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「簡単に出会えるからって、勘違いしてない?」7210票から見えた、生々しい恋愛のホンネ

ハフポスト日本版のアンケート「7210票」から見えてきたネット時代の恋愛のリアルとは。

ネットで始まる恋愛はアリかナシか? ハフポスト日本版が2019年11~12月にかけて実施したアンケートによると、「アリ派」が62%、「ナシ派」が38%という結果が出た(総計7210票)。

ハフポスト日本版が2019年11月〜12月に行ったアンケート
ハフポスト日本版が2019年11月〜12月に行ったアンケート

割合としては肯定派のほうが優勢だが、否定派とのあいだにそこまで圧倒的な差があるわけでもない。アリ派とナシ派、それぞれの主張に耳を傾けてみよう。

ネットもリアルも入り口が違うだけ

まずは「ネットで始まる恋愛はアリ」とする肯定派の意見から。

「ネットではじまる恋愛、全然ありでしょ。出会い方の差でしかない」

「iモード時代から、アリです」

「合コンでも街コンでもみんな最初は知らない者同士。それがただネットに変わっただけの話。そこから好きになり交際し結婚に至る。リアルでもネットからでも目的は一緒ですよ」

ネット恋愛肯定派の意見で多かったのは、「リアルとネット、入り口がどっちでもその後のプロセスは同じ」という見方。ネットの出会いを特別なものとみなすのではなく、リアルの延長線上にある“別の入り口”としてフラットに捉えていることが伺えた。10~30代の若い世代に多い印象を受けるが、iモード時代を知っているアラフォー以上の世代でも「アリな人はアリ」のようだ。

「会ってからは普通の恋愛とほぼ一緒。恋愛は良い人と巡り会って関係を築くのが目標なのであって、そのプロセスや入口がネットになろうが問題は特にない」

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簡単に出会えるから、恋愛対象が豊富と勘違いしてない?

次は「ネット恋愛はナシ派」の声も紹介しよう。

「私はしないけど、当人同士が幸せになれるなら形式は問わなくていいと思う。ただ、結婚式の司会からの馴れ初め紹介が『共通の趣味で』になるのは覚えといて。『ネットで』と言うと偏見持つご年配もいるから(笑)」

「マッチングアプリ、婚活パーティーなどが乱立し、簡単に出会える人数が多すぎて、たくさんの候補の中からすぐに選べなくなった(恋愛対象が豊富と勘違い)ことは、晩婚化が進んでいる要因のひとつかなと感じた」

「自分にとっての『アリナシ』と『常識・非常識』は違うと思うけど……。私個人ではナシだけど、ネット恋愛自体はもう浸透してる気がする。判断力の低い子どもにはあまり勧めたくないけど大人はいいのでは……?」

「ナシ派」の回答で多かったのは、「他人の選択肢としては構わないが、自分は無理」という声。これは圧倒的に女性が多かった。背景にあるのはおそらく「ネットで出会う」という行為そのものへの抵抗感だ。性犯罪や事件に巻き込まれるなど、身の安全が侵されるリスクを考慮すれば必然的に警戒心は高まる。

ネットで出会う場合、初対面では密室に行かない、メッセージだけで人柄を判断しない、個人情報を簡単に明かさないなど、自衛のためにリスク対策は常に頭の片隅に入れておきたい。

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スマホ普及でネット恋愛が加速?

ネット恋愛を取り巻く社会の変化にも視野を広げてみよう。近年ネットでの出会いが急増した背景には、スマートフォンの普及の影響が大きいと考えられる。

日本にiPhoneが登場したのは2008年。それからわずか約10年後の2018年には、20~30代のスマホ利用率はいずれも90%台。40代も85%を越えており、13~19歳の未成年も79%と極めて高い。さらに、60代でも増加傾向にある。(総務省「情報通信白書(平成30年版)」

スマートフォンの個人保有率の推移(総務省「情報通信白書(平成30年版)」より)
スマートフォンの個人保有率の推移(総務省「情報通信白書(平成30年版)」より)
総務省「情報通信白書(平成30年版)」

現役のほぼ全世代にとって、スマホは生活必需品になっている。小さな端末の中にはあらゆる場へとつながる「扉」があり、無数のモノ・金・情報・感情が行き交っている。出会いを求めるツールも、その中のひとつに過ぎない。

また、最新の調査結果によると、日本国内におけるマッチングアプリの認知度は25.7%、そのうち利用系経験者は30%に達している。(2019年マッチングサービス・アプリの利用実態調査

アメリカでは、すでに結婚するカップルの3組に1組がネット経由で出会っているという調査結果がある。今後、日本でも同様の流れが加速していくことは間違いないだろう。

スペックだけで人を判断する危うさ

実際に、「マッチングアプリで出会った経験がある」という20~30代のハフポスト読者にもインタビューをした。世代によって差が出るかと思いきや、同じ20代女性でも意見は分かれた。

「マッチングアプリで〈年収1,000万円以上、社長です〉なんてプロフィールを見ると、嘘なんじゃないかって疑ってしまいます。マッチングアプリでカテゴライズして人を見ることで、逆にその人自身を素直に見ることができないんじゃないかな、と思います」(20代女性)

マッチングアプリの場合、まず設定した条件に合致した相手と会えることが前提となる。つまり、スペック次第で会う前から一定ライン以下は会わないと判断されるのだ。そのため、内面や人間性、雰囲気など、数値化されない要素が見えづらくなる、という側面は否めない。

属性で相手をジャッジし、ジャッジされる。その行為に馴染めない、傲慢さを感じてしまう、という感情もまた自然なことだろう。

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一方で、コスパに徹して考えるならば、合理的であることは間違いない。

「顔や年齢など、プロフィールを把握した後に会うかどうか判断できるのは効率的だと思います。メッセージのやりとりで、話が合いそうかどうかフィーリングも分かりますし。合コンや街コンなどの出会いの変遷の延長上にあるサービスだし、特に違和感ないですね」(20代女性)

「マッチングアプリを使っていますが、実際に会った人はみんな普通にいい人でした。自分の周りでも使っている人は多いですね。身分証明証が必要だったり、特に男性は有料だったりするので、むしろSNSよりマッチングアプリの方が情報の信頼度は高い」(30代男性)

人生を共に歩めるパートナーが欲しい。そんな明確なゴールが自分のなかで見えているのなら、リアルで出会いの数を闇雲に増やすよりも、マッチングアプリで条件を設定して会うことのほうが、最短ルートでゴールにたどり着ける可能性は高い。

ネットで恋愛しないという決めつけは不自然

私たちはAmazonやメルカリでモノを売り買いし、Instagramで友人の近況を知る。コンビニでの支払いは電子マネーを使い、最近会えない友達の誕生日にはLINEギフトでスタバのチケットを送ったりする。

Twitterのクソリプにうんざりすることもあれば、たったひとつの「いいね」に救われる日もある。ハッシュタグで連帯を表明することも、オフ会で会った人と親友になることだってできる。リアルと同じか、それ以上にネットでの“出会い”はすでに日々私たちの感情を揺さぶっている。

ネット恋愛を推奨するわけではない。だが、日々の営みの選択肢が全方位にわたってネットの向こう側につながる今の時代、むしろ「恋愛の出会いだけはリアルに限定する」という考え方自体が、すでに不自然になっているのではないだろうか?

リアルで会うからこそ伝わる雰囲気があるように、ネットだからこそ見える本音や素顔もある。パートナーシップの出発点は、どこからだって変わりないのかもしれない。

時代とともに変わる恋愛のかたち。年齢や性別、世間の常識にとらわれず、私たちは自由になった? それとも、まだまだ変わらない?

「ネットで恋愛はアリ? ナシ?」「良い出会いってどこにあるの?」「こんな恋愛はどう?」ハフポスト日本版では、ホンネで恋愛をみなさんと一緒に考えていきたいと考えています。

#語ろうホンネで恋愛」であなたのご意見を聞かせてください。

(文:阿部花恵 編集:中田真弥)

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