三菱自動車、日産の事実上傘下に。しかし「日産製の三菱車」は以前からあった(画像集)

日産と三菱自動車は、ジョイントベンチャーであるNMKVを設立し、軽自動車の分野で企画・プロジェクトマネージメントを行ってきた実績がある。

5月12日に日産自動車(以下日産)と三菱自動車が幅広い戦略的アライアンスに関する覚書を締結したことを発表、三菱自動車の発行済み株式34%を、日産自動車が2,370億円で取得することにより、日産が筆頭株主になることから、三菱自動車が日産の事実上傘下に入ることになった。

日産と三菱自動車は、日本の自動車業界ではじめて設立したジョイントベンチャーであるNMKVを設立し、軽自動車の分野で企画、プロジェクトマネージメントを行ってきた実績がある。

また、三菱自動車にはすでに日産からフラッグシップカーや商用車などがOEM供給されており、三菱自動車の日産化は着々と進んでいたのだ。

三菱自動車のフラッグシップカーであり、三菱グループの重役が利用していると思われる「ディグニティ」864万円(消費税込)は、画像の「プラウディア」をストレッチしたモデル。

見てのとおり、ディグニティは日産「シーマ」、プラウディアは日産「フーガ」のOEM車だ。

フラッグシップモデルがOEMというパターンは、他にもダイハツアルティス」がある。こちらはトヨタカムリ」のOEM車だ。

カムリ自体も国内では売れているモデルではないので、そのモデルをダイハツ・ブランドでOEM車する理由は、やはりダイハツ重役や関係者向けの需要が想定される。

ダイハツもトヨタ傘下で2016年8月1日からはトヨタの完全子会社になる。フラグシップモデルが他社のOEM車になるということは、傘下への入り口かもしれない。

三菱自動車へはその他、日産「NV200バネット」ベースの「デリカD:3」、商用バンの「デリカバン」などもOEM供給されている。

三菱自動車は電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)をラインナップし、充電スタンドもディーラーに完備していることから、今後「e-NV200」なども投入される可能性もありそうだ。

ランサーエボリューション」の生産が終了し、ランサーのブランドは消えたかに思えたが、実はまだ残っていたのだ。それは、日産の商用ワゴン車「AD」「ADエキスパート」ベースのOEM車である「ランサーカーゴ」。

ランサーらしさは感じられないが、三菱グループ企業の商用ワゴンとしては重要な役割を担っている。ちなみに兄弟車にはマツダ版の「ファミリアバン」もある。

三菱自動車のラインナップにはスズキ系の軽商用車や「デリカD:2」の供給もあり、日産はスズキやマツダのOEM車をラインナップするなど、三菱自動車、日産、スズキ、マツダのOEM車の連携は対トヨタ系(ダイハツ、スバル、いすゞ、日野)に対抗する流れのようにも見える。(ただし、マツダはトヨタと業務提携している。)

現在のOEM車は、販売台数が見込めにくい車種を補完するためのラインナップが投入されているだけなので、今回の提携で「セレナ」や「ノート」などの売れ筋モデルや、「アウトランダーPHEV」や「パジェロスポーツ」などの車種もOEM供給される流れに変わっていくと面白くなっていきそうだ。

三菱自動車 公式サイト

【関連記事】

注目記事