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「プロジェクトマネジメント」を成功させる3つのコツ。新時代に取り残されないため、今すぐやるべきこと

プロジェクト単位での採用や経済活動が加速する「プロジェクトエコノミー」の新時代に乗り遅れないため、私たちは何をすべきか。世界的プロジェクトマネジメント組織PMI(プロジェクトマネジメント協会)のベン・ブリーン氏に聞いた。
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社運をかけたコンペティションから日々の雑務まで。私たちの仕事や生活は、大小様々な「プロジェクト」で成り立っている。なぜ自分のプロジェクトはうまくいかないのか、あなたも悩んだことがあるのでは。

そんな「プロジェクトマネジメント」の能力が、今後世界でさらに重視される――。

Accenture Technology社の調査(*1)によると、79%の経営者が、将来の仕事は役職などの役割よりも特定のプロジェクトに基づいて行われるようになると考えている。プロジェクト単位での採用や経済活動が加速する「プロジェクトエコノミー」の到来を予測し、日本のビジネスパーソンにもスキル習得の重要性を訴えるのが、米国を本拠地とするPMI(プロジェクトマネジメント協会)のBen Breen(ベン・ブリーン)氏だ。

私たちは時代の変化に取り残されないため、どんな心構えで何を学ぶべきか。「プロジェクト化」する経済、プロジェクトマネジメントを成功させるコツやスキル習得の方法を聞いた。

Ben Breen(ベン・ブリーン)氏:世界60万人以上の会員を持ち、プロジェクトマネージメントのセミナーや資格制度を設ける非営利組織「PMI(Project Management Institute: プロジェクトマネジメント協会)」アジア太平洋地域マネージング・ディレクター。アジア太平洋地域の事業開発と同時に、建設部門の統括を兼任。オーストラリア出身。1994年にシンガポールに移住し、マリーナ・ベイ・サンズなど多数のプロジェクトマネジメントを経験。
Ben Breen(ベン・ブリーン)氏:世界60万人以上の会員を持ち、プロジェクトマネージメントのセミナーや資格制度を設ける非営利組織「PMI(Project Management Institute: プロジェクトマネジメント協会)」アジア太平洋地域マネージング・ディレクター。アジア太平洋地域の事業開発と同時に、建設部門の統括を兼任。オーストラリア出身。1994年にシンガポールに移住し、マリーナ・ベイ・サンズなど多数のプロジェクトマネジメントを経験。
Jon Roemer

■「プロジェクトマネジメント」とは?

まず「プロジェクト」とは、必ず明確な始まりと終わりがあり、予算、期間と期待される成果が存在するものです。また、通常は協業するメンバーがいるのが特徴です。こうしたプロジェクトを管理し、成功に導いていくのがプロジェクトマネジメントと言えます。

職場であれ家庭であれ、私たちのほぼ全ての活動はプロジェクトから成り立っています。例えば、古くは紀元前2500年のピラミッドの建造。現代でいえば、ソフトウェアの開発やビジネスプロセスの改善、自然災害後の復興支援などが当てはまります。

■「プロジェクトマネジメント」重要度の高まり

様々な業界において技術革新が加速する中、新規参入の企業は新しい働き方によって、既存の企業を脅かすようになっています。企業がどのようにして人材をエンパワーし、活用するかが、競争力の中心となるのです。そして、組織で最も成功している人材は、技術的なスキルと、洞察力や戦略的リーダーシップを融合させていると言えます。

コロナ禍もあり、技術の進歩スピードの高まりに追いつくことが難しい時代。一つひとつの技術に振り回されず、その「生かし方」を俯瞰してとらえる「プロジェクトマネジメント力」が重要になるのです。

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日本の伝統的な企業もこの変化を受け入れ始めています。例えば、リモートワークが増え、これまでとは違ったコミュニケーションやマネジメントを模索しています。新たな解決策を提示できる人は、これまで以上に高く評価されるでしょう。

マッキンゼーの調査(*2)では、自動化技術の発展により、2030年までに世界で最大8億人の人々が現在の職を失う、というショッキングな予測が示されています。プロジェクトマネジメントは、今後も必要とされるスキルであり、PMIは人々が求められる人材であり続けるために支援したいと考えています。

■「プロジェクトエコノミー」へのパラダイムシフト

インタビューに答えるベン・ブリーン氏
インタビューに答えるベン・ブリーン氏
Huffpost Japan

経済の変化も見逃してはいけません。今後は社会の「プロジェクトエコノミー化」が進むでしょう。プロジェクトエコノミーでは、大小問わずプロジェクトを遂行することが仕事の中心になっていきます。

例えば多くの企業はこれまで「縦型」とも言える、部署単位での求人をしてきました。しかし近年、世界ではプロジェクト単位の求人へのシフトが起きています。プロジェクトに最適な人材が揃い、権限が与えられれば、競合よりスピーディーに動くことができるためです。財務、人事、法務など従来の垣根を越えて、プロジェクトを遂行するチームづくりが重要性を増しています。

この経済システムで重視されるのは「どう仕事をするか」ではなく、「どのような成果をあげるか」です。上司や部下たちの目の前で仕事をし、肩越しに業務を確認することに慣れている組織や個人は、マインドセットの切り替えが求められます。

プロジェクトエコノミーで企業が成功するためには、よりアジャイルにプロジェクトを遂行すること。また、描いた戦略と実行の間のギャップを埋める必要があります。チームメンバーの育成に力を注ぐことも重要です。プロジェクトベースの環境でメンバーが成功するために、新しいスキル習得の機会やコミュニティが必要とされています。

■プロジェクトマネジメントを成功させる3つのコツ

では、個人がプロジェクトマネジメントを成功させるためには、何が重要なのでしょうか。私は次の3つのコツをあげています。

1. パワースキルを磨く

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パワースキルは、他者の状況を見て柔軟に対応し、人を動かしていくスキル。

ソフトスキルとも呼ばれていたもので、プロジェクトマネジメントの根幹をなすものです。協働的なリーダーシップとコミュニケーション能力を持つこと。これまでのやり方を踏襲するのではなく、違う視点から見直す姿勢を持つこと。また、「共感」も重要です。様々な顧客の言動の背景にあるものを理解し、共に働く方法を見つけ出すこと。そのためには、多様な人々から成るチーム編成が大切です。多様性をパワースキルと組み合わせれば、チームの能力は最大限に発揮できるでしょう。

2. 社会に新たな価値を生み出すことを意識する

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プロジェクトマネージャーは社会の向上を目指すことを、常に胸に留めておいてほしいと思います。

私たちPMIは、これまでコミュニティを重視してきました。世界中には数千人のボランティアを抱え、各国の支部も一人でも多くの人と関わり、世界を良くしようとする人たちの活動で成り立っています。自分のプロジェクトから、コミュニティを中心とした新たな価値を生むことを意識してください。

3.最新技術を活用する

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最新技術の活用も重要です。

例えば、建設業界ではかつて図面や顧客の指示をFAXや無線機で確認していました。しかし、現在ではより強力なソフトウェアにより、密なコミュニケーションが可能になり、ミスを減らすことができています。ただし、技術はより良い成果を生むための「手段」である、という視点を忘れないようにしてください。

■「プロジェクトマネジメント」スキルの習得方法

1969年に設立されたPMIは、全世界で60万人以上のメンバーを持ち、214カ国で1万4000人のボランティアと300以上の支部が活動しています。PMIは「目的のために」活動する組織であり、キャリアを向上させ、組織の成功を強化し、変革者に新しいスキルと働き方を提供することを目指しています。PMIが提供するサービスには、世界的に認められている認定資格、オンラインコース、デジタル出版物、コミュニティなどがあります。

PMI

PMI日本支部では、日本国内でのプロジェクトマネジメントの普及を目的に、成長とエンパワーメントを目的とした様々な取り組みを通じて、コミュニティの発展に努めています。最も人気のある資格「PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)」や、「PMBOK Guide(プロジェクトマネジメント知識体系ガイド=ピンボック)」などを和訳し、講座も設けています。日本には4万人以上のPMP取得者がおり、コミュニティを築いています。

■アイデアを実現したいなら

もしあなたが何かを成し遂げたいなら、まずは社会の変化を認めることが重要です。そのうえで、正しいスキルセット、ネットワークを持つこと。偏見を持たずに他者から学び、同時に他者にも教えること。

PMIの使命は、これらに最適なプラットホームを提供し、アイデアの実現をサポートすることです。オープンに学ぶ姿勢を持ち、他者に耳を傾ける姿勢があれば、共に世界をより良くしていけるのではないでしょうか。

PMI詳細はこちら
PMI: https://www.pmi.org/(英語のみ)
PMI日本支部: https://www.pmi-japan.org/

取材 / 山内寛人 執筆・編集 / 磯村かおり

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