男の子がピンクを選んだっていい。4歳の息子が感じた「性別と色」の世界

村橋ゴローの育児連載「ワンオペパパの大冒険」06

子育てをしていると、初めて知ることがたくさんある。その中でもボクが特に驚いたのが、子どもというのはこんなにも「いろ」に固執する生きものなのかということ。

小さな子どもというのは、当たり前だが言葉はおろかこの世のすべてのことがわからない。しかし目に飛び込んでくるさまざまな「いろ」や「かたち」だけは、本能的に「すき」「きらい」とわけることができるようだ。

ウチの4歳児くんがまだ2歳だったころ、ご多分にもれず『きかんしゃトーマス』にハマった。彼がはじめてキャラクターに萌えたのが、トーマスだったのだ。そのトーマスの車体は、「青」。以来、彼の青色への偏愛が始まったのだった。

おもちゃ箱から見えた“カラー・カースト”

もうとにかく「青以外は色にあらず」というか、「パンがなければ青を食べればいいんじゃない?」ぐらいの青原理主義者になってしまった。たとえば、着るもの持つもの、すべて青色であるのは当たり前。

また当時、彼は電車が大好きで、ミニSLのある公園までチャリで往復50分かけ、週4ぐらいで通っていたことがある。そのミニSLは8両編成なのだが、車両によって「青」か「白」にわかれる。青色の車両にあたりますように……。もう列に並んでるときからドッキドキですよ。で、案の定「白」車両にあたると、「乗りたくない」と泣いてわめいて大騒ぎ。なんなの、このカラーギャング!

まさに、息子にとって青は特別な存在だった。彼のおもちゃ箱を見てみると、きれいに「青」と「青以外」にわけられている始末。まさにカラー・カースト。そしてよく見ると、洗濯バサミですら「青」であることだけで一軍に昇格されている。お前、それでどうやって遊ぶんだよ!

村橋ゴロー

そんな「青の時代」がいつまで続くのかと思っていたら、彼が4歳のとき、黒船がやってきた。戦隊モノ、いわゆる5人組の『〇〇レンジャー』である。彼はこれに思いっきりハマリ、そして同時に衝撃を覚えた。

「えっ!? ぼくのだいすきなあおが、まんなかにいない」。主人公は「あかいろ」で、いつだって輪の真ん中にはレッドがいる。かっこいい「○○レッド」がパンチキックで敵をやっつける。するとある日、彼はこう言った。「ぼくがほんとうにすきなのはねえ、あかいろなんだあ」。2年続いた「青の時代」の終えんである。つかお前、軽いなあ!

性別を意識しはじめたある日

と同時に、彼のなかで疑問というか軽い嫌悪が生じたのです。「なぜぼくの大好きなパトレンジャーのなかに、ピンクが存在するのか?」と。その証拠に彼は、よくこんなクイズをボクにしてきました。「ぱとれんじゃーのなかで、(ぼくが)だいすきなのはどれでしょーかいっ!」。正解は「パトレン1号(レッド)」なのですが、わざと冗談で「パトレン3号(ピンク)!」と答えると、「ちがうっ!!」と烈火の勢いで怒ってくるのだ。

くわえて彼は、4歳ではじめて性別を意識するようになり、それに戸惑っているようだった。家族3人で銭湯に行ったとき、物凄いママっ子なのにもかかわらず、「ぱぱとはいる」と。聞けば「だって、ぼくちんちんあるもん」と少し困っているように答えたのだ。

性別を意識し始めたことで、大好きな戦隊モノに「女の子いろ」のピンクが存在することに違和感を覚えたのだろう。

しかし番組製作者も大したもので、こういった性差に違和感を覚えはじめたボーイズのためか、ピンクやイエローといった女子ヒーローが大活躍する回というのが散りばめられているのだ。それを観たウチの4歳児くん、「ぱぱ、ぱとれんさんごう(ピンク)も、つよいんだね」とひと言。お前は、思い通りかっ!

さて、イオンのゲーセンにある、その戦隊モノのゲームをやらせているときのこと。戦いに勝つと(つか必ず勝つシステムなのだが)、数枚のカードが画面に表れ、そのなかの1枚がもらえるのだ。画面のなかの1枚には、巨大ロボと化したヒーローのカードが。これを選ぶんだろうなと思っていたら、彼は意外にもピンクのカードをチョイスしたのだ。

「えっ!? お前、マジでそれでいいの? ピンクだよ? レッドじゃなくていいの?」
「うん、これがいい。ぴんくがいい」

なんと、あれだけ毛嫌いしていたピンクを、彼は葛藤の末に受け入れたのだ。我が子の成長のスピードに驚きつつも、そんな瞬間に出会えたことの幸せ。子育てしていてなにが嬉しいかって、そんな瞬間を目の当たりにしたときだ。子どもの目に映る「いろの世界」は独特で、ちょっとしたきっかけが子どもの価値観を広げることに繋がるのかもしれない。

お前は、何色にも染まるなよ。そして、お前にしか出せない色で輝いてくれよ。

ちなみに、「青の時代」から「レッド時代」に移行する間に、ほんの一瞬だけ訪れた「ムラサ期」。この頃は、ムラサキのニット帽にムラサキのTシャツを好んで着ていたウチの4歳児くん。きっと、なにかしらのきっかけがあったのだろうが、一体あの「おばあちゃん期」は、なんだったのだろう?(笑)

親も、子どもも、ひとりの人間。

100人いたら100通りの子育てがあり、正解はありません。

初めての子育てで不安。子どもの教育はどうしよう。

つい眉間にしわを寄せながら、慌ただしく世話してしまう。

そんな声もよく聞こえてきます。

親が安心して子育てできて、子どもの時間を大切にする地域や社会にーー。

ハッシュタグ #子どものじかん で、みなさんの声を聞かせてください。

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