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2020年06月12日 11時05分 JST | 更新 2020年06月14日 09時14分 JST

「青い目、茶色い目」50年前の差別実験、“目の色が起こした嵐”が再び話題に

「青い目の子はみんな良い子です。青い目の人は5分余計に遊んで良いですよ」これは約50年前の1968年4月に行われた米アイオワ州の小学校での人種差別についての実験授業だ。

「青い目の子はみんな良い子です。青い目の人は5分余計に遊んで良いですよ」
「茶色い目の子は水飲み場を使わないこと。なぜなら茶色い目の子はダメな子だからです」

これは約50年前の1968年4月に行われたアメリカ中西部のアイオワ州の小学校での人種差別についての実験授業だ。

白人の子供たちだけが集まるクラスで、青い目を持つ子供は優れ、茶色の目の子供は劣っていると決めて学校生活を過ごさせた。

キング牧師暗殺直後のことだ。小学3年生の担任だったジェーン・エリオット先生(87)がキング牧師の暗殺事件の後、黒人指導者に無神経な質問をする白人のインタビュアーの「上からの目線」を目の当たりにし、「子どもたちを差別意識というウイルスから守りたい」と実験授業をしたのだ。

「これまで人種については学校の初日から話してきた。けれども、キング牧師殺害で、具体的にやらなければならないと強く思った」とエリオット先生は実験を殺害事件翌日に決めた理由を語る。子供へ強いストレスを与える可能性があり、今なら許されない実験かもしれないが、当時この実験が導いた結果は興味深い。

主観的な差異は、仲の良かった生徒たちの間に奇妙な空気を流れさせる。これは、支配的な集団が、下位と認定された人たちの上位に立ち、支配する構図を作る社会の仕組みが形作られるのを示唆している。

「目の色が起こした嵐」と当時言われたこの実験授業を記録した動画「青い目 茶色い目 ~教室は目の色で分けられた~」が今、多くの人の耳目を集めている。

Gina Ferazzi via Getty Images
人種差別についての実験授業をしたジェーン・エリオット氏。

TwitterやFacebookでは、「差別を体験させる授業。勉強になる」
「異なった身体的特徴に優劣をつけた瞬間から差別がはじまる。被差別側の気持ちは自分が体験してみるまで分からないんだなと」などの声がある。

この授業では、まず、エリオット先生が子どもに黒人やネイティブアメリカンへの差別の実態を子どもに聞いた。子供たちは一生懸命、持っている知識を駆使して理解していることを話す。
その後、突然エリオット先生は子供たちに宣言する。「先生は青い目です。青い目の人はいい人だとしましょう」。茶色の目の子供たちには、黒い襟をつけさせ、青い目が優位だと区別した。

すると、青い目の子供たちの行動が変わり始めた。「青い目の子は茶色い目の子と遊んではいけないですよ」と言われた茶色い目の子は「何もする気がしないよ」とうつむく。
昼休みには「茶色い目」と言われた子供が青い目の子と喧嘩した。なぜ殴ったのかエリオット先生に聞かれた子供は、「バカと呼ばれたような気分だったから」。すっきりしたかと聞かれても子供は首を振るだけで、言葉が見つからない。今度は、青い目の子に「昨日まではそういう言葉を使っていなかったじゃない。なぜ『茶色い目』と言ったの?」そう聞くと、「茶色い目だから」と子供が答える。そして別の子が「この(茶色い目を表す)襟をからかったのさ」と声をあげた。

青い目が「優位」とされた翌日には、「実は、間違っていました。茶色い目の人が本当は偉いのです」と、子供たちを逆の立場に置かせた。先生の指示により、茶色い目の子供は嬉々とした表情で黒い襟を青い目の子につける。青い目の子は戸惑いの表情を見せた。

エリオット先生は「普段、子供たちはお互いに優しく接し、協力し合い、仲良くしていました。ですが、優位のグループに所属すると途端に、突然、傲慢になり、差別的になり、敵意をむき出しにしたことは衝撃でした」と語る。

差別される側に実際に立って被差別を体験し、子供たちの人種差別に対する考え方を変えさせることを目的としていたが、実験授業の結果、「優れている」とされている時はテストの点数が最高で、「劣っている」とされたときは最低だったことが分かった。 (ハフポスト日本版・井上未雪)