黒人男性が警察に頭巾をかぶせられた後に死亡。ボディカメラの映像で明らかに

ダニエル・プルードさんは、頭巾を外すように求めていましたが警察官は応じなかった

アメリカ・ニューヨーク州ロチェスターで3月、警察に身柄を拘束された黒人男性が、頭巾をかぶせられ、顔を道路に押し付けられた後に、窒息死していたことがわかった。

事件から5カ月たってから、警察のボディカメラの映像が公開されたことで注目が集まった今回の事件。

新たに発覚した黒人男性の死亡に、地元では警察の暴力に対する抗議デモが起きている。

ボディカメラにうつっていた映像

AP通信によると、死亡したのはシカゴ在住の41歳の黒人男性、ダニエル・プルードさんだ。

プルードさんは身柄を拘束されてから7日後の3月30日に、生命維持装置を外されて亡くなったという。

9月2日にプルードさんの家族が公開した警察のボディカメラの映像に、プルードさんが拘束された時の様子がうつっていた。

映像には、衣服を身にまとっていない状態で路上にいたプルードさんに警察が近づき、地面に伏せろと要求して手錠をかける様子がうつる。

要求に従い、手錠をかけられたプルードさんが「銃を渡してくれ」と何度か叫び、つばをはくと、警察官はプルードさんに頭巾をかぶせた。

プルードさんは苦しそうな声で頭巾を外すように求めたが、警察官は要求に応じず、叫ぶプルードさんの頭を一人が両手で地面に押さえ、別の警察官が背中を押さえつけた。

警察によって頭巾をかぶせられたプルードさん
警察によって頭巾をかぶせられたプルードさん
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声がだんだん弱まるプルードさんの近くにいる警察官の笑い声も、記録されている。

プルードさんが口から水を吐いているのに気づいた警察が「大丈夫か?」「吐いたのか?」と心配し始めるが、その時にはプルードさんの体は動かなくなっていた。

その後心配蘇生が行われたが、プルードさんは命は助からなかった。

検視による死因は「身体を拘束された状態で起きた、窒息による合併症」の他殺だった。

リンチしてもらうために電話をかけたのではない

ニューヨークタイムズによると、プルードさんが拘束された日、きょうだいのジョー・プルードさんがダニエルさんがただごとではない様子で家を飛び出したことを心配して、警察に緊急通報していた。

プルードさんは心の病を抱えており、前日の3月22日に病院で診察を受けていた

ジョーさんは記者会見で「私は、きょうだいを助けてもらうために電話をかけたのです。彼をリンチしてもらうためではありません」と話した、とAP通信は伝える。

また、警察の暴力に反対する団体「フリー・ザ・ピープル・オブ・ロチェスター」のアシュリー・グラントさんは、警察が心の病を抱えている人に対応する能力がないと批判した。

「メンタルヘルスの問題を抱える人たちに対応する準備がないということを、警察は何度も何度も示してきました。彼らは状況を良くしようとするのではなく、人を殺すように訓練されています。ダニエル・プルードさんを助けるのではなく、馬鹿にするように訓練されているのです」

警察官の一人は、プルードさんがつばを吐いていたため、新型コロナウイルスを心配して頭巾をかぶせたと説明している。

しかしプルードさんの家族や活動家たちは、関わった警察官の免職と、殺人罪での告発を求めている

記者会見が開かれた9月2日、ロチェスターの警察署の外ではプルードさんの死に抗議するデモが行われた。

家族を亡くして心に傷を負っていた

Black Lives Matterの抗議デモを大きく広げるきっかけになったジョージ・フロイドさんの死の約2カ月前に起きていた、プルードさんの事件。

情報開示請求によって、ボディカメラの映像が家族の弁護士に提供されたのは、8月20日だったという。

ニューヨーク州のレティシア・ジェームス司法長官は9月2日の記者会見で、この事件の調査を進めていると語った

プルードさんの叔母のレトリア・ムーアさんはAP通信に、プルードさんは家族思いの男性で、近年母親やきょうだいたちを亡くして心に傷を負っていたと話す。

しかし事件の2日前に電話した時は、いつもと変わらない様子だったという。

プルードさんは5人の子どもの父親でもあり、3月は家族に会うために自宅のあるシカゴとロチェスターを行き来していた。

ムーアさんは「どんな状況だったのか、なぜ彼があの夜あのような状況にいたのかわかりませんが、警察から殺されるようなことはしていない」と話す。

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