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2019年12月22日 12時10分 JST | 更新 2019年12月24日 11時57分 JST

国連の「敵」とされる人々にも支援を 国境なき医師団の活動通じて知る、今世界で起きていること

20リットルの水運び、一人70センチ四方の空間に身を寄せるしかない難民収容センター。現地に思いを寄せて明日を望む人々につなげたい。一般の人に現場を知ってもらう国境なき医師団の展示会が開かれている

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国境なき医師団の展示会

国境なき医師団(MSF)の活動を紹介する「エンドレスジャーニー展」が12月22日まで東京都千代田区内で開かれている。入場無料。

国の枠にとらわれず、地域社会の中に溶けこんで人々が必要とする支援を
するーーこれがMSFのスタッフが期間中、よく口にする言葉だ。

だが、現実には、そうしたくてもできない地域もある。
国連や国際社会の「敵」とされる地域にいる人々だ。テロ紛争下には虐げられてた人々がいるが、その人々にたどりつくことが課題なのだという。
MSFの報告書の中に危機感がにじむ。「MSFの役割は、様々な勢力が引く境界線を超えて治療することだが、現状では、兵士が患者の政治的な立ち位置を見極めて、許可を出してからでないと、医師は患者のニーズを確認できない」。MSFの救急車は政治的に「ハイジャック」されているような状態だといい、「人道主義を死に追いやらないために、私たちは救急車のハンドルを取り返さなければならない」と訴えている。

 

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国境なき医師団の展示会で

会場では、現場を実感できる工夫がされている。20リットルのポリタンクの水が用意され、水を運ぶ日常を追体験するコーナーや、外科治療テントの実物大がある。布で囲われた難民のトイレや、一人あたり70センチ四方の空間しか許されない難民収容センターの様子を実際の音と共に体験できる。

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エンドレスジャーニー展で展示された難民キャンプで使われる簡易トイレ

 訪れた人に声をかけてみた。

展示会を訪れた新宿区の女性会社員は

メディアを通じてだけでは頭にとどまらないけれど、現地で働いている人の声を直接聞けたのが良かった。お話をうかがったMSFの男性は、地域に入り込み環境を整える仕事をしていました。安全にお産ができる環境を整えることで、医師ではないが命が生まれる瞬間に立ち会えたと仕事の意義を話してくれました。彼の話を通じて、日本にいながらも現地との距離感がグッと縮まりました

と話した。


友人がMSFの支援者で、近くに来たので立ち寄ったという別の女性会社員は

爆撃や事件など目に見えるものに目が行きがちだけれど、継続的な活動に心を寄せることが大事だと思いました。現地での医療活動と同じくらい発信する“Speak Out”が大事だとMSFのスタッフの方が言っていたけれど、本当にそうだと思いました

という。
 

今回の展示会にあたり、詩人の谷川俊太郎さんがMSFのために書き下ろしの詩を作っている。場内には美術作家の諸泉茂さんとコラボしたコーナーがあり、谷川さんの詩が壁に飾られる空間の中で来場者は思い思いの言葉を色鉛筆で書き残せる。

 

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国境なき医師団の展覧会会場で、手間に温度計と主に色鉛筆で書かれた訪問者のメッセージ

 


谷川さんの詩は、入場チケットの裏に載っているが、ここに再掲したい。

国境なき医師団に寄せる 谷川俊太郎

 

傷ついて赤い血を流し
痛みに悲鳴を上げるのは
敵も味方もないカラダ
ココロは国家に属していても
カラダは自然に属している

肌の色が違っても
母の言葉が違っても
信ずる神が違っても
カラダは同じ
ホモ・サピエンス

いのちがけで
いのちを救う
カラダに宿る
生まれながらの
見えない愛

国境は傷
大地を切り裂く傷
ヒトを手当てし
世界を手当てし
明日を望む人々がいる

展覧会は
「エンドレスジャーニー展 〜終わらせたい、強いられた旅路〜」

12月22日(日曜)まで
午前11時−午後8時(最終入場時間午後7時半)
アーツ千代田3331 1階メインギャラリー
入場無料
主催)特定非営利活動法人 国境なき医師団日本

電話)0120−999−199

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