社会人1年目の夏ごろにいきなり肌に発疹ができました。
当時服用していた生理痛の鎮痛剤が原因でアレルギー反応を起こしたのだと、あとになってわかりました。
「固定薬疹」という、特定の薬が原因になって発疹が出る病気です。そのせいで今でも1円玉より少し小さいくらいの茶色い斑点が体に複数あります。
色素沈着してしまっており、1年程度で治るとは言われていたものの1年経った今も治る気配は全くありません。
幸い、斑点は目につく箇所にはそんなにありませんが、首にあるものに関しては、不適切にみられることもあるため、毎日コンシーラーで隠す日々です。
また、私は会社員をしながらモデル事務所に所属し、副業としてモデルのお仕事もさせていただいています。
人前に出るお仕事をさせていただいている以上、余計に「なんでこんなことになってしまったんだろう…」と悲観的になっていました。(あくまで私個人の感情で、同じ症状をお持ちの方でもそれぞれのお気持ちがあると思います)。
とても受け入れられなかったし、体の斑点をみるたびに気分が沈みました。
それ以降、今までは気にすることのなかった色んなことが気になるようになりました。
ノースリーブを着ると斑点のある腕が見える、とか、色素沈着を悪化させないように出来るだけ日光にはあたるべきではないのでは…、など、今まで好きだった服を着ることや、外へ出ることがこわく感じる時期もありました。
やるせなさの反面、見たことのない景色が見えた。
発症してから半年間くらいは現実を受け入れられず、しっかり鏡を見ることもできない状態でした。
けれども日々を過ごす中で、今まで見えていなかった世界がみえるようになったことに気付きました。
今まで私は、自分の肌を隠したいと感じることは全くありませんでした。(むしろ自信がありました)。
しかし固定薬疹に悩まされるようになってから、色素沈着している部分の肌を出すことで、今まで感じることのなかった感情に襲われました。なんとも言えない恥ずかしさ、「どう思われているんだろう」という不安、やるせなさ、悲しさなどなど、言葉にできないような複雑な気持ちです。
この時初めて、今までに出会った、私と同じような理由で肌を隠したいと感じる人の気持ちを理解することができました。
当事者となることで、本当の意味で理解できることも多いのだな、と感じます。
それに気付いてから、コンプレックスもまた、私の財産だと思うようになりました。
コンプレックスを持つからこそ、同じように悩みを持つ人たちと共感ができる。
悩みを抱えている人にしかみえない景色が見える。
どんな風に感じるのか、どんな気持ちなのかがわかる。
もちろん固定薬疹ができたからといって、皮膚の病気やトラブルで悩む全ての人の気持ちがわかったとは思いません。
でも、少なくとも固定薬疹で悩む人の気持ちはわかるし、悩みも共感します。
もし相談されれば、具体的な改善策や、人に悩みを相談した際に親身になって「うんうんわかるよ」と言ってもらえた時の、あの安堵感を届けることはできます。
私はそれだけでも、よかったなと思うんです。
鏡に映った発疹を見るのはやっぱり辛いけれど、悩んでいる人の気持ちに寄り添えるようになった。こんな風に思えるようになったことが、私のコンプレックスとの向き合い方です。
そんな風に感じるようになってから、ありのままの姿を受け入れられるようになりました。
これまでの経験や考えからくる今のスタンス
以前ハフポスト日本版に寄稿させていただいた記事では、今まで、いわゆる「ハーフ顔」であるが故に、周りと違いを感じることが多かったと書きましたが、私は決してこれをネガティブには捉えていません。
当時はうまく言語化しきれていなかったような気がしますが、今思うとその理由の1つは、上記のように私はコンプレックスは、人と人とを繋ぐツールになりうる、と捉えているからです。
人が人に寄り添うこと。人が誰かとわかりあうことーー。
これは、少なくとも私にとっては、人生の目的といっても過言ではないのかな、と思うくらい大事なことです。
今まで、他人からの心ない言葉に傷付いたり、逆に他人からの言葉に救われたりと、どちらの経験もたくさんしてきました。
だからこそ、人の気持ちに寄り添えない人にはなりたくないと感じます。そうした色んな気持ちの積み重ねが、今の私を作ってます。
コンプレックスとの向き合い方は人それぞれです。あえて向き合わない人もいると思います。私の場合、今までの経験、そして物事はポジティブに捉えていたいという考えの元、このように向き合っています。
固定薬疹を発症してから、インターネットで情報を探すことが多かったのですが、学術的な情報はあっても、実際に悩んでいる人の生の声はあまりみつけられませんでした。
この記事が少しでも多くの、私と同じ悩みを抱える人の励みになれば幸いです。
PS.
固定薬疹の原因となった薬は、普通に市販されている鎮痛剤です。まさか常用していた鎮痛剤が原因で発疹が出ているとは気付くことが出来ませんでした。疲れやストレスのせいだと考え、服用を続けて症状を悪化させてしまいました。
「発疹跡のある肌」というコンプレックスと向き合っているとはいえ、原因に気付けなかったことには、今でも後悔しています。
そのためこの記事を読んで下さった方々には、どんな薬にも必ず副作用があるということを頭の片隅に置いておいていただけるといいなと思います。そして体に異変がおきた際には、常用している薬のこともよく確認してみてください。
少しでも皆様の参考になりますように…。
コンプレックスとの向き合い方は人それぞれ。
乗り越えようとする人。
コンプレックスを突きつけられるような場所、人から逃げる人。
自分の一部として「愛そう」と努力する人。
お金を使って「解決」する人…。それぞれの人がコンプレックスとちょうどいい距離感を築けたなら…。そんな願いを込めて、「コンプレックスと私の距離」という企画をはじめます。ぜひ、皆さんの「コンプレックスとの距離」を教えてください。