現代人に増えている"熱中症体質" 上手な汗との付き合い方とは

暑い夏、汗をかくとすぐに拭いてしまいがちですが、拭き過ぎると逆効果になることもあるようです。
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夏は暑い分、汗をたくさんかきます。そしてそれに比例してニオイも気になりなるため、厄介扱いされがちです。しかし実は、健康を守る重要なものでもあるのです。猛暑のときこそ身体の機能から見て、正しい汗とニオイのコントロール法を五味クリニック院長の五味常明先生に教わりました。

拭いてよい汗、いけない汗!?

拭いても拭いても汗が吹き出てくるという人はいませんか?

「汗をすぐ拭き過ぎていないでしょうか。汗には、皮膚の上で蒸発し、気化熱により体温を下げる機能があります。汗が蒸発する前に拭いては体温が下がらないので、身体はさらに汗をかくのです。

汗が見えないけれど触ると肌がしっとりしているのが、上手に汗をかいている状態。つまり流れる汗は蒸発できない汗なので、乾いたタオルで軽く拭きます。あとは濡れタオルで拭くようにすれば、汗の機能を邪魔することなく、雑菌の繁殖を招く皮脂や塩分を取り去り、ニオイも防ぐことができます」(五味先生)

汗を止めるポイントと呼吸法

どうしても汗を止めたいときは、どうしたら良いのでしょうか?

「両方のバストの上5cmをつねるか、親指で強く圧迫すると、顔周辺の汗を一時的に抑える効果があります。『皮膚圧発汗反射』を利用した方法で、下半身の汗を止めたいときは左右の腰を同様に圧迫します。

また、『汗をかいてはいけない』と思うと、よけいにかいてしまうものです。そんなときは、呼吸を意識してゆっくりにします。汗は自律神経のコントロール下にあるので、ゆっくり呼吸することで交感神経の緊張を解き、発汗を収める効果があります」(五味先生)

汗を止める方法
汗を止める方法
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上手な汗とのつき合い方

お風呂上がりの汗も、ひと工夫で健康を守るものに変えられます。

「深部体温が下がるとき、人はスムーズに入眠できます。睡眠の1時間以上前に入浴して、お風呂上がりは26〜27℃の部屋で、扇風機やうちわを使いながら軽く汗をかきましょう。入浴でいったん高くした深部体温を下げるのに役立ちます。暑いのでエアコンで室温を24〜25℃にする人もいますが、皮膚温が急激に下がって汗をかかないため、深部体温が下がりません」(五味先生)

ただし注意したいのは、汗をかくためにエアコンを切るなど無理をしないことです。

「現代では汗をかける『能動汗腺』が少ない人が増えています。“熱中症体質”とも言えます。自分の汗腺機能を知るには、エアコンを27〜28℃に設定して、肌に触ってみましょう。しっとりしていれば正常に汗をかいているしるし、乾いている人は能動汗腺が少なめの汗をかきにくい体質です。

汗腺機能は長期的にはトレーニングで改善できるものですが、今年の夏も猛暑が続いているので、まず熱中症にならないことが優先されます。適切にエアコンを使わなければ、命に関わることもあるのです。もちろん、汗腺機能が弱ってくる高齢者や未発達のお子さんも注意が必要です」(五味先生)

参考資料など

取材協力/五味クリニック(gomi@gomiclinic.com)

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