ロシア国防省は4月14日、黒海艦隊の旗艦であるミサイル巡洋艦「モスクワ」が沈没したと発表した。AP通信などが報じた。
同省によると、モスクワは艦上で弾薬が爆発したことで火災が発生し、艦体に深刻な損傷を被った。
その後に火は消し止められ、港に曳航されたものの、途中で安定性を失って沈んだという。
NBCによると、ロシア国防省は声明で「弾薬爆発による火災で船体がダメージを受け、船は安定性を失った」「荒れた海で沈んだ」と説明した。乗艦していた約500人の水兵たちは、全員避難したという。
この前日の13日に、ウクライナ軍は対艦ミサイル「ネプチューン」でモスクワを攻撃し、「深刻なダメージ」を与えたと主張していた。
しかしロシア国防省は、ウクライナ軍の攻撃が火災を引き起こしたのかどうかは触れていない。声明では「火災の原因は調査中」としている。
BBCのスティーブ・ロゼンバーグ氏のツイート:我々は2019年にミサイル巡洋艦のモスクワを撮影しました。ロシアの黒海艦隊の旗艦は、弾薬の爆発による火災で”深刻なダメージ”を被りました
また、アメリカ国防総省のジョン・カービー報道官は4月14日、爆発発生を確認したものの、原因についてはわかっていないとMSNBCに述べた。
ロシアにとって大きな痛手
モスクワは、ロシアがウクライナ侵攻開始した2月24日に、黒海に浮かぶズミイヌイ島(スネーク島)を攻撃した巡洋艦だ。
この時、ロシア軍はスネーク島を守っていた国境警備隊に降伏を求めたものの、警備隊員らは拒否。「くたばれ」 と述べたことが世界中で報じられ、ウクライナの抵抗のシンボルになった。
その後、警備隊員らは身柄を拘束されたが、3月にウクライナとロシアの捕虜交換で解放された。
ロシア軍は現在、首都キーウ(キエフ)周辺など北部から撤退して、ウクライナ東部での攻勢を強めるために、軍の再編成をしていると報じられている。
そういった中で、軍事力の象徴だったモスクワの沈没は、ロシア軍にとって大きな痛手となると見られている。