子合格率の優位は「他学部とは違う傾向」

2018年度は7割の大学で男子のほうが合格率が高かった。
調査結果を公表した文部科学省
調査結果を公表した文部科学省
時事通信社

文部科学省は9月4日、東京医科大学の不正入試問題を受けて実施した全国医学部の緊急調査の結果(速報)を公表した。

2013~2018年度入試の結果を合算し、男女の平均合格率を比較したところ、全体の8割に当たる63大学で、男子のほうが合格率が高い結果になった。だが、東京医科大を除いた全での大学が、性別などによる得点操作を否定したという。

同省大学入試室の山田泰造室長は「志願者に占める入学者の割合(合格率)は、ほかの学部学科では女子優位の傾向があり、医学部はそれとは違う傾向にある。何%から特異かといえば分からないが、今後各校を個別に調査していきたい」と話した。

過去6年間の合算値、順天堂大がトップ。男子合格率が女子の1.67倍

調査は、防衛医科大学をのぞき、医学部医学科を置く全国の81大学を対象にした。2013~2018年度の入試結果について聞いた。AO、推薦や一般入試など、すべての入試形態を合わせた結果を算出した。

過去6年間では各年度で、女子のみの東京女子医大をのぞき、58~72%の大学で男子の合格率が女子を上回る結果となった。調査では、女子の合格率を1とした男子の合格率を、6年間の合算値で算出した。

順天堂大が1.67でトップだった。次いで東北医科薬科大(新設のため2016~2018年度)と昭和大が1.54、日本大1.49、九州大1.43となった。

また、19大学では、すべての年度で男子が上回っていた。だが、この19校のなかでも、順天堂大のようにすべての年度で、女子の合格率を1とした男子の合格率が1.5を超える大学もあれば、東京医科大のように女子の合格率が高くなると、翌年に男子の合格率が高くなるタイプや、1.0付近でほぼ同等に推移するタイプなどがあった。

日本大と大阪市立大では、年度によって2倍以上の差が出ていた。

また、今回問題となった東京医科大では、2013、2015、2017年度で男女がほぼ同率だったが、2018年は3.11と女子と男子で3倍以上の合格率の差があった。女子の合格率が高くなると、必ず翌年に男子の合格率が高くなるようになっていた。6年間の合算値では1.29となった。

女子の合格率が男子を上回るところは、地方国立が多い

過去6年間の合算値では、女子の合格率が男子を上回ったのは18校。このうち、弘前大と三重大ではすべての年度で女子の合格率が男子より高かった。

男子の方が合格率が低かった大学は、下から弘前大が0.75、次いで岐阜大が0.84、徳島大の0.87と続いた。

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