日清が新たな「謎肉」開発。ステーキを頬張った時の噛みごたえ再現

「培養肉」は食糧不足の救世主としても注目されている。
サイコロステーキ状の大きな筋組織
サイコロステーキ状の大きな筋組織
Engadget 日本版

日清食品ホールディングスと東京大学 生産技術研究所は、世界初という「サイコロステーキ状のウシ筋繊維培養」に成功しました。

今後見込まれる食料不足の救世主の1つと目される「培養肉」。家畜を飼育するこれまでの食肉産業と違い、地球環境への負荷が低く、厳密な衛生管理が可能といったメリットがあります。動物の細胞から肉を培養する研究は世界各国で行われていますが、そのほとんどが「ミンチ肉」状の培養肉を作成する研究。それに対して、日清食品と東大の研究チームは「ステーキ肉」の再現に挑戦したわけです。

ステーキ肉を頬張ったときの噛み応えは、ウシの筋肉の立体構造によってもたらされます。その形状を細胞培養で再現するためには、ただ細胞を増やすだけでなく、細胞を融合させ細長い筋細胞の形状にする「成熟」の必要があるといいます。

研究チームは、培養過程のウシ筋細胞にビタミンCを投与することで、成熟のプロセスが促進されることを発見。さらに、立体的に培養するため、コラーゲンゲルの中で培養肉を作成しました。こうした培養方法の工夫によって、最終的にサイコロステーキ状のウシ筋組織(約1.0✕0.8✕0.7cm)の培養に成功したとしています。

筋細胞の成熟過程
筋細胞の成熟過程
Engadget 日本版
細長い筋組織中の縞状構造(サルコメア)
細長い筋組織中の縞状構造(サルコメア)
Engadget 日本版

日清食品の看板商品「カップヌードル」には、”謎肉”という通称のサイコロ形状の肉が入っています。2017年9月に日清食品はこの謎肉の正体を「大豆と肉由来の原料に、野菜などを味付けしたミンチ肉」だったと明かしています。

ほぼ大豆だった”謎肉”と違い、今回の培養肉は人工的に作られものではありますが、牛肉そのものと言えます。将来的に、この研究の実用化が進めば、よりリッチな”謎肉”として登場する未来もあり得るかもしれません。

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