ムーミンがロシアから消える。ウクライナ戦争を受けて商品展開を中止

反戦活動をしていたことで知られるムーミンの作者、トーベ・ヤンソンさん。その政治志向を遺族が尊重した可能性があります。
埼玉県飯能市の「ムーミンバレーパーク」に登場したムーミン(2019年3月撮影)
埼玉県飯能市の「ムーミンバレーパーク」に登場したムーミン(2019年3月撮影)
時事通信社

フィンランド生まれの人気キャラクター「ムーミン」が、ロシア国内での商品展開を中止した。ロシア軍のウクライナ侵攻を受けて、ムーミンの著作権管理会社がライセンス許諾をしなくなったことが原因だ。

ムーミンの作者、トーベ・ヤンソンさんは反戦活動の経験があり、その思いを遺族が尊重した可能性がある。

■ウクライナ戦争を受けて、ロシアでの商品展開が終了していた

ロシア発祥の独立系メディア「メドゥーザ」は3月29日、ムーミンの著作権を管理するフィンランドの会社「ムーミンキャラクターズ」が、ロシアでの商品展開を担当するパートナー企業が持つライセンスの更新もしくは延長を拒否したと報じた。ムーミンキャラクターズは、ムーミンの作者の姪であるソフィア・ヤンソンさんが取締役会長を務めている

今回の問題は、3月24日から4月2日までモスクワ市内のショッピングモールで開催予定だった子ども向けイベント「ムーミン春祭り」が中止されたことで明るみに出た。

英紙「i」によると、ムーミンキャラクターズはウクライナ侵攻が始まった2022年春以降、ロシアでのムーミンに関する新規契約も、契約の更新も許可していなかった。今回の「ムーミン春祭り」は無許可で実施されようとしていたため、弁護士を通して中止するように警告したのだという。

ハフポスト日本版に対して、ムーミンキャラクターズの担当者は3月29日、ロシアのパートナー企業との間で、ムーミンのライセンス契約が終わったことを認めた。「ロシアでのムーミンのキャラクター展開の中止は、ウクライナ戦争と関係があるか?」という質問に対しては、「そうです」という回答だった。

■ムーミンは旧ソ連とフィンランドの戦争中に生まれたキャラクターだった

トーベ・ヤンソンさん(1988年撮影)
トーベ・ヤンソンさん(1988年撮影)
AFP=時事

作者のトーベ・ヤンソンさんは第二次世界大戦中、フィンランドで政治家の風刺画を描き続けるなど、反戦活動をしていたことで知られている。その思いを遺族が尊重したことで、ロシアからムーミンが去るという今回の決定が下された可能性がある。

そもそもムーミン自体が、ロシアなどで構成された旧ソ連がフィンランドに軍事侵攻しておきた1939年の「冬戦争」のただ中で生まれた作品だった。1945年に出版された小説『小さなトロールと大きな洪水』の序文で、トーベ・ヤンソンさんはムーミン誕生の経緯を以下のように振り返っている。

「一九三九年、戦争の冬のことです。仕事はぱたりといきづまり、絵をかこうとしてもしかたがないと感じていました。『むかしむかし、あるところに』という出だしではじまる物語を書こうと思いついたのも、わからないでもありません。(中略)でも、王子さまや、王女さまや、小さな子どもたちを登場させるこのはやめて、そのかわりに、風刺画をかくときサインがわりにつかっていた、怒った顔をした生きものを主人公にして、ムーミントロールという名前をつけました」

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