コロナシフト
2020年09月02日 10時26分 JST

「テレビは楽しければそれでいい」と言えたイノセントな時代は終わった。モーリー・ロバートソンさんが訴える

テレビが衰弱し続ける中で、番組が手っ取り早い「いけにえ」を見つけ出そうとする傾向があると非難しました。

時事通信社
「東京ロボット」の発表会に出席し、トークショーを行うジャーナリストのモーリー・ロバートソンさん(2017年9月撮影)

テレビのコメンテーターとしても知られる国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソンさんの意見表明が反響を呼んでいる。

 ロバートソンさんは9月2日、「唐突ですが意見表明をします」と公式Twitterで連続ツイート。「今後のテレビ出演ではいじめ、決めつけ、ステレオタイプ、ジェンダー差別、ステマ、ファクトチェックされていない情報流布になるべく抵抗することにしました」と訴えた。

 ■ロバートソンが列挙した最近のテレビの8つのトレンドとは?

テレビ業界は新型コロナの影響で大打撃を受けているが、そもそもネット配信の浸透で圧迫されている状態だったと分析。その中では「よくここまで持ちこたえた」と評価した。

しかし、かつては多様な価値観を表現できていたが、新型コロナの感染拡大以降は、「余裕がない」「先も見通せない」状況のしわよせで、「やっつけで乱暴な、ポルノ的演出」という形で現場に降りていると非難した。

 具体的には現在のテレビ番組に、以下のような8つのトレンドがみられると列挙した。

 

01.報道、バラエティーともに瞬発的なセンセーショナリズムを追う演出が以前より目立つようになった。 

02.生煮えの企画が多く、見切り発車の頻度が増えている。情報番組ではファクトチェックが入念になされない。

03.番組のコーナーがステルス・マーケティングとして構成されている。出稿したと思われる企業の商品やサービスを出演者が礼賛する組み立てになっているが、往々にして出演者はこのことを事前に知らされていない。

04.直接・間接の「いじめ」が盛り込まれる場面が増えた。例として「クイズに答えられなかったら罰ゲーム」「チームメートになじられる」「高学歴なのに低学歴のタレントでもわかる問題がとけなかった」など。あるいは女性出演者の年齢をアイドル、新人アナと比較する形で「いじる」演出。出演者同士がある種の「視聴者サービス」でいじり合い、いじめ合う演出もあれば編集や進行で見ている人がその「いじり」や攻撃に参加できるようにうながすものなど、種々雑多。昨今、こういった演出が過剰であったため犠牲者も出ている。 

05.出演者をキャラ設定や肩書などではめ込む傾向。

06.「日本をほめる外国人枠」のようなものの存在を以前から感じていたが「日本をほめまくる日本人枠」も出現しているように感じる。

07.出演者が安い「感動」に涙する場面がお約束で「もういいよ」と思うほど盛り込まれる。 

08.若い女性を「昭和のオヤジ目線」でキャスティングする傾向。

 

■衰弱するテレビが欲しがる、手っ取り早い「いけにえ」

こうしたトレンドを列挙した上で、「テレビがまた元気になるかどうかは、正直どうでもいいのです。ただ、ヘイトへの加担はしたくない」と続けた。 

その上で、テレビが衰弱し続ける中で、手っ取り早い「いけにえ」を見つけ出そうとする傾向があるとして「業界がコンプライアンスを働かせるべきです。加えて視聴者も出演者もいじめに加わってはなりません」と訴えた。 

ロバートソンさんは実例を挙げていなかったが、フジテレビ系の恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラーの木村花さんが、SNSで誹謗中傷を受けその後亡くなった問題を踏まえているとみられる。

 そして、「『テレビは楽しければそれでいい』と言えたイノセントな時代は終わってしまいました」と思いの丈を打ち明けた。

ロバートソンさんの投稿を受けて、SNS上ではさまざまな反響が寄せられている。

テレビでのイジメ・イジリに対する不快感から「出演者サイドでこのように発言していく人が増えていくことを切に願います」などと賛同する声があったほか、「テレビが年々つまらなくなるのは何故だろうと考えていて、なるほどと思える投稿でした」と納得する声も出ている。