ナノチューブで情報交換する幹細胞

山下由起子たちは「微小管依存性ナノチューブ」が幹細胞ニッチの主要構成要素であるハブまで伸びて、ニッチ-幹細胞シグナル伝達に関与していることを報告している。
Joseph Elsbernd

幹細胞ニッチは短距離のシグナルを出しており、幹細胞のみがそれらのシグナルに応答し、分化途上の子孫細胞は応答しない。このような選択性を可能にする仕組みについては、まだよく分かっていない。

山下由起子(米国ミシガン大学)たちは今回、ショウジョウバエ(Drosophila)の雄の生殖系列幹細胞が、「微小管依存性ナノチューブ(microtubule-based nanotube)」という、これまで知られていなかった構造を形成しており、これが幹細胞ニッチの主要構成要素であるハブまで伸びて、ニッチ-幹細胞シグナル伝達に関与していることを報告している。これらのナノチューブは、幹細胞ニッチから送られてくるシグナルの受容体を備えており、そうした自己再生シグナルを生殖系列幹細胞へ伝えるために必要である。

Nature 523, 7560

2015年7月16日

原著論文:

doi:10.1038/nature14602

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